Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪


SDGs関連の本はこれまで数冊読んでいますが、この本『SDGsが生み出す未来のビジネス』の特徴は「日本のビジネス」という視座にこだわっているところかと思います。

買う気満々でしたが、ありがたいことに献本いただきました。

 

この本の大きな流れは、まずSDGsの17のゴールと169のターゲットの確認、そしてSDGsのもう一つの切り口である「5つのP」*1の再整理、その後マーケティングの王道フレームワークマーケティング4P」との新結合による20のマトリクス「SDGs Marketing Matrix」*2の提唱と事例紹介と進んでいきます。

*1 SDGsのもう一つの切り口「5つのP」

*2 SDGs Marketing Matrix

読み進みながら感じたのは、「マクロ視点とミクロ視点の切り替えと融合」の重要さです。

本そのものの大まかな構成は先に書いた通りですが、実際に読み進めていく中でも何度となく繰り返しマクロとミクロの視点を行き来することとなります。

 

例えば、この本では多数の企業や組織のユースケースが紹介されていますが、マーケターは漠然と読むのではなく、個別の事例をSDGs Marketing Matrixのどの部分におけるアクションなのかを表に照らし合わせて認知していくことが重要だと思われます。

なぜなら、脳内で「点を面にプロットする」ことで、情報と知識を現実世界に適用させやすくするからです。そう考えると、本とは別にオンラインでも提供されているマトリクスの図を印刷しておき、手元に起きながら読み進めるのがいいかもしれません。

 

また、先ほど「マクロ視点とミクロ視点の切り替えと融合が重要」と書きましたが、これはこの本が取り扱っているのがSDGsであることにも起因しています。

SDGsは、本質的には切り離せない深い関連性を持つ社会課題群を、戦略的に17のゴールに切り離しています。それは、感性や情緒だけに訴えるのではなく、あえてロジカルに分類しそれを再構築することで、既存ビジネスや政治の世界に切り込みやすくするためです(少なくとも、私はそう理解しています)。

その点を踏まえ、分断された知識として終わらせてしまわないよう、脳内プロット作業により包摂的な捉え方をすることが重要だと考えらます。

 

そしてまた、新規事業開発や社会的責任に対する取り組みを実施する立場にある人や部署にとっては、全体戦略の見直しや拡大、あるいは絞り込みを考える際にもこのマトリクスの縦軸と横軸で見ていくのが良いのではないでしょう。

例えばMatrixで「プライスとプラネット」が交差するポイントである2Bに強みを持つビジネスがあるのであれば、「公正で透明性の高い価格」という価格のグッドポイントを、ピープルやピース、パートナーシップに広げるマーケティング施策を考えてみる。あるいは軸を逆にし「自然環境に対してフェアな仕入れ」という地球のグッドポイントを「環境に負荷をかけない」プレイスメントや、「資源の無駄につながらない」プロモーションも加えて伝えることができないかを考えてみる、といった具合に。

そうした実践的な使い方をされてこそ、この本は本当の価値を発揮するのかもしれません。

 

環境と社会と人間中心のマーケティング3.0は、伝統的なマスマーケティングとワンツーワンマーケティングのすべてを上書きしたわけではありません。依然としてマーケティング1.0や2.0が主流の市場や顧客も存在しています。

それでも、1から2へ、そして2から3へと、顧客も市場も成熟していきます。

著者も書いているとおり、プロモーション(宣伝、広告)はマーケティングの一部に過ぎません。SDGs Marketing Matrixの活用は、狭義のマーケティングに囚われているマーケターを、広義のマーケティングへと飛び立たせるツールであるとも言えそうです。

 


 

と、ここまでは(おれにしては)ロジカルにマーケティング視点で書きましたが、ここからは感性寄りで。

おれがこの本の中で一番惹かれたのは、SDGsの17のゴールを描いたオリジナルのカードです。これがすばらしい!!

というわけで、ここからは特に気にいったカードを紹介します。

 

カード1 | 貧困をなくそう | NO POVERTY

日本で相対的貧困状態の17歳以下は14%

後ろに見えるビジネスパーソンたちの足元にうずくまるような、崩れているPのフォルム…。

相対的貧困状態も孤独も、遠いどこかで知らない誰かが生み出しているものなのでしょうか。

 

カード4 | 質の高い教育をみんなに | QUALITY EDUCATION

登校しても教室に入れないなど不登校傾向にある(中学)生徒を加えると、その数は約43万人

デスクで勉強する子どもの足元に映る鏡像には、白いシャツをミシンで縫う姿…。

ファッションの世界だけではないですが、「超お得」の背景には、子どもの奴隷労働が関わっていることも。先日観た映画『The Price of Free』には衝撃を受けました(Youtubeにて現在無料公開されています)。

 

カード5 | ジェンダー平等を実現しよう | GENDER EQUALITY

世界の女性管理職比率は27%。日本は12%で、女性活躍推進法が目標とする30%には遠く及ばず

女性のマリオネットの紐の先にあるのは女性のマニピュレーターの5本の指…。

女性を不利な立場に留めてしまう「グラスシーリング(ガラスの天井)」という言葉がありますが、それを強固なものとしているのは男性ばかりではなさそうです。

 


 

最後に、本の中から気に入ったフレーズをいくつか紹介して終わりにします。

 

■ 社会課題を解決しなければ、地球システムを維持できないことは明らかです。もはや経済やビジネス以前の話なのです(…)頭ではわかっている。そういう方が大多数でしょう。それでも行動できないのはどうしてでしょうか。その理由の1つは、実際に社会課題をどのように自社のビジネスに結びつけたらよいのか、その方法を見つけづらく、それゆえに難しいと受けとめられているからかもしれません。

 

■ 課題にコミットしている企業を応援したくて、モノやサービスを買う若者が増えているのです。それは、応援したくない企業のモノやサービスを買おうとはしない、ということでもあります(…)多くの外食産業がプラスチック製ストローを廃止している動きも、こうした視点から見てみるとより納得しやすくなるのではないでしょうか。ストローを紙製に替えるだけでは、廃棄プラスチックの問題は解決できないかもしれません。それを承知のうえだとしても、そうしなければ顧客が離れていく可能性があるのです

 

■ 多くの企業の理念には、社会的大義が盛り込まれています。それを社内だけに留めず、顧客をはじめとする関係者との共有価値、いわばパーパスにすることが大切としているのです。モノの価値を伝えるだけでなく、パーパスを顧客との共有価値、つまり一方的に伝えるのではなく、共感してもらえる価値にすることが、マーケティングの重要な役割になってきたのです。

 

Happy Collaboration!

 


ちょっと前に参加したシブヤ大学の授業で「デモクラ筋」なる言葉が紹介されていました。

「デモクラ筋」は、民主主義社会を築くのに必要な筋肉のこと。民主主義は筋肉と同じように日々鍛えていないと衰えてしまうもので、デンマークの教育現場はデモクラ筋を鍛える機会に溢れている

 

授業の中で「デモクラ筋」を推進している団体がデンマークにあること、冊子なども発行しているらしいという話を聞いてから、ずーっと気になっちゃって気になっちゃって…。

そんなわけで、今回は「デモクラ筋」の本家(らしい)「Democracy Fitness」、あるいは「Democracy Muscle」という団体の「デモクラ筋」のポイントを紹介してみようと思います。
(なお、シブヤ大学の授業の内容もとてもおもしろいものでした。公式レポートはこちら。)

 


WHY DEMOCRACY FITNESS?』。

Democracy doesn’t fall in your lap by accident. It needs to be trained actively. It needs people to be active and strong democrats.

たまたまデモクラシーが膝の上に転がり落ちてくる…なんてことは起きません。トレーニングして手に入れなければならないのです。さあ強くたくましいデモクラシー筋肉を身に付けましょう。

 

It’s easier to be an active democrat if you have skills and competences. Thats why we exercise!

技術と能力を手にすれば、積極的な民主主義者になるのも簡単です。だから、私たちはデモクラシー筋肉をトレーニングで鍛えるのです。

 


THE DEMOCRACY MUSCLES

■ The Empathy Muscle

In a democracy, people are diverse. You need to be able to put yourself in someone else’s shoes.

