Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

2019年の15冊と振り返り

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2019年に読んだ本は12/19日時点で91冊でした。去年より9冊少ないけど、年末にまとめてそれくらい読みそうな気もします。今年の傾向は、例年より「最後まで読みきらずやめた」本が多かったことかも。

でもそれは、意識して手にしないと読みそうもない本に意識的にチャレンジしたってことなので、全然問題なしです。ただ残念なのは、そういうチャレンジから「これは!」みたいな意外な発見がほぼなかったこと。好みが強くなり過ぎちゃってるのかも? まあそういう時期もあるってことでしょう。

というわけで、勝手に恒例にしている「今年のおれの10冊(くらい)」を。今回も「あくまでも2019年におれが読んだ本」であり、出版年度は関係ありません。

 

でもその前に、こないだ大急ぎで作ったEGM Forum 2019忘年会用の「おれの2019年を振り返る」っていう8分間のライトニング・トークの資料もシェアさせてもらいます。


(正しく表示されない場合は、こちらのSlideShareのリンクをご覧ください。)

言いたいことは1つだけで、「今年は髪型いろいろ変えたよ」ってことです。

…ウソww。今年は、自分がずっと心中奥深くで恐れていたことに向き合う年になり、ガッツリそれと対峙した結果、怖いものがほぼ無くなって(一つだけ残ってる)無敵になれたよ。ますますこれからが楽しみだよってことです。

こうやって書くと、「痛い勘違いしてる人」って思われちゃいそうだな…。まあでも実際そうなのかもしれないね。とにかく、失ったらそれを大いに悲しんで、もう一度そこから手にしようとすればいいってことです。

 

というわけで、ここから10冊(くらい)を。

 

幸せがずっと続く12の行動習慣

ソニア・リュボミアスキー 著。放っておいても幸福になれる人もいるけど、幸福になろうとすることでなれる人もたくさんいるのです。詳しくはブログで。以下、好きな本の中の言葉やフレーズを。

■ 熱中できる活動を増やす
自分が関心を向けられるものは限られているので、どんなものに、どのように注意を払うかを選ぶことが大切です。

■ 人を許す
許しとは、あなたが自分のために行うものであって、あなたを傷つけた人のために行うものではない

■ 考えすぎない、他人と比較しない
くよくよ悩むことや社会的比較に負けそうになったら、こんなふうに自問自答してください。「1年後にも、これは重要なことだろうか?」と


 

幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年

ソニア・リュボミアスキー 著。デンマーク関連の本はかなりいろいろ読んでいるのですが、個人的には「外国人が腰を据えて暮らしてみた」中で見えてきたものを書いているのが一番リアルな気がしてます。

ラース・フォン・トリアーは、1995年に映画運動「ドグマ95」を(…)始めた。この運動の目的は「予測できるプロット」「表面的なアクション」、そして「ひたすら技術を駆使する映画作り」に終止符を打つための10のルールを儲け、映画製作を「純化」させること

■ マイヤーはシェフたちに呼びかけ、北欧料理を発展させるための方針を掲げた。ちょうど「ドグマ95」が映画の原点に戻ることを業界に呼びかけたように原材料は現地の季節の食材を使うことが「北欧料理シンポジウム」で決められた。18時間もの長い時間をかけてワークショップが行われ、シェフたちは「純粋さ、新鮮さ、シンプルさ、そして倫理」を表現するために「北欧の気候風土に特に会う原材料や製品を優先させる」という、「新北欧料理マニフェスト」を作り上げた


 

HYGGE―バツ2アラフィフ こじらせキャリアウーマンの人生再生物語

シャーロット・エイブラハムズ 著。胡散臭さたっぷりのベタなタイトルでちょっと損をしているんじゃないかな? ヒュゲに関してすごくよく研究されている内容です。

デンマーク人が「自分の人生には目的がある」と信じられるのは、私たちが取るに足らないものとして見過ごしている活動が、彼らにとっては価値ある活動になっているからじゃないでしょうか。それも、ヒュッゲのおかげで。

■ ヒュッゲっていうのは、心が体に追いつく時間をつくること(…)自分にやさしくするというのは要するに、罪の意識を感じないで定期的に休みをとり、その休み時間を何か穏やかで楽しい活動に当てること。

■ どこかあたたかで心地よい場所、目を喜ばせてくれる場所、私たち自身を物語る場所で生活したいという望みは、ずっと昔から誰にでもありました。ヒュッゲはただ、その望みに原則と名前を与えるだけ。


 

説教したがる男たち

レベッカ・ソルニット 著。自分も「説教したがる男」であることを、そして「特権を手放そうとしない人」だという事実を改めて突き付けられました…。

■ 合衆国でこの30年で起きた62件の銃乱射事件のうち、女性が犯人だったのはたった一件しかない(…)銃で射殺される女性のうち実に三分の二は、パートナーか元パートナーの手にかかってなくなっている(…)この国では9秒間に1度の頻度で、女性が殴られている。

■ 私たちはまだまだ解放されているとは言えない。競争と無慈悲さと短絡的な思考と社会的・経済的個人主義を賛美するシステムから。環境破壊と無制限の消費を確実に引き起こす、資本主義と呼ばれるシステムから(…)これがパンドラが開けた箱、精霊が抜け出したランプだ。いまではすっかり、監獄か棺桶みたいに見える。この戦いで人々が死んでも、思想は決して死なない。


 

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

トッド・カシュダン & ロバート・ビスワス=ディーナー 著。オリジナルタイトルがいいよね『The upside of your darkness』。かっこいい。おれなりにまとめると「自分自身であれ」って本で、そのためには「自分を客観的に眺められるスキルが必要」だよ、と。

■ 恥をかかせればかかせるほど、その人の不安と攻撃性は増大し、周囲から孤立していく。罰として恥をかかせるというのは、悲惨な逆効果をうみ、やめさせようとする行動をかえって助長することになる。
相手に改心させたいのであれば、辱めるのではなく「罪悪感」を持たせるべきだ。

■ 安楽さを求めるという当たり前に見える行為は、実はみな「不快感」を避けるためのものである。しかしそのことを理解している人は少ない。他者から拒絶されることを怖れる人は、人に会うことを避ける。失敗を怖れる人はリスクを冒そうとしない。他者との親密な関係を怖れる人は、退社後の時間をテレビやメールに費やす。何かを避けるという行為は、現代の構造的問題である。


 

本当の勇気は「弱さ」を認めること

ブレネー・ブラウン 著。彼女の本には他にも素晴らしいものがあるけど、おれはこの作品が一番だと思う。TED動画も最高。傷つかずに生きようとするよりも、傷ついてもすぐに立ち直れるように。