Think of someone you have antipathy for, can you picture this person now? Good! Then take your phone ang google this person’s name and find the picture of this person. Find something that you feel empathy for or even appreciate about this person, we know it can be hard!

■共感マッスル

必要な理由: デモクラシーな社会では、人はみなそれぞれです。あなたには必要なのは、誰か他の人の立場になって考える力です。

あなたが反感を持っている人は誰ですか? まずはその人のことを頭に描いてください。
それでは次に、スマホを取り出してググり、その人の画像を表示しましょう。次に、その人に共感できるポイントを探しましょう。難しいのは分かっています。 でも可能なら、何かその人に感謝したいことを見つけ出しましょう。

 

■ The Active Listening Muscle

In a democracy, we are looking for solutions together. Listen, wonder and ask questions!

Active listening is more than a valuable social habit; it is a transformative communication tool and extremely important in democracy. If we are good at active listening, we understand more perspectives and are able to see more shades. For that reason, active listening is an important muscle for making maximum mutual understanding.

■ 傾聴マッスル

必要な理由: デモクラシーな社会では、解決方法を一緒に見つけなければなりません。あなたに必要なのは、話を聞き、疑問に思い、質問することなのです。

傾聴は、社会の潤滑油として大切な役割を果たすだけのものではありません。傾聴は、変革をもたらすコミュニケーションツールであり、デモクラシーにとって非常に貴重なマッスルです。
もしあなたが傾聴が得意であれば、より多くの視点とより多くの陰影を見出すことができるでしょう。傾聴マッスルは、あなたと相手の相互理解を、最大限に深める貴重なマッスルです。

 

■ The Compromising Muscle

In a democracy, we never fully agree. Choose your battles.

We will train “good compromising”. That, which finds solutions, many people support and take ownership to – also if it means compromising your own starting standpoint. A good compromise is nurturing solidarity and group feeling. Many winners!

■ 妥協マッスル

必要な理由: デモクラシーにおいて「すべてに対して全員が一致する」ことはあり得ません。「争うべきもの」を選びましょう。

「良い妥協」をトレーニングしましょう。良い妥協は、解決策があり、多くの人の支持と行動を取り付けられるものです。それはときに、あなた自身にとっての出発点からの妥協を意味することもあるでしょう。
良い妥協は、連帯とグループ感を育みます。そしてたくさんの勝者を生み出すのです!

 

■ The Verbal Self-Confidence Muscle

In a democracy, opinions should meet challenges. You must dare to participate in a debate!

Our voice is very personal, every human has their own voice. It has different tones and sound different. Some voices are high, some deep, some dark. But now let us all try to turn up the volume. Let’s get out of our comfort zone.. and say our opinion our loud, we have to have the confidence that what we have to say is important – and that someone is going to listen to what we have to say

■ 発言マッスル

必要な理由: デモクラシーにおいて、意見は発言されるべきであり、反論されるべきものです。思い切って討論に飛び込みましょう!

人は皆、自分自身の特有の声を持っています。そのトーンはそれぞれで、聞こえ方もそれぞれ。高い声の人もいれば、深い声の人も、暗い声の人もいます。でも全員に必要なのは、そのボリュームを上げて聞こえるように言うこと。さあ安全地帯から飛び出して、なぜそう思うのかを大声で発言しましょう。
私たちは、自分の意見が重要であることに、そしてその声が聞かれなくてはならないということに、自信を持つべきなのです。

 

■ The Disagreement Muscle

In a democracy, we often disagree. Engage in disagreement without feeling angry or hurt.

What is happening when we disagree with others, is that you all of a sudden get new inputs, which you had not yourself thought about. This is so beautiful about democracy: that we disagree and therefore through exchange we can get smarter and more knowledgeable! Now you should listen to one another and explain why you do not agree on a same issue. It can be tough, but that is why we train!

■ 反対マッスル

必要な理由: デモクラシーな社会では、不一致は珍しいものではありません。怒ったり、傷ついたり、傷つけたりすることなく、意見の相違を取り扱いましょう。

「意見の不一致」が起きているとき、あなたはそこで、自分では考えつかなかった新たなインプットを入手しているのです。反対が起きたことにより、見解の交換が始まり、お互いが知識を増やしより賢くなれる — これこそが民主主義のすばらしいところです!
さあ、一つの問題に対するお互いの意見を聴き合い、なぜその意見に反対なのかをお互いに説明し合いましょう。たしかに簡単なことではありません。だからこそトレーニングするのです!

 

■ The Opinion Muscle

In a democracy, you can follow many paths. You must know what you stand for and why.

Now you are going to talk together and you are going to share why you have these opinion and weather you base these opinions on feelings or facts…
It is often hard work having an opinion and with this training session we are going to get a sense of where our opinion muscle is placed, and how to train it.

■ 意見マッスル

必要な理由: デモクラシーな社会では、たくさんの道が広がっています。あなたは、なぜその道を選び、前に進もうとしているのかを、自覚していなければなりません。

あなたは、これから対話をスタートしようとしています。そのとき、あなたは自分の意見をシェアし、その見解が事実に基づくのか、それとも感情から来るものなのかを示すべきです。
意見を持ち伝えることが大変なときがあるのも事実です。トレーニングを通じて、意見マッスルをどこにどのように付ければいいのか、そしてどのように鍛えていけばいいのかを理解しましょう。

 

■ The Mobilization Muscle

In a democracy, you need to engage others in cause that are really important to you. You must be able to speak from you heart to other people’s heart.

The mobilization muscle is the one you use, when you get people onboard your idea or initiative – and if your muscle gets strong, there are no tasks, that are too heavy to lift. It is just as important to be a mobilizer as to be that someone that knows how to join others and the “right” others. Are you ready to mobilize 10, 100, 1 million people?

■ 動員マッスル

必要な理由: デモクラシーにおいては、あなたにとって本当に重要なことに、他の人をエンゲージできなければなりません。相手の心へ、本心から自分の言葉を伝えることができる必要があります。

動員マッスルは、自分のアイデアや取り組みを、人びとに応援してもらう際に必要となります。もし強い動員マッスルを持っていれば、重すぎて持ち上げられないタスクはなくなるでしょう。
「どのように人びととつながるか」「どのように人びとを導くか」を理解することが、動員マッスルを使いこなせるようになる重要な鍵です。さあ、10人を、100人を、100万人を動員する準備はOKですか?

 

■ The Activist Muscle

In a democracy, if you want to achieve something, get on with it!

When we have trained the activist muscle, you will have a better understanding of what makes you active, an active citizen, an active democrat; what makes others active and how this knowledge can be translated into action and participation.

■ 活動家マッスル

必要な理由: デモクラシーにおいては、何かを達成するためには、その活動をやり続けていく必要があります。

活動家マッスルのトレーニングをすれば、何が自分を行動に駆り立てるのか、何が自分を「行動する市民」や「行動する民主主義者」にしているのかを理解できるでしょう。
そして何が他の人を行動に駆り立てるのか、どうすればその知識を「行動と参加」に変換できるかについてをより良く理解できるようになります。

 

■ The Curiosity Muscle

Curiosity is one of the driving forces of taking interest into what, how and why other people think. In democracy, the variety of opinions is essential and if you lack curiosity, a large group of people (with not such a loud voice or simply in the margins) would be unrepresented. Curiosity muscle imho would also be important when you have the urge to innovate or do things differently.

■ 好奇心マッスル

必要な理由: デモクラシーに意見の多様性は不可欠ですが、もしあなたの好奇心が不足していれば、大声を上げない人たちや目に付きづらい場所にいる人たちに気づけず、その人たちの声を活かすことができないことでしょう。
好奇心は、人に「なぜ」「どうして」「何が」という興味を持たせる、原動力であり推進力の一つです。
そしてまた、あなたがイノベーションを起こそうというときに、あるいは新しいやり方を見つけようというときに、重要な役割を果たすのが好奇心マッスルなのです。

 

最後の+1「好奇心マッスル」は、ちょっと他の8つとは異なるようです。
いわば、すべてを統合するセンターピースのようなものでしょうか。


 

訳してみたものの、実際のトレーニング方法はあまりよくウェブサイトだけでは分からず…。

どうやらコペンハーゲンやその他のヨーロッパの都市では不定期でトレーニングセッションが行われているようなのですが。
どなたか「参加したことがあるよ」という方がいらっしゃったら、ぜひお話を伺わせていただきたいです。よろしくお願いします。

 

Happy Collaboration! 