■ 悲しい出来事や喪失にあらかじめ備えることはできない。せっかくの喜びのチャンスをことごとく絶望のリハーサルにしていたら、立ち直る力をくじくことになる。たしかに喜びに気を許すのは不安が残るかもしれない。怖いかもしれない。傷つく可能性もある。それでも喜びを受け入れ、喜びの瞬間に身をゆだねるたび、回復力と希望がはぐくまれているのである。

■ 「私はこれでよい」という確信がないと、「これ以上いらない」とは言えないのだ。
女性が境界線を引くことが苦手なのは、恥のグレムリンが割り込んできて、「ノーと言うことに気をつけろ。みんな、がっかりするぞ。いい子になってみんなをよろこばせなくちゃ」とささやくからだ。男性には「しっかりしろよ。男ならこのぐらいできるだろう。それとも坊やはもうヘトヘトかい?」とささやく。


 

自意識(アイデンティティ)と創り出す思考

ロバート・フリッツ & ウェイン・S・アンダーセン 著。「作品と作者を切り離せ。お前という作者はどうでもいいから、お前という作品を作れ!」というパンクな本。

■ 自分の成功や失敗は、自分ではない。善行も、達成したことも、他人を助けたことも、自分ではない。同様に、自分の怠惰さや無気力さも自分ではない。人は、自分の持ち物には決してなれないのだから。

■ 理想とは、自分がどうあるべきかを描いた絵だ。一方、価値観とは、実際に自分が大事にしているものだ。理想は外側から押しつけられるもので、価値観や志は自分の内側から生まれるものだ。別の言い方をすれば、理想は偽物で、価値観は本物である。


 

No One Is Too Small to Make a Difference

Greta Thunberg 著。グレタのポエトリー・リーディングを集めたものです。ブログにも書いています。おれにはグレタがパンクやってた頃のBjorkに見えるんだけど…2人共、おれにとっては大事なミューズです。

■ Almost Everything is Black and White – Oct. 2018
Everything needs to change. And it has to start today. So everyone out there: it is now time for civil disobedience. It is time for rebel.
あらゆるものを変えていかなくてはなりません。今日から。お集まりの皆さん、ときが来ました。不服従のときです。反抗のときが来たのです。

■ Our House is On Fire – Jan. 2019
Adults keep saying: ‘We owe it to the young people to give them hope.’ But I don’t want your hope. I don’t want you to be hopeful. I want you to panic. I want you to feel the fear I feel every day.
大人たちは「若者に希望を与えるのは私たちの責任です」と言い続けています。でも、私はあなたたちの希望なんて欲しくありません。あなたたちに希望を持って欲しくもありません。パニックになればいい。わたしが毎日感じている恐怖を、あなたたちも感じればいい。

■ A Strange Would – Mar. 2019
We live in a strange world. But it’s the world that my generation has been handed. It’s the only world we’ve got. We are now standing at a crossroads in history. We are failing but we have not yet failed. We can still fix this. It’s up to us.
ここは、奇妙な世界です。でも、それが私たち世代に手渡された世界で、唯一残された世界なのです。私たちは今、歴史の岐路に立っています。私たちは失敗の最中にいます、でもまだ終わってはいません。


 

わたしの良い子

寺地 はるな 著。わたしの一番大好きな作家の傑作です。誰のでもなく、わたしの。

■ 他人の失敗を眺めて「わたしはあんなんじゃないから」と優越感にひたろうとするのは、あさましい行為だ。

■ 誰かにプレゼントをあげたい気持ちや、あげる行為を総称して『サンタクロース』なんだよ。だからプレゼントをあげて誰かを喜ばせたい、って思う人は、みんなサンタクロースなんだよ。だからわたしもサンタクロースなの。


 

僕たちはなぜ取材するのか

藤井誠二 編著。常識の幅を拡張してくれるこだわりの強いジャーナリストたちへのインタビュー集。

■ 僕は相手の話していることを音楽のように聴いているところがあって、だから文章にするときにはテキストを「楽譜」のように扱っているところがありますね。(尹雄大

■ 基本的には、自分が対象に強烈な興味があって、その先にもしかしたら「社会」が見えてくるかもしれないという予感で、いつも取材がスタートします。個人的な興味が先で、極端なことを言えば社会が受け入れてくれるかどうかは二の次です。そんなふうにドキュメンタリーをやっている僕は、業界でも会社でもマイノリティかもしれませんが、僕みたいな人間もいていいだろうという気持ちを持ちながら、仕事をしています。(土方宏史)


 

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために

幡野 広志 著。末期癌のカメラマンである著者(リアリストでおそらくはロッカーだ)が、現在進行形で選んでいる生き方について書いた本。

■ 家族とは「親子」の単位ではじまるものではなく、「夫婦」の単位からはじまるものなのだ 。同性婚を含め、自分で選んだパートナーこそが、ファミリーの最小単位なのだ。親を選んで生まれることは、誰にもできない。でも、パートナーを選ぶことだったら、誰にでもできる。

■ 進路でも、仕事でも、就職先でも、住むところでも、パートナーでも、なにかを選びはじめたとき、その人は自分の人生を歩きはじめる。誰かに奪われかけた自分の人生を取り戻す。
ぼくはこれからも自分を選び、自分の人生を選んでいきたい。そして自分の生き方を選ぶことができなくなる前に、自分が望む最期を選びたい。


 

マイパブリックとグランドレベル 今日からはじめるまちづくり

田中 元子 著。場所が持っている本当の力を教えてくれる一冊。それにしても著者がカッコよすぎ!

■ 別に仕事が嫌いなわけではないけれど、仕事しかないのは、つらくなる。今となっては、仕事だけをする場所では仕事ができない気がしている。そこに仕事以外の何か、他の誰かの存在がなくては、社会的な行いであるはずの仕事というものが、まるで社会と遮断されてしまっているかのように感じるからだ。カフェで仕事が捗るのって、もしかしたらそんな理由なのかもしれない。

■ 自分が存在すると同時に、何者かがそこに存在しているとき、そしてそれが、邪魔や攻撃でもしてこない限り、ひとは、自分がそこに存在することが許されているという、一種の安心感を得るのではないだろうか。


 

組織にいながら、自由に働く。

仲山 進也 著。この人は「言葉の達人」なんだと思う。そして僭越ながら、自分ととても似たところが多い人なんじゃないかという気がしている。スケール感は違うけど、動き方が同じ気がして。

■ パラレルとは「平行」のこと。平行線だと、いつまで経っても交差しません。私は複業をひとつに統合することが大事だと思っている派なので「パラレルワーク」という表現は使いません。

■ 流れが生まれるのは、高低差があるとき(…)コミュニケーションの流れも高低差が大事(…)強みや経験値に多様性があることでギャップが生まれ、その余白を埋めるべくコミュニケーションが交わされる、というのが「滝の法則」