 

 

あちこちで「いやすごいから! 観てないなら早く観て!!」とブログ「ジェレミー・リフキンの第3次産業革命 | 新しい根源的共有経済の衝撃」を書いてから言い続けていたら、セミナーでも紹介することになりました。

開催はもうすぐで、来週火曜16日の正午スタートです。

消費者主義から持続可能性へ

消費者主義から持続可能性へ~ジェレミー・リフキンの第3次産業革命に学ぶ【持続可能社会とこれからのマーケティングvol.1】

今回は前回のブログ記事では取り上げなかった「講演参加者とのQAタイム」の中で、興味深いと思ったポイントをいくつか取り上げます。それから最後に、16日のセミナーで使用予定の資料の一部を。

でもその前に、十分な時間がある方はリフキンの講演『The Third Industrial Revolution: A Radical New Sharing Economy』を見てくださいね。

 

■ AIとロボットで自動化が進めば、人間はみな失業するのでしょうか?

たしかに私たちは自動化世界に向かっています。でもその前にスマートデジタル経済と社会の基盤を造るための2世代にわたる大仕事があります。これはロボットにもAIにもできない仕事で、大量雇用が発生します。

ではその後は? 雇用はすでに市場経済からNPOの社会的経済へと移り始めています。

NPOは、現在世界で最も急増している雇用部門です。なぜなら、社会的経済、ノンプロフィット経済、共有経済の大部分において、社会資本が市場資本と同じだけ重要だからです。

ロボットが子供にランチを届けることはあるかもしれませんが、実際に子供を育たり保育所で世話をすることはできません。社会的経済、共有経済の中で子どもの共感を育てるには、人間が他の人間と関与することが必要なのです。機械ができるのは補足だけです。

 

■ 学校教育はどのように変わっていけばいいのでしょうか?

私たちの学校システムは機能を果たしていません。瀕死状態です。

クラスルームは工場のようです。子どもは入学してすぐ、教師により中央的権力に支配されていることに気付きます。言われた通りにしなくてはならない。知識を教え合うとカンニングとされる。そして効率的になれと命令される。

一方、放課後のインターネットの世界は学校とはまるで違います。知識と経験と能力を共有し合い、お互いに教え合います。知識とは権力ではなく、誰かを犠牲にして所有するものではないことを実践を通じて学び、日々それを適用して暮らします。

その考えを取り入れて変化している学校も出てきています。フランス北部では、7つの大学と200の高校が一体となり、すべての生徒がチームに分かれて互いに教え合っています。そこでは教師は教えるのではなく、ガイドやファシリテーターの役割を果たします。

 

■ 理念に沿って正義が行われるようになるのですか? 汚職や詐欺がなくなるとは…。

日常生活を動かしているのは理想郷ではなく共感です。ビジネススクールでは教えられていませんが、共感的な懸念をより大きな社会的団体へと進化させる方法があります。それは協同組合です。

協同組合銀行や、協同組合住宅、農業協同組合など、人びとが寄り集まり運命を共有する。真の共有経済の動力であり、手段となります。

共感をはじめとした感受性を育成する社会は、人類も生物圏のコミュニティーの一部だということに気付かせます。それは残虐行為や汚職のような、悪を伴う人類の欲求を減らす進化につながるかもしれないと私は期待しています。

 

■ 現在有利な立場にある企業や組織が、優位性を守ろうと連合を組みそう…

すべてが相互ネットワークでつながり、エネルギーがそこかしこで生まれるIoTの世界では、乏しい資源をゼロサムゲームで奪い合う必要性がなくなります。そこでは「私たちがコントロールする、閉じる。征服する」というやり方は、通用しません。
なぜなら、分配されるように設計されているから。それがこのシステムの回復力だから。

疑念を乗り越え、ネットワーク中の人びとが利益を得られるよう、科学とテクノロジーだけに頼るのではなく私たちも知識と知恵を共有しましょう。

 

■ 食品システムにはどんな影響が現れますか。このままではマズイですよね?

私たちの全エネルギー費用の約1/3が肥料、農薬、機械、パッケージという、化石燃料からなる農業システムに費やされています。そしてそれらを動かす電力網も化石燃料原子力で動いていて、それを冷やすために大量の水が用いられています。

500グラムの牛肉の生成には少なくとも4キロの飼料が必要です。そして現在、世界で農耕に使用されている土地の40%が、動物の飼料を育てるために使われているのです…。

第1次産業革命時代に機械農耕が起こりました。第2次では化学農耕が出現しました。そして第3次の今必要なのはスマートで有機で環境的な地域の地元農業です。トマトを世界中に輸送するのは不条理で馬鹿げている!

 

■ この非集中的構想において、水はどう関わってくるのでしょうか?

この惑星の人間にとって再利用可能な水は全体の1%以下です。残りは利用できません。

そして全産業で使用される水の半分以上が、電力産業に使われています。フランスの場合、すべての淡水の50%近くが原子炉を冷ますために使われています。

水のシステムは脆弱です。大きな電力変圧器がサイバーテロや犯罪、自然災害のいずれかで中断されたとき、水の供給は無くなり我われは3週間で死に至ります。

非集中的で広い地域に広がり共有できる水と、共有できるエネルギーが組み合わされたシステムが必要です。エネルギー・インターネットと並行して作動する分配的な水のインターネット・システムをどうやって築くのか。最優先課題の1つです。

 

■ 途上国はこの第3次産業革命にどのように関与するのでしょうか?

途上国には基盤がない、それは不都合ではなく彼らにとっての資産です。彼らには、ゼロから新しい規約と条例を作り、一気に第3次に取りかかるチャンスがあります。

暗闇にいる、電力のない人々が世界に10億人います。人類の40%が未発達で不安定な電力供給のもと暮らしています。そしてその世界では、女性がエネルギー負担の奴隷とされています。

多くの人が忘れていますが、電力が女性を解放したのです。電気が女性に勉強する時間を作り出し、教育が人口の爆発増加を抑制しました。何百万というコンドームよりもはるかに効果的なのです。

アフリカの村やインドの村で、ユニバーサル電力のマイクロ網を築いている多くが女性たちです。彼らは次世代のスマートな社会起業家です。だからこそ私はこの事象をとても嬉しく思っているし、さらに躍進できると信じています。

 

■ 独占市場をどう打開できるのでしょうか?

私は「なんでも教えてくれる魔法の扉」、グーグルが大好きです! でも、彼らはグローバルな独占企業のように見えます。そして公益事業とすべきではないかとも感じています。

人びとがそれをもたらす価値を、最大限に活用するにはどうすべきでしょうか。

プライバシーの確保、セキュリティの確保、サイバー犯罪やテロをどう防止していくのか — こうしたダークネットとの戦いと併せ、これはミレニアル世代とその子どもたちの重要な新しい政治運動となります。

 

オバマ前大統領はグリーン経済を目指し失敗しました。なぜでしょうか?

オバマ氏は何十億もの税金をグリーン経済に向けて注ぎ込みました。そして失敗しました。なぜか? それは「こっちの太陽電力工場に少々、あっちの電池工場に少々…」と、個別の事業を奨励したからです。それでは何も始まりません。基盤自体を奨励することから始めなければならなかったのです。

公立の学校システム、州間高速道路、電気やガス、パイプラインの費用はどこから出てきたのか? 税金です。起業家精神だけでは始まりません。

私たちには政府が必要です。私たちにはビジネスが必要です。社会市場経済には、公的資本と民間資本と社会資本が必要なのです。

 


こちらはセミナーで使用する予定の資料です。もしまだ時間があったら、こちらも見てみてくださいね。


(正しく表示されない場合は、こちらのSlideShareのリンクをご覧ください。)

 

Happy Collaboration!