 

「首尾一貫感覚」で心を強くする

舟木 彩乃 著。著者の議員秘書とカウンセラーという一見交わらない仕事の経験が、個人の考えと学術的な記載のバランスをとても魅力的にしている気がします。

■ 首尾一貫感覚は、「Sense of Coherence」が直訳された言葉で、文字通りの意味では、自分の生きている世界が「首尾一貫している」(Coherence)という感覚(Sense)を持っていること、となります。言い換えると、首尾一貫感覚が高い人は、自分が生きている人生について「腑に落ちる」という感覚を持っている

■ 思考は文章の形式にできるもので、感情はひと言で言い表すことができるものです。

たとえば、「私は何をやってもダメな人間だ」とか「相手のことが許せなくて頭がおかしくなりそうだ」というのは思考で、「悲しい」や「ムカつく」は感情です(…)自動思考のもとには、往往にしてこのような”自分に染み付いた価値観”が存在しています(これを認知行動療法では「スキーマ」と呼んでいます)。この”自分に染み付いた価値観”の多くは、幼少期から培われてきた価値観や信念であり、いわば「マイルール」のように自分に染みついています。


 

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」

山口 周 著。「どのあたりが?」と言われると答えに詰まるのだけれど、梅田 望夫さんの『ウェブ進化論』と楠木 健さんの『ストーリーとしての競争戦略』を読んでいて思い出しました。

■ 論理思考の普及による「正解のコモディティ化」や「差別化の消失」、あるいは「全地球規模の自己実現欲求市場の誕生」や「システムの変化にルールの整備が追いつかない社会」といった、現在の世界で進行しつつある大きな変化により、これまでの世界で有効に機能してきた「客観的な外部のモノサシ」が、むしろ経営のパフォーマンスを阻害する要因になってきています。

■ デザイン思考が目指すのは基本的に「問題の解決」です(…)「デザイン思考」というのは問題の解決手法であって、創造の手法ではありません。従って、ゴールは「問題が解決されること」であって、そこに感動があるかどうかは問われない。


 

来年もたくさんの良い本との出会いと対話がありますように!

Happy Collaboration!

 

ハノイで社会起業家たちと考えた

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「記事にすること、言葉にすることで、誤解を産んでしまったり、限定してしまったりすることがある。どうしてもオンラインメディアには限界がある。だからこそ自分の目で見て身体で感じて欲しい。」

ハノイヴィーガン・レストラン「V’s HOME」にて。ヴィーガン・フード初体験しました。)

 

IDEAS FOR GOOD主催の「アジア一幸せな国ベトナムの社会起業家と、本当の「豊かさ」を考える旅 in ハノイ」ツアーに参加してきました。

ベトナムで社会課題に取り組むソーシャル・ビジネス実践団体を周り、ビジネスの背景についてやそこにかける想いを聞いたり、ハンズオンをしてみたりという、「普段とは違う刺激」を矢継ぎ早に受ける濃い4日間でした。(そして、私にとっては14年振りのベトナム訪問でした。14年振り!!)

 

冒頭の言葉は、初日夜の「グループ・チェックイン」(自分が何者で、どんな期待や思いを持ってここに来ているのかをそれぞれが伝えあう場)で、ツアー主催のIDEAS FOR GOODファウンダーの加藤さんがみんなに伝えた言葉の一節です。

滞在中に訪問したりお話しを聞かせていただいたのは全部で10団体ほどとなるのですが、ここでは、特に私に響いた言葉や出来事をいくつか紹介したいと思います。

 

■ Dao’s Care

目が見えない、最高のセラピストたち。ハノイにあるマッサージスパ「Dao’s Care」

「幸せは、自分の幸せに共感してもらうこと。幸せは、自分の職業を自分で選びそこに価値を見出せること。マッサージ・セラピストが幸せなら、マッサージを受ける側にも幸せが伝わる。幸せって簡単に広げられますね。」

— 目の不自由な人や非識字者、少数民俗や孤児…。生きることに苦しんでいる人たちに、生活を支える術としてマッサージ師の技術と心得を伝え、その過程で家族のような結びつきを生み出していく。

高品質のサービスを作り上げて、そこから生まれる幸せをみんなで分かち合う。それを真摯に追うDao’s Careのマネージメント・チームの生き方に対するスタンスは、とてもシンプルでとても力強かったです。

(ファウンダーの一人であるチャンさん(左)は、包み込むような優しい目をしていた。)

 

■ Kilomet 109

古くからある伝統に“モダン”を。職人と若者をつなぐスローファッション「Kilomet109」

「伝統的なハンドメイドに強くこだわっているし、同じようにテクノロジーも大好きで3Dプリンティングなどもバンバン取り入れている。ハンドメイドにもテクノロジーにも限界はある。だからバランスを見ながら互いのいいところを組み合わせている。

伝統的なものを未来に残していこうと思うのなら、そこに新しいテクノロジーやアイデアを加え取り入れていくことが大事。イノベーションこそが、伝統を未来につなぐ。」

— エコフレンドリーな素材と製法にこだわって、伝統手法を引き継いでいる職人たちと共に「スローファッション」を確立しているMs.タウとMr.ジョン。

テキスタイルの作製から販売まで全プロセスをコントロールすること、そして圧倒的なディテールへのこだわりで唯一無二の作品群を確立すること。そうやって職人に適正な給与を払えるようにすることで伝統の火を守り、スーパーハイクオリティの洋服を作り上げていました。

彼らのビジネスモデルが少数民族やエコ素材を通じた「社会的価値を守る取り組み」だということを知らない相手であっても、その技と機能美で圧倒的な価値を感じせる服たちでした。

(「これからは『ポケットの仕上がり』に注目するといいわよ』ってアドバイスもいただきました。)

 

(石で柔らかく加工し光沢がつけられた100%Hempのジャケット。この写真の100倍カッコいい。)

 

■ Takashi Niwa Architect

世界が注目する持続可能な農業幼稚園。そのデザインに込められた、ある日本人建築家の想いとは?

Visualize the Value: ベトナムの建築文化を豊かにする「種」となる建築プロジェクトを。ベトナム人が身近すぎて気づいていない、活かしきれていないValueを感じ見つけ出し、それを形にしていく。風に揺れる植物が、風を視覚化するように。

ベトナムの伝統的な竹組みによる「透け感」のあるレイヤーに、人の動きや依頼主の想い、ビジネスのオリジンをレイヤーとして重ね、景色を作っていく。」
— リノベーション建築家・大島芳彦氏の「あなたでなければ、ここでなければ、いまでなければ」という言葉を大切に、「environment(環境) X culture(文化) X technology(テクノロジー) X material(素材) X energy(エネルギー) X emotion(感情) X activity(行動) X time(時間) X people(人びと)」を重要要素として設計・建築をされているアーキテクト、丹羽さん。

挫折を味わい医師への方向転換を考えた時期もあったそうですが、建築が人の心身に与えるパワーに気づき、医療ではなく建築の道を歩む決心をされたそうです。

(以前のワークショップで使用されたというモットーが貼られた壁。下の模型は海へと吸い込まれていくような独創的なホテル。)


 

ほとんどのツアー工程を終えた帰国前夜の夜、「グループ・チェックアウト」(ツアーを通じて思ったことや、学び感じたことなどを伝えあう場)が行われました。そこでは、みんなが順に特に印象に残った訪問先や言葉、そして「豊かさ」についての想いを伝えていきました。

でも、私はその場では、あえて感じたことを言語化しないようにしました。

それは、私が言葉に縛られてしまうタイプの人間だから。まだ消化できていなままの「そこで見て感じたまま」を「言葉」に形どってしまうと、その後の自分の思考に枠を与えてしまいそうで。
急いで口にした言葉が、本当に見つけたかった価値と自分の間に距離を作ってしまったり、その背後に沈んでしまうことがあるって、これまで何度か経験して知っているから。

 

わたしは、価値を可視化する言葉の力を強く信じています。その力は、今回のツアーで見てきた建築やファッション、マッサージや食、伝統工芸や職人技となんら変わらない「伝える力」だと思っています。

そして、言葉にする中でこぼれ落ちる「何か」も、覚悟を持って引き受けなきゃいけないんだろうとも思っています。
今回のブログ記事では、Dao’s Careさんのように「伝えることで幸せを拡げたい」と思い、印象を言葉にしてみました。

 

今回お話を聞かせてもらった社会起業家たちのように、私も強い軸を意識してモノを書いていきたいです。

「つながりがないように見えるものをつなげる力」を身につけられるように。さまざまな要素を丁寧に重ねて、価値を可視化できるように。

 

Happy Collaboration!

 

さんさんピッチ 年末スペシャル版資料 | STEEPV

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ホームグラウンドの1つである「3×3Lab Future」のイベント「さんさんピッチ 年末スペシャル版」でショート・プレゼンをやることになりました。


さんさんピッチvol.5〜年末スペシャル!〜 SPARKLE×3×3Lab Future
2019年12月4日(水) 18:30-21:00

 

これまでのキャリアが今の自分をどう形作っているのか? 現在力を入れて取り組んでいるのはどんなことか?

— イベント案内ページのこの説明を読んで、「たしかにほぼ毎週、最低2〜3人には『パチさんのやってることの全体像が掴めません…』と言われることだし、今回はそれをテーマに自分のやってきたこととやっていることを話す10分間にしようと決めました。

 

ただ気になるのは、今回のスピーカーがみんな「濃い」こと。

そしてどうやら登壇順が一番最後らしいんです。

うーむ、きっともうみんな「こってり味でお腹いっぱい」になっているんじゃないかな…!?

 

そんなわけで、「あっさり薄め味」なトーク資料を作りました。

頭の中を整理するために、ポイントをここにも書いておこうと思います。


(正しく表示されない場合は、こちらのSlideShareのリンクをご覧ください。)

 

「STEEPV」をご存知ですか?

STEEPVはSocial(社会)、Technological(技術)、Economic(経済)、Environmental(環境)、Political(政治)、Value(価値観)の頭文字を取ったものです、現状分析や未来洞察などに頻繁に用いられるフレームワークです。

モノゴトを多面的かつ包括的に捉えることができるので、ブレインストーミングやキードライバーを考える際など、色々な場面に応用が効くものです。

ただし今日は、それを私が現在やっていること/やってきたことにはめこんでみました。

 

Social(社会)

去年までIBM社内での「社内ソーシャルメディアの推進役」をやっていて、社内外にそこで得た知識や経験、方法論を紹介するコンサルタントをやっていました。

社内ソーシャルメディア推進の根底にあったのは、組織開発や人材育成、ナレッジマネージメントやイノベーション推進です。IBM社内では昨年いっぱいでその仕事を行なう機会がほぼなくなったので、現在は組織風土改革や組織開発の仕事はフリーランスコンサルタントとしてお受けしています。

 

Technological(技術)

IBMでの現在のミッションは、「Watson IoT」というAIの力を活用したIoT(モノのインターネット)事業のインハウス・エディターです。取材をして、社内外向けに週数本の記事を書いたり編集したりしています。

また、さまざまな人や組織との「つながり」を太くしたり伸ばしたりして仲間を増やし、Watson IoTのコラボレーションの輪を拡げていく役割りも持っています。

 

Economic(経済)

金銭的な報酬という観点での「経済」では、私は単発契約の「フリーランサー」として、それからIBMの「正社員」として、そしてもう一つエンゲージメント・ファーストという会社と「アドバイザー契約」を結んで仕事をしています(なお、これはあくまで金銭的報酬による「狭義の経済」の話で、金銭ではなく「心の栄養」や「信頼の醸成」や「未来への希望」を報酬とする仕事もたくさんさせてもらっています)。

こういう複業スタイルが世の中に拡がればいいなと思っているので、積極的にみんなにもオススメしています: #複業しているワケ

 

Environmental(環境)

SDGsを支援しています。パーソナルコミットメントとしてゴール16の「平和と公正をすべての人に」、ゴール10の「人や国の不平等をなくそう」、ゴール12の「つくる責任 使う責任」、ゴール4の「質の高い教育をみんなに」の4つに対し、自分自身のマニフェストを作っています。

資料に書いた「身体を使って自然を楽しむことが<贅沢品>にならないよう、天然資源や食料の大切さを意識し生活する」は、ゴール12の「つくる責任 使う責任」に対する私のコミットメントです。

 

Political(政治)

一般的な「政治的活動」とは違うのかもしれないけれど、私はデンマークに「しあわせな働きかた」を探しにいき、それが政治、教育、職業制度、税制などの「さまざまな社会制度が統合的にデザインされて」成り立っていることを知りました。

そして働きかたへのアプローチ単体では「しあわせな働きかた」は実現しないだろうってことを感じて帰ってきました。

 

私が思うデンマーク社会のキーワード:

#民主主義 – 自分たちで考え、選び、DIYし続ける。

#個人主義 – 個人として自立しながら社会の利益も考える(利己主義ではない)。

#ヒュゲ – 自分も無理せず周りにも無理させず、そのときその場所を共によいものに。

「成熟した民主主義」は、自分自身を知ることと、それを周囲に伝えることから始まると思っています。
そしてその土台は、自分自身のままでいられる場所や関係性を、増やしていくことにあるんじゃないでしょうか。

 

Value(価値観)

世の中は動き続けているけれど、それをどう受け止めるかは人びとの価値観次第です。私は「民主主義」「個人主義」「ヒュゲ」な社会が拡がるように活動しています。

なぜなら、それを実践する人たちに囲まれて暮らすのが自分にとって心地よいから。そしてそれは、みんなにとっても心地よい社会なんじゃないかな? と思うから。

 

私が思う心地よい社会へのキーワード:

#幸福中心主義 – 何が自分を幸福にするもの/ことなのか理解するところから。

#混ぜなきゃ危険 – あなたの非常識は誰かの常識。知らない世界へ混ざりに行こう。

#FutureDesigner – 未来は今ここで作られている。欲しい未来へとつながる<波紋>を。

 

Happy Collaboration! 