 

未来デザインキャンプレポート

オリジナルはこちら


5月の4週間、コペンハーゲンのBespokeが主催するオンラインの「Futures Design Camp」に参加しました。

基本的には日本時間の火曜夜に90分くらいのレクチャーを受け、2日後の木曜の夕方までに宿題を行い、その後75分のグループセッションに参加する x 4週間というトレーニングCampでした。
これまで通訳&ファシリテーターとしてBespokeのフューチャーデザイン・ワークショップには何度も参加してきましたが、受講者としての参加はかなり久しぶりテンション上がりました。

そして今回は初の「完全オンライン実施」ということで、その点でこれまでとは違う刺激や学びがありました(一方、ネットワークが不調のときには試練も…。後からビデオが提供されたのでキャッチアップできましたが)。

とは言え、ワークショップやセミナーを実施する立場としての自分と、参加者としての自分の感覚のズレがまだふわふわしています。そしてまだ十分に内省化できずうまく言語化もできない自分がそこにいる感じです。
それでも改めて一つはっきりしました。

フューチャーデザイナーのスキルは筋肉や脳みそと同じ。何度も繰り返し磨き続けてこそ強化される

今後、内省を進めて考えを深められるように、そして何度も見直したり出会ったりできるように、4週間の間にやった宿題をアップしておきます(ウェブに公開しておくと、過去の自分にふとしたタイミングで何かを教えられたり、問いかけ投げかけられたりするものです)。

出来の悪い宿題、考察の少ない言葉は正直ちょっと恥ずかしい。でも、ほら、時間は常に限られているものだし、イテレーション前の1回目のスプリントって、こんなものですよね?(イイワケ。)

 

■ 位置決める | Situate – how to scope your research


いろいろ考えた結果、今回の自分のテーマを「未来の消費」に決めました。

関連しそうな要素やキーワードを思いつくままにどんどん挙げていき、それを分類し、テーマとの近さで並び替えて置いていたものが「スコープホイール」です。

今回は分類の軸にSTEEPVを使ってみました(そしてホイールじゃなくて四角形にしちゃった)。

 

■ 探索する | Search – how to identify signals

「Bespoke Horizon」というオンラインツールを使い、スコープホイールからピックアップした要素を元にスキャンカードを作ります。

スキャンカード作りで重要なのは、これがステークホルダーとのコミュニケーションの基礎ツールになるものだと意識すること。ここでは「意思」の前に「事実」を簡潔に並べていきます。

 

■ 感知する | Sense – how to synthesize insights

スキャンカードをつなげていき、そのクラスターから「それが何のシグナルなのか」「何がどう変化しているのか」を浮かび上がらせて読み取り、インサイトとして文章化します。

インサイトに重要なのは、人びとの想像力を掻き立てる力。この「光の当て方」と「記憶への残し方」が生み出されるシナリオを左右します。

 

■ 踏み出す | Scale – how to make future scenarios

今回は2つの軸を考えて、4象限のシナリオを作りました。その中から一つを選び、戦略とアクションを書きます。そしてそれをビジュアルで伝えるモノを作ります。

シナリオの選び方にはいろいろな考え方がありますが、おれは「それは自分が追いたい未来か」、そして「人びとを導くトーチとなり得るか」で選びます。ユートピアンにもディストピアンにもなり過ぎないように。

 


今回、紹介文は説明不足だし、宿題の出来はスキル不足ですね。

でも、Bespoke式のフューチャーデザインがどんなものか興味を持っている人にはいくらかのヒントになるかなって。
それにこれまで関与してきた人には、思い出したり復習するときの材料になるかもしれないなって。

 

新型ウイルスにより、次回のFUTURES DESIGNワークショップ日本開催のお知らせができるのはまだ少し先になってしまいそうです…。それまではぜひこちらの言葉を胸に、一つの出来事を複数の視点から見るトレーニングなどしながらお過ごしください。

(Amazonにて『フューチャーデザイナー・ブック』も販売中です。)

Happy Collaboration!

ぱちはらダイアログ1〜5

オリジナルはこちら

 

2人でブロードキャスティングやんない? テーマ決めてゲスト呼んでダイアログして、ライブ配信しながら質問も受け付けたりしてさ。

いい年したおっさんが2人で言いたことを言うだけじゃなくてさ、「分かってないなぁおじさんたち。あのですね…」って教えてくれるような若者を呼んでさ、おれたち自身がアップデートしようぜ、学びとかコラボレーションのやり方をさ、探索しようよ。

そんな話をちょこっとして、「じゃあはじめますか」とスタートした「ぱちはらダイアログ」。

テーマを「民主主義」として、あとは毎回10分くらいだけ打ち合わせして思うままにしゃべる…そんな形でやっていますが、もう5回まで続いているので一度まとめてご紹介します。

 

■ ぱちはらダイアログ(仮) (200319)


キーワードは「デンマーク | https://www.facebook.com/yutaka.hara/videos/2922158704489539/

(仮)とか「今日はβ版」とか言いながら、そのまま1回目となりました。

「ソーシャルシフト・ラボ」ではじめて出会ってから、一緒にデンマークに行きあの国の「どこを切っても民主主義」に2人が打ちのめされ、それから日本にももっと民主主義広げようぜって話になっていったことを語っています。このときはまだ「おこもり生活」じゃなかったんだよね。もはや懐かしい。。。

「一人ひとりが自分自身でいられること」「まとまらなくていい、多様なままでいい」「信頼を成り立たせるのは透明性」 — 2人が考える民主主義の在り方を語っています。それからマーケティングについても。

 

■ ぱちはらダイアログ 2 | 民主主義と学び (200407)


キーワードは「余白」 | https://www.youtube.com/watch?v=zDNzGEfKOzw

北海道 東川町にフォルケホイスコーレを作る活動をしている遠又 香さんをゲストにお迎えして、彼女の活動について聞いています。

遠又さんがフォルケに見出したもの、それがなぜ日本に必要なのか — そんな話を中心に、おれと原さんがデンマーク ロラン島で参加した1週間の「料理」をテーマにしたフォルケでの体験や、森の幼稚園で見聞きしたものを話しています。

 

■ ぱちはらダイアログ3 | 民主主義と多様性 (200422)


キーワードは「価値観」 | https://www.youtube.com/watch?v=vmUThA04LA0

唐突に始まっています…。が、この回は多様性がなぜ重要なのか、そしてどうしてこんなに多様性を認め合うことが難しいのかって話を2人でしています。

永年「空気読めよ!」ってやり方で社会を進めてきた日本と徹底的に対話するデンマーク — 何がどう違うのか。結論を急ぐのかプロセスを信じるのか。効率が悪いところにこそ民主主義の良さがあるのか!?

 

■ ぱちはらダイアログ4 | 民主主義と対話 (200505)


キーワードは「光と陰」 | https://www.youtube.com/watch?v=jpaUPDfJUMg

ヒッチハイクが公共交通機関」とも言われるデンマークの田舎町(島)、ボーンフォルムのフォルケホイスコーレに在学中の香西りささんをゲストにお迎えして、学校からお話していただいています。

「対話の場」「人生の見つけ直し」「多様性のメッカ」 — こんなイメージで語られるフォルケですが、ボーンフォルムでは「生徒と校長の衝突 – 教師全員の解雇 – 校長の辞任 – そして今…」という衝撃的なことが起きています。もともと日本の教育の現場で過ごしてきた香西さんから見た民主主義と透明性…かなり深い話をしています!

 

■ ぱちはらダイアログ5 | 民主主義と選挙 (200520)


キーワードは「女性」 | https://www.facebook.com/yutaka.hara/videos/3065708280134580/

デンマークのフォルケホイスコーレで出会った仲間たちと、「若者が選挙に行って投票しない国に未来はない!」と一緒に「NO YOUTH NO JAPAN」を立ち上げた能條 桃子(もも)さんがゲスト。いやー頼もしいわ〜。

そもそも政治や選挙、ITに興味を持った理由や、先日の小田原市長選での投票率アップのための活動、そして今後の活動の展望について聞いています。そしてそもそも、なぜおれたちは投票に行かないのか? 政治の優先順位が低いのか? 押さえつけられるのに飼いならされているのか…?

ということで、これからも不定期突発的かつ場所もFacebookだったりYoutubeだったりでやっていきますのでよろしくね。

 

Happy Collaboration!

 

ジェレミー・リフキンの第3次産業革命 | 新しい根源的共有経済の衝撃

オリジナルはこちら

 

ジェレミー・リフキンが『限界費用ゼロ社会』を書いたのが2015年。その2年後、私は『勝手要約『限界費用ゼロ社会』』というブログ記事に要旨をまとめました。2年経っていたからこそ時代が追いついて、内容がはっきり理解できました。

そして先日、今から2年前の2018年にNYのブルックリンで行われた講演『The Third Industrial Revolution: A Radical New Sharing Economy』をYoutubeで見ました。

 

 

衝撃的でした(そして続けて3回見ました)。

ここ数年で自分がIoTやAIというテクノロジーについて学んだのと、地球温暖化や循環経済(サーキュラーエコノミー)について学んだこともあり、2年前に語られたリフキンの言葉がグッと目前に迫ってきました(これほどの知の巨人が本当に心から恐れているのです! 私もようやく本当の危機感を持って感じられるようになった気がします)。

そしてまた、COVID-19後を見据えるべき今だから、社会をアップデートするまたとないチャンスの今だからこそ、多くの人が見るべきものじゃないかと心から思います(なお、動画には日本語字幕も付いています)。

 

動画は100分超えの長さですが、リフキンのストーリーテラーとしての力と熱量がすごく、おそらく見始めて10分を過ぎたらもう止めることはできないでしょう。

とは言え、今の時代100分を費やすことを躊躇する人が多いのも理解できます。もし、全部を見る時間が取れないという人は — あるいはまず要旨を確認したいという方は — かなり絞って要点をまとめたので、まずはこちらをお読みください。

なお、チャプター毎にかなり文字量が異なりますが、これは実際に各チャプターにリフキンが費やした時間を反映しています。

 


■ オープニング

世界中でGDP国内総生産)が減速しています。それはこの20年間、世界中の生産性が低下しているからです。その結果失業率が非常に高くなり、それが最も際立っているのがミレニアル世代です。

そして私たちは環境変化の真っ只中にいますが、もっとも恐ろしい「地球の水循環の変化」がまったく明らかにされていません。この惑星の気温が0.6℃上がる毎に、大気に吸い上げられる水分量は7%上がり、それが千年に一度にしか起こらないはずの大雨大雪洪水を「新しい日常」にしています。

この環境変化による最悪の結果を阻止するチャンスは、40年以内に炭素の使用を無くす以外ありません。それを実現する経済的パラダイム・シフト – 新しいヴィジョンと戦略、実行力が必要です。

 

■ Chapter 1: 歴史上の重大な経済革命 | The Great Economic Revolutions in History

「コミュニケーション・テクノロジー」「新しいエネルギー源」「交通と輸送機関」の3つのテクノロジーが、現在の私たちの経済生活の基盤となっています。

20世紀の間中その3つを支え続けたのは化石燃料です。肥料、殺虫剤、建築材、ほとんどの医薬品、化学繊維、動力、交通機関、温熱照明 — すべて化石燃料から作られそれによって運ばれています。

 

OPECは、世界を原油で溢れさせ、アメリカのシェールガスやカナダのタールサンドなどの新規のライバル企業を全滅させました。そして今は化石燃料企業同士が争っています。

メルケルが首相となってすぐ私はドイツに呼ばれ、そこで彼女に告げました「ドイツ国内のあらゆる事業が接続された基盤が何年も前に生産性のピークに達しているままでは、成長は不可能」だと。

 

■ Chapter 2: 生産性の科学 | The Science of Productivity

経済成長理論でノーベル賞を受賞したロバート・ソロウは、「生産性を活発化するのはより良い機械と労働者」という考えが誤りで、それが生産性の約14%しか占めていないことを突き止めました。

古典的経済論が記された18世紀末頃の経済学者たちは、経済にはまったく関連のない「すべての作用はそれと等しい反作用を伴う」というニュートン物理学のセオリーを経済に取り入れてしまった。

 

考えるべきは経済効率性(天然資源が価値連鎖を通して転換される毎に失われるエネルギーの割合)です。ドイツは18.5%、日本は90年代に効率性20%に達した。それが限界で以来変わっていない。

私はメルケル首相に「第2次産業革命の基盤に接続されている限り、経済効率性20%は超えられない」と伝えました。物理学者でもある彼女は「第3次産業革命をドイツで行います」と答えました。

 

■ Chapter 3: 新しいスマートな基盤 | A New Smart Infrastructure

今、ワールド・ワイド・ウェブ、再生可能エネルギー用インターネット、交通・輸送用インターネットからなる1つのスーパーインターネットが作られています。IoT(Internet of Things)です。

これは第3次産業革命です。これまで独占的な力を手にしていた中央権力や仲介業者を回避し、協力的で、オープンで、透明であるほどうまく機能する中立性の高い相互貢献型のネットワーク経済です。

 

一方で、ミレニアルズ以降の3世代は、政府や巨大モノポリー企業のデータ独占、プライバシーの確保、サイバー犯罪との戦い…これらの新しく苦しい政治運動を続けることとなります。

この運動に勝ち続ければ、あなたはこの新しい基盤に繋がりビッグデータ分析により経済効率性を劇的に向上できるでしょう。そしてエコロジカル・フットプリントとコストが劇的に削減されたとき、まったく新しい経済システムが生じます。

 

■ Chapter 4: 限界費用ゼロ社会と共有経済の誕生 | Zero Marginal Cost and the Rise of the Sharing Economy

20世紀末のナプスター(ファイル共有システム)の登場はデジタル革命につながり、限界費用(1ユニットの生産費用)ゼロを実現しました。ウィキペディアは知識の民主化を進め、ミレニアル世代は共有経済という新しい経済システムを生みだしました。

アダム・スミスは「個人は自己利益を追求するだけで公益には無関心だ」と言いました。私の世代はそう聞かされて育ちました。でもミレニアル世代は誰もアダム・スミスを読んでいないようです!

 

IoTによって、限界費用ゼロ体制はデジタル界から物質界へと広がり、今や何百万人が再生可能エネルギー限界費用ゼロ近くで生産しています。次の20年間で輸送交通も同じになるでしょう。

メルケル首相との最初の会話からの10年で、ドイツでは電力の32%が太陽と風力発電となりました。太陽も風もタダですからドイツに請求書を送ってきません。近いうちに限界費用ゼロとなるでしょう。

すべての人がそれを共有できるようになったとき、第2次産業革命国はどうやってそれと競うのでしょうか?これは大国ドイツだけの話ではありません。小さな隣国デンマークもすでにこれを行いました。誰にでもできることなのです。

 

太陽熱はいたる所で少しずつ集めなければなりません。風も地熱も同様です。地域が協力し合う協同組合が力を持ちます。比喩的にも文字通りの意味でも「パワー(エネルギー)・トゥー・ザ・ピープル」です。

第3次への移行期間の間に、何千という企業と提携して、エネルギー管理、ビッグデータ分析、アルゴリズムやアプリのサポートをするという運営システムに転換できない企業は倒産するでしょう。

ヨーロッパに続いたのは中国です。最初に現政権に呼ばれて話をしたわずか11週間後には、中国のエネルギー供給網をインターネット化し、何百万という中国人が自分たちの地域で太陽と風力から生産したエネルギーを共有するための、820億米ドルを投じたプロジェクトがスタートしました。

 

地球温暖化におけるCO2排出の1番の原因はビル建築、2番が肉の消費、3番目が輸送機関です。でも求められるものが車の所有権からモビリティへのアクセス権へと変化したので、次の2世代にかけて自動車の80%が排除されます。

生き延びたければ、交通機関業界もこの転換期の間に新システムへ転換しなければなりません。

ダイムラー社はこの3年で30万台のトラックにセンサーを装備し、経済効率性と生産性を高め、環境負荷を減らすための交通、天候、倉庫のデータをヨーロッパ中から集めています。

そして自動運転テクノロジーにより、トラックの運転手たちはもはやドライバーではなく、経済効率性を高めるためにデータを管理・監視するソフトウェア・アナリストになったのです。

 

■ Chapter 5: 転換用の資金調達 | Financing the Transition

このチャンスを手にするために、ヨーロッパはEUと協力し、次の10年で第3次産業革命の基盤を構築します。資金は、投資先の優先順序を考え直し、すでに生産性のピークに達している古い基盤の補正費用の中からいくらかをそちらに振り分けます。

私たちはこれを「デジタルヨーロッパ」と呼んでいて、中国にも似たような「チャイナ・インターネット・プラス」という計画があります。さてアメリカはどうするのでしょうか?