 

煮え煮えフードロス

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先週、東京都庁でのイベント「TOKYO×SDGs 都市における美しい資源循環モデルとは?」に、テーブルファシリテーターとして参加してきました。

プログラムディレクターの松尾 沙織さんが紹介した世界と日本の新しいフードロスへの取り組み事例は初めて見聞きする情報に溢れていました。
そして3人のゲストスピーカー、世界のエコビレッジに深い知見を持つ谷崎 テトラさんIBMの同僚でブロックチェーン技術を用いてより良い社会に近づけようと行動されている水上 賢さん、そして業界の常識を覆す完全予約制で「捨てないパン屋」を実現したパン屋「ボングー」坂巻 達也さんの話は、短い時間ながらとても本質的な問いを投げかけるものでした。

多くの参加者がフードロスに対する新しいアプローチやアクションプランを考えることができるイベントになったのではないかと思います。

 

で、ここからは内容についてではなく、イベントが始まるまでおれがずっとモヤモヤしていた点と、イベント中に頭の中で広がっていった考えについて書きます。

 

 

■ 「美しい」資源循環モデルってなんだろう?

「都市における美しい資源循環モデルとは?」というイベントタイトルになんだかモヤっとするものを感じていたのですが、当日の朝、自分が引っ掛かりを覚えているのは「美しい」に対してだということに気がつきました。

その美しさは、誰が感じる美で、どこにつながる美なんだろうか。資源循環モデルに美を求めることは、もしかしたらその実現を遠ざけてしまうことになるんじゃないだろうか?
— そんなことが頭から離れませんでした。

 

そこからさらに「そもそも美ってなんだろう?」「多くの人びとに共通する美の基準があり、個人それぞれが持つ美の基準がある」とか、「1人の個人の中にも対象により異なる複数の美の基準がある」とか、そんなことを考えているうちに「あらゆる状況に適用される美も美の基準も存在しない」をスタート地点としようという考えに行きつきました。

さらにさらに、「アーティストとデザイナーとエンジニアの違い」というここ半年ほど繰り返し考え続けていることへと意識は流れ、現時点での仮定に行き着きました。

アーティストは、自身の中にある美を追求してコンセプトを立てる。
デザイナーは、そのコンセプトをさらに良くする方法を具現化する。
エンジニアは、具現化されたその方法を実装して使えるようにする。

 

人は誰でもアーティストでありデザイナーでありエンジニアです。その3要素をゆるやかに混ぜたりつなげたりしながら、時間を過ごしています。

とは言え、すべてをスキ無くこなす人はそうはいません。そもそも、そうする必要もできる必要もないでしょう。むしろ、1つしかできない人の方が、そこにおいてスペシャルな力を発揮しそうな気がします。

 

おれの中のアーティストが思う。

調和は美であり、調和しにくいものから成れば成るほど、その美しさは増す。

おれの中のデザイナーが思う。

「サーキュラー・エコノミー(循環経済)モデルをデザインするって、無数の大小さまざまな循環のデザインと、それを連ねるより大きなサーキュラーのデザインとからなるような気がする。

おれの中のエンジニアが思う。

サーキュラー・エコノミーをすばやく実装するには「それを実現させたい」と自らアクションを取る人を早く20%にすること、それからそんな彼らが大多数の人たちに好意的に受け止められる環境を作る必要がありそうだ。その2つを結ぶものはなんだろう?

 

 

■ 「もったいない」ものだらけの地から

と、上に書いたことがイベント会場に着くまでに考えていたことでした。

ここからは会場に着き、イベントがスタートして、スピーカーたちの話やテーブルワークをしながら頭の中に広がっていったことを書きます。

 

フードロスを解消する一番のモチベーション、あるいはキーコンセプトはどうやら「もったいない」のようだ。でも、「食べ物を無駄にするなんてもったいない」をどれだけ訴えても、それだけで人々に迫っても、大多数の人たちの行動変容にはつながらないと思う。「もったいない」という気持ちが働く対象は食べ物だけではないから。

例えばコンビニや食品メーカーは、「機会ロス(販売チャンスを逃してしまうこと)」に対する「もったいない」と食べ物への「もったいない」の、どちらを取るかというジレンマに陥り、後者を選んできている。

多くの消費者は、冷蔵庫の奥に入れてその存在を忘れてしまったり、野菜の芯や葉などの一手間かければ美味しく食べれる部分を捨ててしまったりという、「自分の意識や手間にかける時間に対するもったいない」との板挟みだ。

 

そうした他の「もったいない」と食べ物に対する「もったいない」の関係性に変化を与えるもの — 強制力を持った制度かもしれないし、新しいテクノロジーかもしれないし、価値観の軸をずらす出来事かもしれない — が必要だ。

でも、それがなんだか思いつかない…。
もしかしたら「もったいない(失いたくない)の対象」をたくさん書き出していって眺めていたら、新しいつながりや関係性が浮かび上がってくるかもしれない?

 

お金
時間
きれいな空気
安心できる時間
仲間と楽しむこと
安全な水
健康
地位
おいしいご飯
家族
平和
宝もの
理性
居場所
希望
信頼
笑顔
やりがい
しあわせ

Happy Collaboration!

 

カナダドライ

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まさか、私が、このことでこんなに困る日が来るなんて。そりゃ今までだってコンビニとかスーパーで買うときに、少しだけ罪悪感みたいなものを感じることもあったけど…でもそれにしてもこれってまさかだし、まさか過ぎる!!

 

オフィスが新しくなるって聞いたときも、初めてその計画書を見せてもらったときも、それはもう「サイコー過ぎるでしょ!」って興奮したわよ。

「カッコいいオフィスでテンション上がるわね。それに、見た目だけじゃなくて環境にも優しいオフィスって、これからの時代にぴったりって感じ。」ってクールに言ってたけど、内心では「キャー♪」って叫んでたわよそりゃもう。職場じゃそういうキャラだと思われてないから出さなかったけど。

北欧風のオフィス家具や室内植物多め、これって自慢できるし気持ちいい。室内の熱効率向上や無駄な電力消費カットのためのテクノロジーも入っているって、なんだかエコでイケてる会社の仲間入りを一挙にしたって感じ!