 

■ Chapter 6: 集団就職の世代 | The Generation of Mass Employment

古い基盤からスマートな基盤への転換は、エネルギー供給会社や、建設業、不動産業の大仕事を意味します。ロボットやテクノロジー自体が絶縁体の設置や全電気供給網のデジタル転換作業はできません。次の2世代分の人間の労働が必要となります。

政府の多大な関与は必要ではありません。エネルギー貯蓄によって払戻しできるのですから、エネルギー供給企業を中心に進めることができます。もちろん難しいチャレンジですが、この5〜60年で人間が作った電気供給網、高速道路、都市を見れば可能であることが分かります。

 

■ Chapter 7: 新しい時代の新しい認識 | A New Consciousness for A New Era

私が子どもの頃は、親が「あなたのおもちゃを買ってきたわよ。自分のなんだから大事に使いなさい」と言いました。今はサブスクリプションサービスから新しいおもちゃが届き、「次の子も楽しめるように大事に使おうね」と親は言います。子どもが学ぶのは「市場と所有権」から「一定期間における経験へのアクセスと、循環経済の一部となる術」へと変わったのです。

2050年までに、「資本主義市場」と「共有経済の中」という2つの成熟したシステムが成り立ち、1日の中で人はそれを行き来するようになるでしょう。消費者主義から持続可能性へ、市場資本から社会資本へ。

 

「自由」の定義が、「自律性・独立性・排他性」から「ネットワーク・コミュニティーへのつながり」へ。「権力」の定義が「縦型のピラミッド」から「どこまでも横に広がるネットワーク」へ。「コミュニティー」の定義が「乏しい資源をめぐるゼロ・サム・ゲームの戦いにおける仲間」から「生物圏意識を持った地球環境を守る仲間」へと変化しています。

14歳の子が夕食の場で親に言っています「僕のハンバーグはたった3年分の牧草を得るために焼き払われてしまった熱帯雨林から来たの?」「そこでしか生活できない動物や植物の希少種は絶滅してまうよ」「CO₂を吸収するはずの木々がなくなったら洪水や干ばつがますます酷くなるよ」と。

 

私は、1973年にエネルギー問題に取り組み始め、1980年に『エントロピーの法則—地球の環境破壊を救う英知』という本を書きました。あの頃の私はフィードバック・ループを予測していなかった、もっと時間があると考えていたのです。今、私は、環境変化に本当に怯えています。

幸運なことは、私たちには第3次産業革命という、すばやく炭素を断ち切る新しい基盤の枠組みとそれを可能にするテクノロジーがあります。限界費用ゼロは環境負荷ゼロを実現し、循環経済を流通させるのです。

もし、環境変化に取り組み経済を動かす他のプランがあるのなら、ぜひそれを聞きたい。でも、誰もそれを見つけられていないのです。

 

 

いかがでしたか?

動画にはこの後、講演参加者とのQAタイムがたっぷり30分くらい取られています。もし「そちらも読みたい」という方がいるようだったら、近いうちに続きを載せようと思います。

Happy Collaboration!

 

 

ジェレミー・リフキンが『限界費用ゼロ社会』を書いたのが2015年。その2年後、私は『勝手要約『限界費用ゼロ社会』』というブログ記事に要旨をまとめました。2年経っていたからこそ時代が追いついて、内容がはっきり理解できました。

そして先日、今から2年前の2018年にNYのブルックリンで行われた講演『The Third Industrial Revolution: A Radical New Sharing Economy』をYoutubeで見ました。

 

 

衝撃的でした(そして続けて3回見ました)。

ここ数年で自分がIoTやAIというテクノロジーについて学んだのと、地球温暖化や循環経済(サーキュラーエコノミー)について学んだこともあり、2年前に語られたリフキンの言葉がグッと目前に迫ってきました(これほどの知の巨人が本当に心から恐れているのです! 私もようやく本当の危機感を持って感じられるようになった気がします)。

そしてまた、COVID-19後を見据えるべき今だから、社会をアップデートするまたとないチャンスの今だからこそ、多くの人が見るべきものじゃないかと心から思います(なお、動画には日本語字幕も付いています)。

 

動画は100分超えの長さですが、リフキンのストーリーテラーとしての力と熱量がすごく、おそらく見始めて10分を過ぎたらもう止めることはできないでしょう。

とは言え、今の時代100分を費やすことを躊躇する人が多いのも理解できます。もし、全部を見る時間が取れないという人は — あるいはまず要旨を確認したいという方は — かなり絞って要点をまとめたので、まずはこちらをお読みください。

なお、チャプター毎にかなり文字量が異なりますが、これは実際に各チャプターにリフキンが費やした時間を反映しています。

 


■ オープニング

世界中でGDP国内総生産)が減速しています。それはこの20年間、世界中の生産性が低下しているからです。その結果失業率が非常に高くなり、それが最も際立っているのがミレニアル世代です。

そして私たちは環境変化の真っ只中にいますが、もっとも恐ろしい「地球の水循環の変化」がまったく明らかにされていません。この惑星の気温が0.6℃上がる毎に、大気に吸い上げられる水分量は7%上がり、それが千年に一度にしか起こらないはずの大雨大雪洪水を「新しい日常」にしています。

この環境変化による最悪の結果を阻止するチャンスは、40年以内に炭素の使用を無くす以外ありません。それを実現する経済的パラダイム・シフト – 新しいヴィジョンと戦略、実行力が必要です。

 

■ Chapter 1: 歴史上の重大な経済革命 | The Great Economic Revolutions in History

「コミュニケーション・テクノロジー」「新しいエネルギー源」「交通と輸送機関」の3つのテクノロジーが、現在の私たちの経済生活の基盤となっています。

20世紀の間中その3つを支え続けたのは化石燃料です。肥料、殺虫剤、建築材、ほとんどの医薬品、化学繊維、動力、交通機関、温熱照明 — すべて化石燃料から作られそれによって運ばれています。

 

OPECは、世界を原油で溢れさせ、アメリカのシェールガスやカナダのタールサンドなどの新規のライバル企業を全滅させました。そして今は化石燃料企業同士が争っています。

メルケルが首相となってすぐ私はドイツに呼ばれ、そこで彼女に告げました「ドイツ国内のあらゆる事業が接続された基盤が何年も前に生産性のピークに達しているままでは、成長は不可能」だと。

 

■ Chapter 2: 生産性の科学 | The Science of Productivity

経済成長理論でノーベル賞を受賞したロバート・ソロウは、「生産性を活発化するのはより良い機械と労働者」という考えが誤りで、それが生産性の約14%しか占めていないことを突き止めました。

古典的経済論が記された18世紀末頃の経済学者たちは、経済にはまったく関連のない「すべての作用はそれと等しい反作用を伴う」というニュートン物理学のセオリーを経済に取り入れてしまった。

 

考えるべきは経済効率性(天然資源が価値連鎖を通して転換される毎に失われるエネルギーの割合)です。ドイツは18.5%、日本は90年代に効率性20%に達した。それが限界で以来変わっていない。

私はメルケル首相に「第2次産業革命の基盤に接続されている限り、経済効率性20%は超えられない」と伝えました。物理学者でもある彼女は「第3次産業革命をドイツで行います」と答えました。

 

■ Chapter 3: 新しいスマートな基盤 | A New Smart Infrastructure

今、ワールド・ワイド・ウェブ、再生可能エネルギー用インターネット、交通・輸送用インターネットからなる1つのスーパーインターネットが作られています。IoT(Internet of Things)です。

これは第3次産業革命です。これまで独占的な力を手にしていた中央権力や仲介業者を回避し、協力的で、オープンで、透明であるほどうまく機能する中立性の高い相互貢献型のネットワーク経済です。

 

一方で、ミレニアルズ以降の3世代は、政府や巨大モノポリー企業のデータ独占、プライバシーの確保、サイバー犯罪との戦い…これらの新しく苦しい政治運動を続けることとなります。

この運動に勝ち続ければ、あなたはこの新しい基盤に繋がりビッグデータ分析により経済効率性を劇的に向上できるでしょう。そしてエコロジカル・フットプリントとコストが劇的に削減されたとき、まったく新しい経済システムが生じます。

 

■ Chapter 4: 限界費用ゼロ社会と共有経済の誕生 | Zero Marginal Cost and the Rise of the Sharing Economy

20世紀末のナプスター(ファイル共有システム)の登場はデジタル革命につながり、限界費用(1ユニットの生産費用)ゼロを実現しました。ウィキペディアは知識の民主化を進め、ミレニアル世代は共有経済という新しい経済システムを生みだしました。

アダム・スミスは「個人は自己利益を追求するだけで公益には無関心だ」と言いました。私の世代はそう聞かされて育ちました。でもミレニアル世代は誰もアダム・スミスを読んでいないようです!

 

IoTによって、限界費用ゼロ体制はデジタル界から物質界へと広がり、今や何百万人が再生可能エネルギー限界費用ゼロ近くで生産しています。次の20年間で輸送交通も同じになるでしょう。

メルケル首相との最初の会話からの10年で、ドイツでは電力の32%が太陽と風力発電となりました。太陽も風もタダですからドイツに請求書を送ってきません。近いうちに限界費用ゼロとなるでしょう。

すべての人がそれを共有できるようになったとき、第2次産業革命国はどうやってそれと競うのでしょうか?これは大国ドイツだけの話ではありません。小さな隣国デンマークもすでにこれを行いました。誰にでもできることなのです。

 

太陽熱はいたる所で少しずつ集めなければなりません。風も地熱も同様です。地域が協力し合う協同組合が力を持ちます。比喩的にも文字通りの意味でも「パワー(エネルギー)・トゥー・ザ・ピープル」です。

第3次への移行期間の間に、何千という企業と提携して、エネルギー管理、ビッグデータ分析、アルゴリズムやアプリのサポートをするという運営システムに転換できない企業は倒産するでしょう。

ヨーロッパに続いたのは中国です。最初に現政権に呼ばれて話をしたわずか11週間後には、中国のエネルギー供給網をインターネット化し、何百万という中国人が自分たちの地域で太陽と風力から生産したエネルギーを共有するための、820億米ドルを投じたプロジェクトがスタートしました。

 

地球温暖化におけるCO2排出の1番の原因はビル建築、2番が肉の消費、3番目が輸送機関です。でも求められるものが車の所有権からモビリティへのアクセス権へと変化したので、次の2世代にかけて自動車の80%が排除されます。

生き延びたければ、交通機関業界もこの転換期の間に新システムへ転換しなければなりません。

ダイムラー社はこの3年で30万台のトラックにセンサーを装備し、経済効率性と生産性を高め、環境負荷を減らすための交通、天候、倉庫のデータをヨーロッパ中から集めています。

そして自動運転テクノロジーにより、トラックの運転手たちはもはやドライバーではなく、経済効率性を高めるためにデータを管理・監視するソフトウェア・アナリストになったのです。

 

■ Chapter 5: 転換用の資金調達 | Financing the Transition

このチャンスを手にするために、ヨーロッパはEUと協力し、次の10年で第3次産業革命の基盤を構築します。資金は、投資先の優先順序を考え直し、すでに生産性のピークに達している古い基盤の補正費用の中からいくらかをそちらに振り分けます。

私たちはこれを「デジタルヨーロッパ」と呼んでいて、中国にも似たような「チャイナ・インターネット・プラス」という計画があります。さてアメリカはどうするのでしょうか?

 

■ Chapter 6: 集団就職の世代 | The Generation of Mass Employment

古い基盤からスマートな基盤への転換は、エネルギー供給会社や、建設業、不動産業の大仕事を意味します。ロボットやテクノロジー自体が絶縁体の設置や全電気供給網のデジタル転換作業はできません。次の2世代分の人間の労働が必要となります。

政府の多大な関与は必要ではありません。エネルギー貯蓄によって払戻しできるのですから、エネルギー供給企業を中心に進めることができます。もちろん難しいチャレンジですが、この5〜60年で人間が作った電気供給網、高速道路、都市を見れば可能であることが分かります。

 

■ Chapter 7: 新しい時代の新しい認識 | A New Consciousness for A New Era

私が子どもの頃は、親が「あなたのおもちゃを買ってきたわよ。自分のなんだから大事に使いなさい」と言いました。今はサブスクリプションサービスから新しいおもちゃが届き、「次の子も楽しめるように大事に使おうね」と親は言います。子どもが学ぶのは「市場と所有権」から「一定期間における経験へのアクセスと、循環経済の一部となる術」へと変わったのです。

2050年までに、「資本主義市場」と「共有経済の中」という2つの成熟したシステムが成り立ち、1日の中で人はそれを行き来するようになるでしょう。消費者主義から持続可能性へ、市場資本から社会資本へ。

 

「自由」の定義が、「自律性・独立性・排他性」から「ネットワーク・コミュニティーへのつながり」へ。「権力」の定義が「縦型のピラミッド」から「どこまでも横に広がるネットワーク」へ。「コミュニティー」の定義が「乏しい資源をめぐるゼロ・サム・ゲームの戦いにおける仲間」から「生物圏意識を持った地球環境を守る仲間」へと変化しています。

14歳の子が夕食の場で親に言っています「僕のハンバーグはたった3年分の牧草を得るために焼き払われてしまった熱帯雨林から来たの?」「そこでしか生活できない動物や植物の希少種は絶滅してまうよ」「CO₂を吸収するはずの木々がなくなったら洪水や干ばつがますます酷くなるよ」と。

 

私は、1973年にエネルギー問題に取り組み始め、1980年に『エントロピーの法則—地球の環境破壊を救う英知』という本を書きました。あの頃の私はフィードバック・ループを予測していなかった、もっと時間があると考えていたのです。今、私は、環境変化に本当に怯えています。

幸運なことは、私たちには第3次産業革命という、すばやく炭素を断ち切る新しい基盤の枠組みとそれを可能にするテクノロジーがあります。限界費用ゼロは環境負荷ゼロを実現し、循環経済を流通させるのです。

もし、環境変化に取り組み経済を動かす他のプランがあるのなら、ぜひそれを聞きたい。でも、誰もそれを見つけられていないのです。

 

 

いかがでしたか?

動画にはこの後、講演参加者とのQAタイムがたっぷり30分くらい取られています。もし「そちらも読みたい」という方がいるようだったら、近いうちに続きを載せようと思います。

Happy Collaboration!

 

 

 

 

あらゆる類の誘いは断っていい (Feel no guilt

オリジナルはこちら

「あらゆる類の誘いは断っていい。それに対して罪悪感を感じる必要はない。感じ過ぎると自分もみんなも生きづらくする。」
今回、もっとも書きたいことはこの55文字に集約されます。でも、だからと言って「罪悪感を感じないで!」とだけ言われても、「どうやって?」という方が多いですよね。なので、私が思う方法を書こうと思います。

…と、思ったら、effy系ギークハウスを母体に社会変革を企てている小出さんがすでに書いていました。読んでみれば「なるほど〜。違和感ないです!」って感じ。

というわけで、今回は以上です。

 

…と言うのも芸がないので、小出さんの論を受けて少し違う観点から書いてみようと思います。

なお、遅くなりましたが、今回の話の発端はこちらの『Zoom飲み、なぜ疲れる? スマートな4つの断り方とは | Zoom飲み・集いの誘いを断ったっていい。そして、それに対して罪悪感を感じる必要もないのだ。』というHUFFPOSTの記事に関するやりとりが発端となっています。

 

まずは、小出さんの論をおれなりにザクっとまとめてみます。

[小出さん曰く…]に続くのが記事につけられている小見出しで、そのあとに俺なりにミニマムにポイントを[なぜなら…]に続けて書いてみました(「なぜなら」で文章がつながらないところもあるのはご愛嬌)。

 

  • [小出さん曰く…] ちょっと疲れるけど、人は本能的に群れることが大好き! | [なぜなら…] 群れる生物として生き抜いてきたのがヒトだから
  • [小出さん曰く…] 技術が群れなくても良い手段を作った | [なぜなら…] インターネットにより、物理的に群れなくても群れることのメリットが得られるようになった
  • [小出さん曰く…] 頭ではわかっている! でも心が追いつかない… | [なぜなら…] 「群れる必要はない」と理屈では分かっていても、DNAに染み付いた不安感は拭えないから
  • [小出さん曰く…] 不安を煽る噂話、怒りを誘う陰謀論 | [なぜなら…] 自分の「群れたい」欲をデマなどで煽って満たす人、それを金銭に変えている人もいるから要注意
  • [小出さん曰く…] 「群れる」のに使いやすいレッテル | [なぜなら…] 人種・国籍・イデオロギーなどによる区分で形作られた「対立構造」を目にしたら疑ってかかろう
  • [小出さん曰く…] 自分を変える | [なぜなら…] 人に「レッテル」を貼って安心感を得るのではなく、自己肯定感を高めるて「群れる/群れない」の選択権を手にしよう
  • [小出さん曰く…] 火をつける | [なぜなら…] とは言え、全員が自ら自己肯定感を高めるのは難しい。まずはできる人から丁寧に周囲に広げていこう
  • [小出さん曰く…] システムを作る | [なぜなら…] 心理的な安全性を提供する技術とシステムがあれば、活動は効率的になる。一緒に作りませんか?