…でも、まさか「環境に優しいオフィス」が、こんなに私に厳しいなんて…。
私は、ただ、大好きなカナダドライを好きなときに飲みたいだけなの。それだけ。
それなのにどうして、どうしてこんなに不便な思いをしなちゃいけないの?

 

プラスチックが環境に大きな悪影響を与えているなんてことくらい、いまどき小学生だって知ってる。海がマイクロプラスチックで一杯で、そのうちお魚が食べれない日が来るかもって言われていることだって理解している。

それから、最近、全然似合ってないジーンズとか履いて会社に来るようになったうちの社長やら役員たちが、みんなでお揃いで付けてるカラフルなバッヂが、「環境に優しい会社アピール」のものだってこともこないだ雑誌で読んだから知ってる。

 

でも、だからってどうして、私が会社でカナダドライを飲めなくなるのよ?

なんなのその「オフィスへのペットポトル飲料持ち込み禁止」って?!

間違いなくちゃんと分別して捨てるし。なんなら飲み終えたペットボトル家に持ち帰ったっていいし。

それなのにどうして「オフィスへのペットポトル飲料持ち込み禁止」なのよ!

 

……あーあ。私もクニちゃん先輩みたいにコーヒー中毒だったら良かったのになぁ。それかりんごジュース中毒とか。せめてコーラ中毒なら、瓶とか缶のもあちこちで売っているのに。

え? …知ってる。カナダドライにも缶のがあるって。

でもオフィス5分圏内のコンビニの、どこにも置いてなかったの。ほんっとコンビニってどこも同じ品揃えで。どこか一軒くらい缶のカナダドライ置いてたっていいと思わない?

 

そう言えばこないだ、ハイネケンだったかカールズバーグだったかが、紙製のボトル入りビールを開発中だって、どこかのニュースサイトに載ってたわね。これ、カナダドライだって紙パック入りにできるってことよね。早く広まらないかなぁ。できれば今週中くらいに…。

とりあえず今週はどう乗り切ろうかしら? 遠くのスーパーまでダッシュして一気飲みして帰ってくるのは、もう辛くてヤダ。

 

これまでただひたすら臭くて迷惑としか思っていなかったけど、なんだか今は、喫煙者の人たちの気持ちがちょっと分かるかも…。

オフィスの喫煙所がなくなって外に出され、次にそれも廃止されちゃって、今じゃ「業務時間中の喫煙禁止」ってなって…。

「みんなに迷惑をかけない吸い方」だってあるかもしれないのに。…あ、でも最近は三次喫煙なんていうのも言われてるらしいから、やっぱりないのかも。…でもだからって「禁止」で終わらせるのってどうなのかしら?

みんなで考えれば、みんなが納得する方法がもしかしたら見つかるかも。とにかく、今なら喫煙者のみんなと気持ちを分かち合えそう。

 

 

実は、これまで数えるほどの相手にしか言ったことがないんだけど、私がカナダドライ中毒になったのにはある出来事が関係している。

昔、私が中学校2年生になるまでうちにはおばあちゃんが一緒に住んでいて、自営業でいつも忙しくしていた両親の代わりに、毎朝毎晩私のごはんを作ってくれて、いつも一緒に2人だけでごはんを食べていた。

おばあちゃんはうちの両親よりもずっとハイカラな人で、若い頃にはパリで暮らしていたこともあるらしい(「おじいちゃんとは違う人と同棲してたこともあるの。でもこれは2人だけの秘密よ」って、いつも言ってた(笑))。

そんなおばあちゃんが、ごはんの時いつも飲むのがカナダドライだった。食事中に、お茶みたいにゴクゴク。洋食でも和食でも、どんなごはんにもカナダドライ。今考えると、なんだかちょっとハンバーガーとコーラのトランプみたい?

そして私も、いつもおばあちゃんにちょっと分けてもらって飲んでいた。

 

中2の冬休み、私は友だちに誘われて生まれて初めてスケートに行った。朝ごはんの時からソワソワしていたのは、初めてのダブルデートも初めてだった。

おばあちゃんがニヤニヤしているのが恥ずかしかった。それで、えーっと、デートのことは置いておいて。

いつもよりちょっと帰りが遅くなって、7時半ころに帰宅して玄関を開けたら、そこにおばあちゃんが倒れていた。顔が真っ白だった。

キャーって大慌てで両親を呼びに行こうとしたら、おばあちゃんが目を開いて「きっともうこれが最後だから。先にカナダ持ってきて」って小さな声で。大急ぎで冷蔵庫から取ってきたら、ほんの少しだけ飲んで、っていうか舐めて…。

それがおばあちゃんと話した最後の言葉だった。おばあちゃん、いつもカナダって呼んでた。

 

その後、私はカナダドライを見ると涙が止まらなくなって、次にカナダドライを実際に飲んだのはそれから9年経ってからだ。エドモントンの大学に留学して、好きな人ができて、一緒に暮らすようになって…。

ちょっと待ってて。この話をするにはやっぱりカナダが必要。取ってくる。

 

Audition (the fools who dream)

03:58

Audition (the fools who dream)

 

この冴えない話はすべてフィクションです。実在の組織や人物とは一切直接的な関係はありません。

最近、周りに「ペットボトルで飲んでる人とは付き合い辞める」とか、「ペットボトル持ち込み禁止オフィス」とか、「プラスチックストロー置いてる店は絶対お断り」とか、そういう人やケースに遭遇する機会が多くて、なんかもやもやするなぁって気持ちをそのままもやもやするストーリーにしてみました。

もちろん、完全拒否するのも自由なわけですが、いろんな事情もあるし、聞く耳持たない感じというかゼロかイチかに簡単に分けようとするのはどうなのかなぁって。

Happy Collaboration!