 

 

ここからは「あらゆる類の誘いは断っていい。それに対して罪悪感を感じる必要はない。感じ過ぎると自分もみんなも生きづらくする。」という自分の考えに肉付けしてみます。

 

■ 人はなぜ断ることが怖いのか

人が誘いや頼まれごとを断るのに対して感じる「抵抗感」の中心は、この辺りではないでしょうか。

  •  誘ってくれた相手をがっかりさせたくない
  •  協調性がない人、付き合いの悪い人だと思われそうで不安
  •  自分を仲間だと思ってもらえなくなりそうで怖い

他にもきっとあると思いますが、8割型ここに収まりそうな気がします。そしてもう一歩その先に進むと「不利益を被りたくない」という意識/無意識が見えるような気がします。

 

■ 断ることが怖いと人は何をしてしまうのか

それでは、誘いを断ることが怖い人はどんなことをしがちなのでしょうか?

  •  誘いに乗って、自分をすり減らす
  •  誘いに乗って、家族や別の人との関係性をすり減らす
  •  誘いに乗らなかったものの、「それが正しかったのか」とか「それが何かを引き起こしやしないか」とあれこれ考え自分をすり減らす

結局全部、何かをすり減らしてしまう気がします。でも、すべての誘いを受けていても「何もすり減りやしない」という人がもしいるのならば、それはそのままでいいのでしょう。

 

ところでこの「抵抗感とすり減らし」の関係、「失敗を恐る感覚と挑戦を避ける」関係性にどこか似ているような気がしませんか?

  •  十分な能力がない人だと思われてしまいそうで怖い
  •  実際の能力が明るみになりそうで怖い
  •  弱点が明るみに出たらそこに付け込まれてしまうかもしれないという不安
  •  現在の自分のポジションや役割に疑問を投げかけられることにつながりそうで不安

 

こうした失敗への恐怖と不安が、以下の行動につながっていきます。

  •  挑戦する/せざる得ない場面に居合わせないよう常に注意を払う
  •  挑戦する対象に興味がないふりをして距離を取る
  •  挑戦の難易度レベルを極端に下げる

 

「良い結果だけを褒められた子どもは、良い結果が出せるものしかやりたがらなくなる」 — このマインドセットの研究結果を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。大人も同じですよね。

それでは、これによって得られるものはなんでしょうか。あからさまな書き方をすれば「メンツをどうにか保っている(ように本人には思える)」ことだけではないでしょうか。

表面的には自尊心を下げないかわりに、その裏で「恐怖や不安に屈した自分」という場面を1つ増やしてしまっている…。おれにはこれは自分を傷つけ自己肯定感を下げていることに思えて仕方ありません。

 

 

■ 断ることを怖くなくするためにはどうすれば良いのか?

これに関しては、小出さんが『自分を変える』の中で書いていることとほぼ同じことが頭に浮かびます。

  •  自己肯定感を高める訓練
  •  自分は十分素晴らしい(…)十分承認されているんだと、心の底から確信できるようにする
  •  何があっても自分は大丈夫だと、自分に自信を
  •  群れる必要はなくなったんだという体験を、自ら飛び込んで、たくさん積んでいく

 

1つだけ、小出さんが書いていない要素を加えます。

逆説的ですが、断ることに慣れるために、断られることに慣れることから始めてみてはどうでしょうか。そのためには、まずは自分が誘ったり頼んだりすることが必要です。

自分が誘う側になると、断られることはわんさとあります。断られる理由はいろいろとあって、その理由を1つ1つ追っていてはキリがありません。そんな経験を身を以てすることができます(マーケティング/集客を仕事にしている人はむしろここを徹底的に掘り下げる訓練にはなりますが)。

 

とは言え、一世一代渾身の企画をして断られまくるのは練習にはふさわしくありません。

断られたところで痛みを感じない、むしろ「断られて当然」というレベルのことを企画して、友人知人をお誘いしてみましょう! 誘う相手も、広く軽くゆるく選んでみましょう。

 

いまなら、ゆるイベントへのお誘いを、広く伝える手段はたくさんあります。

Facebookを使っている人なら、15分もあれば「非公開イベント」を作ることができます。あるいはPeatixなどのイベント管理ツールも簡単に使えます。

なにしろ、「断られて当然」で、誰も来ない可能性もあるゆるゆるイベントなんですから、かっこいい募集ページなんて必要ありません。

 

例えば、下記のようなイベントはどうでしょうか?

  •  (手芸が好きなら)マスクの作り方を実況中継するオンライン・イベント
  •  (生け花が好きなら)自分が生け花をする様子を実況中継するオンライン・イベント
  •  (料理が好きなら)キッチンで料理を作る様子を実況中継するオンライン・イベント
  •  (読書が好きなら)自分のお気に入りの一冊をひたすら説明するオンライン・イベント
  •  自分が感謝している人やものについてそれをただ紹介するだけのオンライン・イベント

 

ポイントは、人が来ようが来まいが自分が楽しめそうなことをすること。そしてイベントの説明に「自分が好きなことをするだけのイベントであり、参加者の期待に応える気はない」と明記すること。

ひょっとしたら、「軽く」誘ったのにも関わらず、誰かが「ごめんねその日は参加できません。なぜなら…」って説明を送ってくるかもしれません。そのときにはそれもさらっと「軽く」答えましょう。誘いに乗るのも断るのも別に大ごとじゃないってことを自分自身に教えるために(そしてできれば、同時に相手にも伝えるために)。

 

1つ、気をつけるべきことがあります。イベントは非公開として、自分が招待した人以外は申し込めないようにすること。あくまでもこちらが誘った人だけが見ることができるようにするのを忘れないように。

むかーし、誕生日パーティーが公開イベントになっていて、何千人も来ちゃったなんて事件がアメリカでありました。同じことが起きる可能性は少ないですが、あなたのことを知らない人がふらっとやってきて、「こんなイベントは意味がない!」みたいなことを言い出す可能性もありますから(「参加者の期待に応える気はない」と書いても、そう言う人はいるものです)。

 

■ まとめ

デンマーク文化を研究していると、彼らの中に確固とした「自分とみんな」というスタンスがあることに気がつきます。

自分が他人と違うというのは当たり前のことであり、だからこそ一緒に何かをするのが楽しいし意義深いことになるということを彼らは知っています。意見や感じ方がみんな同じだったら、何かを一緒にしても新しいものが生まれる可能性は少ないですよね。

もちろん、意見や感じ方が同じってことが仲間意識を高めてくれるし、その機会がとても貴重なことは間違いありません。でも、いつも常にみんなと同じって、おかしいですよね? (深く深く「みなとまったく同じ自分」を突き詰めていくと「一体自分は何者で、どうしてこの世界に存在しているのだろうか」というアイデンティティ・クライシスにつながりそう…。)

 

「自分はみんなと同じだけど違う」あるいは「自分はみんなと違うけれど同じ」。

それが当然なんだから、それをもっと肯定的に受け入れてみませんか?

それを実践していくと、もしかしたらあなたは「変わりもの」「変人」として周囲に受け止められるようになるかもしれません。でも断ることに慣れていくように、群れから距離を取ることにも慣れるものです。

そして本当のあなたを出して暮らしていくのは、ずっと楽しいしずっと楽で、生きやすいですよ。

Happy Collaboration!