 

フューチャーズデザイン・ワークショップ後の自分スキャン

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先週は丸3日にわたりBespokeの「フューチャーズデザイン・ワークショップ」の通訳&ファシリテーションをやりました。

受講者としてだったり通訳としてだったりワークショップデザイナーとしてだったり。いろんな立場でフューチャーズデザインに関わりコンテンツや進め方を考えてきましたが、今回はこれまでで一番深くフューチャーデザインの「存在意義」と「自分がそこで果たすべき役割」を考える機会になりました。

 

具体的には……。

実は、具体的な言語化がなかなか進まなくて、自分の中にあるいろいろなものとつながりながら広がっていっている状態で、「形を持たない感覚」が強いまま「しっかりとした手応えのある言葉」にできていません。

でも、この3日間をきっかけに、頭の中のさまざまが「純化」したり「風化」したり「転移」していくのだろうと予感があります。なんというか…高速で景色を切り替えたので、まだ脳内にハレーションが残っているような感じです。

ただ、そんな自分の今をスキャンしておきたいなって気持ちが強いのです。

 

 

■ 投げるのは石か、紙飛行機か

未来に向かって石を投げる。
大きな湖の真ん中に、どでかい石ができるだけ勢いよく落ちるように。波紋が1番遠くまで広がるように。その間には、きっと別の波紋にも出会うに違いない。

未来に向かって紙ひこうきを投げる。
石よりも軽い分、うまく風に乗ればすごく遠くまで届くかもしれない。でも、飛び方はきっと真っ直ぐじゃない。ひょっとしたら右や左に90度、思いもよらなかったところに着地するかも。

石に何を込めるのか。紙飛行機に何を載せるのか。

 

 

■ 変化させたくないもの

<何を残したいか、どんな強い価値感がそこにあって、それをどう次のステージへと進化させたいのかを僕らは理解しているべきなんだ。だから、残し続けていきたいと思うものと捨て去りたいものを、見極められなくちゃならないんだ。> — 変化とは変化しないものを見つけること より。

何かを変えることには、変えたかったそれとは違う何かを変えてしまうリスクがある…いや、ほとんどの場合違う何かを変えてしまうだろう。でも、何かを変えないと判断することも、違う何かを変えてしまうのだ。

何を変わらせず、何を守りたいのか。
変えることも守ることもできないからこそ、それを理解しておきたい。
 

 

■ 物語のちから

まず先にあるのは出来事や事象、物体で、人は後からそれらに名前を付ける。名前を持ったそれらが連なって意味をなし文章となり、文章が連なって意味をなし物語になる。

名前を付けることは物語を作ることだ。

言葉は水みたいだし物語は川みたいで、いろんなものを流していく。川が巨大で勢いを増せば、綺麗なものも醜いものも、良いものも悪いものも飲み込んで混ぜ合わせて連れていく。

雨粒が多いほど物語はその力を増す。そして支流を生んだり取り込んだりするように、物語もサブストーリーを生んだり取り込んだりしていく。

 

 

■ 感情と態度と行動の伝染力

感情と態度と行動はつながっている。感情は態度に伝染り、態度は行動に伝染る。

どんな気持ちで過ごしたいのか。どんなスタンスでいたいのか。どんな行動を広めたいのか。感情と態度と行動を一度に全部変えるのが難しければ、どれか一つから選んでみる。それで未来が変わる。

感情は周囲に伝染っていく、良い感情も悪い感情も、自分の周囲に伝染り、その周囲にもまた伝染る。態度と行動も同じだ。

しあわせや喜びを感じながら生きたいなら、しあわせや喜びが自分の元に何度も戻ってくるように、自分の周囲にそれを伝染していけばいい。態度や行動を習慣化すればいい。
習慣を意識することは未来を意識することだ。

 

 

■ Open Exploration(オープン・エクスプロレーション)

学びであれ実践であれ、対象範囲は柔軟に変えられるほうが良いだろう。とは言え「Open」という一言にまとめてしまうと、人は相対的な起点と到達点を求めて、キョロキョロと周りを見渡し模倣を始めようとしてしまう。

制約を課すこと。それからアクシデントを招き入れることをデザインする。それがOpenのOpenたるところを輝かせ、自由を羽ばたかせる。

期待に応えることと期待を探ることばかり上手になってしまった僕らには、期待はリミッターではなくあくまでもセーフティーネットだと、繰り返し伝え続けなければならない。

 

 

■ 私たちをかたちづくるのは

「私たち」とは誰で、それはどうやって生まれるのか(どうやって壊れるのか)?

何が「私たち」を作っているのかを知ることで、壊さないようにすることもできるしトドメを刺すこともできる。「私たち」を私たち足るものにしているのが何なのか、知ってみたら、案外どうでもいいと思うかも。

こちらとあちら。これとそれ。境界線を意識してデザインすることで、「私たち」の形を変えることも、私たちの今をアップデートすることも、破壊することもできる。私たちを拡大しよう。縮小しよう。

 

 

■ 「決定の消耗」vs 「選択の自由」

人は、クッキーかチョコレートか、白シャツか黒シャツかといったそんな些細な選択にさえ決定力を削がれる。そして1日の中で、意思決定力は使えば使うほど疲弊していき、その質にばらつきが出るようになるという。決定力は消耗していくのだ(「ジャムの法則」)。

一方で、人は、選択できないことや決定権を持っていないことを嫌い、恐れる。僕らは自分で選びたいのだ、自分が選ぶのがたいして上手くもないってことを知っていたとしても。

選択をする側にいるときも、選択してもらう側にいるときも、「ジャムの法則」を忘れないようにしよう。

 

 

今回私が書いたものは、フューチャーズデザイン・ワークショップのスピーディーな展開の中で、見過ごされがちな部分にフォーカスして、私なりの視点で深掘りしたものです。最初に立場について書きましたが、その点で言えば「ワークショップデザイナー」視点が強いかな。

これを読んだ人は、フューチャーズデザインを「ふわふわとしたもの」って思ってしまうかも? でも、それは誤解です。「次回参加してみようかな?」と思う方は、ぜひこちらの本「フューチャーデザイナー・ブック – 未来を創る方法論と実践方法」を読んでみてください。オンラインだと、IDEAS FOR GOODのワークショップレポートをご覧いただくのが良いかと思います。

 

もう少ししたら、この中のいくつかをもう少しはっきりした言葉で伝えられるようになるんじゃないかという気がしています。

そのときには、是非またお付き合いください。そして願わくば、あなたもフューチャーズデザイナーに。

Happy Collaboration! 

 

持続的幸福の入手およびお手入れ方法 - 『幸せがずっと続く12の行動習慣』読書メモ

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1 「幸福という感情は伝染する」

2 「幸福とは自分自身のなかにある」

3 「幸福は自分で育てて強められる」

ここ10年ほどで、この3つは科学的な根拠を持つ事実としてかなり広く知られるようになったと私は思っているのですが、実際のところどうなんでしょうか。

「何それ聞いたことない」とか「びっくり科学でしょ?」って人もまだ結構いるのかな?検証や研究を発表し、わかりやすく解説する本が多数出版されているので、興味をお持ちの方はぜひ読んでみてほしいのですが、私なりの言葉で解説すると以下のようになります。

 

1 「幸福という感情は伝染する」

感情の多くは、物理的に近い距離にいる人にほど伝染しやすい。心理的な近さも同様。
そして不幸の感情よりも幸福の感情の方が伝染力が強いことが統計的に証明されている。

2 「幸福とは自分自身のなかにある」

幸福は「心の状態」であり、自分自身や周囲との関係性、世界や未来をどのように捉えどのように感じるかにより決まるもの。

3 「幸福は自分で育てて強められる」

人の幸福度を決定する要因は、50%が遺伝で10%が環境、残りの40%はその人の行動や考え方。
どんな遺伝子を持っていてどんな境遇にある人でも、その40%を活用すれば幸福になれる。

 

どうでしょうか。特に3の遺伝子や環境の話って、知られていないような気がします。

なお、この遺伝子や環境が与える効果の調査方法はなかなか興味深く、生まれてすぐ引き離されて異なる環境で育てられた一卵生双生児(遺伝子がまったく同じ)や、まったく同じ環境で育てられた二卵性双生児(遺伝子の半分が同じ)などの長期研究などを通じて明らかにされています。

(詳しく知りたい人には『双子の遺伝子』という本がおすすめです。)

 

 

「自分のしあわせ」にこだわって過ごしている私にとって、この3つはとても重要です。

なぜなら、私の人生の目標は「幸せに過ごす」ことだから。

それを実現するには1の伝染力を最大限に用いて「幸せな人に囲まれている」状態を作りたいし、そのために2と3のことを多くの人に知ってもらって、今現在の私の近く(物理的にも心理的にも)にいる周囲の人たちに幸せになってもらう必要があるし、未来のいつかに私の近くにいる人たちにも幸せになってもらっておく必要があるから。「周りを幸せにすることで私も幸せになる」という算段です。

 

そんなわけで、今回は「自分自身のなかにある幸福」を上手に見つけて、それを「自分で育てて強める」方法を紹介しているいくつかの本の中から、世界的なベストセラーでありクラシックとなっている一冊『幸せがずっと続く12の行動習慣 自分で変えられる40%に集中しよう』を紹介します。

まずは、その中で特に「ピンときた」一節を。

 

多くの人は幸福へ通じる唯一の秘密の小道を辛抱強く探し続けます。しかし実際には、みんながより幸福になるような魔法の方法などありません。人それぞれで、ニーズや関心、価値観、性向は異なるので、その人によって力を注ぐ方法、効果が期待できる方法も異なります(…)方法や行動が「感情面で自分にマッチするかどうか」はとても大切なことです。もし、もっと幸せになるための秘訣のようなものがあるとしたら、それは幸せになるためのどの方法や行動が自分に最適かを突き止めることでしょう。

 

私がこの本をとても好きな理由の1つが、「万人に当てはまる幸せになるための方法はない」と断言しているところです。

そして、「自分に合う方法を見つけてもマンネリ化や義務感を感じるようになったら意味がない」ことと、「自分の幸せなんだから自分の好きなようにどんどんアレンジしていけば良い」ということを強調していることです。

 

より具体的な方法としていくつかの行動習慣を身につけることを勧めているのですが、その方法も大別して12種類。その中でさらにいろいろと違う方法が紹介されています。

著者は「まずは4つ選んでやってみれば?」と、選ぶ方法を本の中で紹介しています。ただ、私はもっと直感的にピンとくるものを選べばいいんじゃないかなという気がしました。多分、直感的に「これだ!」だったり「これはないわ…」ってものも少なくないと思うので。

 

■ 大別された12種類の中からいくつか

・ 感謝の気持ちを表す

感謝とは、物事を大切に味わい、それを当たり前だとは思わず、現在に価値をおくものです。また、ネガティブな感情の解毒剤であり、ねたみや強欲、敵意、不安、いらだちを中和させるもの

・ 楽観的になる

楽観的になるとは、世界をどう見るかという姿勢を選ぶことです。ネガティブなものを否定し、好ましくない情報をすべて避けるという意味ではありません。

・ 考えすぎない、他人と比較しない

くよくよ悩むことや社会的比較に負けそうになったら、こんなふうに自問自答してください。「1年後にも、これは重要なことだろうか?」と(…)問題が本当に深刻なもので、1年後にも重要だろうと判断した場合、「この経験から、どんなことを学べるか」を考えてみてください。

・ 親切にする

人を助けたり、価値のある理念のためにボランテイアをすると、あなたの能力や資質、専門知識が誰かの役に立っていることが強調され、自分の人生をコントロールできている感覚が生まれます

・ 人間関係を育てる

重要なのは「よいニュース」に反応すること(…)どれほど小さなことでも、友人や愛する人がよい知らせをもってきたら、「積極的で、建設的な反応」、つまり興味や熱意を込めて反応してみてください。

・ 人を許す

許しとは、あなたが自分のために行うものであって、あなたを傷つけた人のために行うものではない(…)許しを与えれば、人は前に進んでいけるのです。

・ 熱中できる活動を増やす

あなたが注目し、関心を向けるものこそが、あなたの経験(…)自分が関心を向けられるものは限られているので、どんなものに、どのように注意を払うかを選ぶことが大切です。

・ 身体を大切にする — 瞑想と運動

瞑想を実践した人々は対照グループと比べると、右の前頭前葉よりも左の前頭前葉の活動に増加がみられました(…)定期的に瞑想を行うことで、より幸福になり、不安や落ち込むことが少なくなる

 

 

最後に、この本の中で紹介されている「幸福度スケール」と学生や若者の幸福感の低さについて。

4つの質問への回答から自身の幸福度を測るのが「幸福度スケール」なのですが、仕事をしている成人や仕事を引退した人たちの平均点が5.6点なのに対して、大学生の平均点は5点を少し下回るそうです。

高校生や中学生についての記載はなかったものの、想像するに、おそらくは大学生と同様で、成人よりも低いのではないか、という気がします。

 

だから、今、なんだか辛かったりしんどかったりする学生や、まだ働き始めて数年の方たちは、心配しすぎないようにしてください。

周囲と自分を比べて意味なく落ち込んだり、置かれた環境の中で自分を活かす方法を見つけられずに無力感に襲われたり、なんとかしなければと焦りばかりが募ったり…。きっとそんなこともあるだろうと思います。

でも、そんな状況を1個ずつやっつけたりやり過ごしたりしていくという「状況に対する受動的な行動」と、上に書いたような「幸福感を自分で能動的に育て強める行動」を重ねていくうちに、今よりも幸福感を楽しみながら過ごせるようになります。だから心配しすぎないで。


 

幸福になろうと思わなかったりなろうとしなくても、なれる人もいます。(「おめでとう!」)

でも、なろうとすることでなれる人もたくさんいるのです。(そんな人にも「おめでとう!」)

Happy Collaboration!