Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

大学生のみんなからの質問へのおれなりの答え。

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先日の中央大学での授業で、熱心な学生のみなさんからたくさん質問をいただきました。

その場で答えをお伝えしたものの、後ろに予定が入っていて授業後は30分くらいしか時間が取れず、時間も言葉も足りず十分伝えきれなかったんじゃないか…と感じています。

そしてまた、関連した質問を別々に個別にいただいて、質問への答えをあの場のみんなにもシェアできたら、もっと立体的にお伝えできたような気もしています。

 

そんなわけで、記憶に残っているいただいた質問に、改めて答えを書いておきます。
言うまでもないけど、「みんなもそうすべきだ。そう考えるべきだ」なんてつもりで答えを書いているわけじゃないです。今のおれの価値観ではこう思っているし、これまでこうしてきましたよってだけの話です。
質問いただいた生徒さんに届きますように。

それにしてもめっちゃ長くなってしまったので、ページ内アンカーリンクを置くことにします。

また、一通り資料を使って話をして、ワークシートを使った「自分の仕事に対する価値観発見」ワークをやった後にいただいた質問なので、「何を言っているんだろう?」「どうしてこんな質問が? 答えが?」と思われる方は資料をさらさらっとみていただいた方が良いかもしれないと思うので、前回と同じものですが置いておきますね。

 

— フリーターやってる間に不安は感じていなかったんですか?

— 学校やめてクリエイターに専念しようかと思ってるんですが、アドバイスもらえますか?

— 入学して2カ月、学部が合いません…ベンチャー企業でお手伝いしている方が楽しいし、そういう仕事に就くのに役立つと思えなくて…。

— 今、20歳に戻れたらどうしていますか?

— 現在からフリーター生活を振り返って後悔していることは?

— ワーホリでどうやって暮らしてたんですか?

— マーケティングの仕事ってなんですか?

— 家の伝統を守るために、とある仕事に就かなきゃいけないんですが、ものすごく狭き門を突破する必要があり、自信がありません。ダメだったらどうすればいいのでしょうか?

— わたしはヒッピー的な暮らしに惹かれ憧れてるんですが、パチさんも同じような感じなんじゃないですか?

— 外資系の企業だから学歴なしで入れたんですか? 人事部に対してどんなアプローチをしたんですか?

— どのタイミングでの、なにをきっかけに「お金」が働くことの目的じゃなくなったんですか?

— 新しいことへのチャレンジにすぐに脚がすくんでしまうし、決断できないタイプなんです…

— すばやく次々と新しい道に進んでますが、その秘訣は?

— 復業をオープンにして面倒なことってないんですか? そもそも許可されてるんですか?

— 何歳まで働きたいですか?

— しあわせって求めるものなんですか? あるものなんじゃないですか?

 

 

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  — フリーターやってる間に不安は感じていなかったんですか?

もちろんありました。将来どうなるんだろう? これでいいのかな? って。

ときどき眠れないような日が続くことも…。でも、それはフリーターじゃなくても同じだったんじゃないかな? 将来とか未来って本質的に不確定要素に満ちているものだから、それは不安を募らせるものだしワクワクさせるものでもある。

要するにどう捉えるかは自分次第で、フリーターじゃなくて会社員になったって公務員になったってミュージシャンになったって変わらない。安定感がいくらか増すだろうけど、不安が消えるわけじゃない。

 

  

  — 学校やめてクリエイターに専念しようかと思ってるんですが、アドバイスもらえますか?

学校やめて専念する必要が本当にあるんだったらいいんじゃない? やめる必要が「けじめをつける」とか「退路を断つ」とか、自分や周りに「本気であることを示すため」だったら、別に学校をやめずにクリエイターやってればいいんじゃないかな。

おれも「ミュージシャンになるんだから高校なんて通う意味ない。やめよう」って思ってやめようとしたんだけど、母親に頭下げられて、やめることをやめた。今思えば、別にやめたところで毎日昼間からずっと練習したり、一年中ツアーに出たりするわけじゃないんだから、やめる理由がないよね。

それに、制約があるほうがいいものが作れるってことも少なくないよね。おれ自身、クリエイターとしてそれを感じることは少なくないな。

 

  — 入学して2カ月、学部が合いません…ベンチャー企業でお手伝いしている方が楽しいし、そういう仕事に就くのに役立つと思えなくて…。

まず「ベンチャー企業でお手伝いしている方が楽しい」っていうけど、お手伝いしている何を楽しんでいるかを掘り下げた方がいい気がします。例えば、「マーケティング支援」が楽しいのだとしても、コピーをウンウン唸りながら考えるのか楽しいのか、みんなで共同作業をして形を生み出していくのが楽しいのか、調べ物して知らない世界を見たり、報告書を作ってそれが人に「伝える」ための作業だから楽しいのか。

そうやって考えていくと、なにが楽しくて、何に自分が価値を見出しているのかが分かってくると思う。そしたら、今いる学部で学ぶことでそれに役立てられるものがないか、考えてみたら?

それでもやっぱり「ない」って感じて、他に魅力的なものがあれば、そっちに向かえばいいんじゃないかな。

 

  — 今、20歳に戻れたらどうしていますか?

うーん、多分またミュージシャンしていると思う、で、もっといっぱい練習していると思う。

「世に知ってもらう / 認めてもらう」ためのやり方はきっと今風に変えるだろうけど、ミュージシャン同士が音楽で伝え合うあの感覚は忘れられないし、自分と自分の好きな人たちのメッセージをもっと届けたいって気持ちは変わらないだろうから。

 

  — 現在からフリーター生活を振り返って後悔していることは?

後悔していることは人生にいろいろあるけど、「フリーター生活だから」って後悔はないかな。むしろ、その時期にいろんなバイトして、いろんな状況で「働く人」たちを見てきたことが今の自分につながってると思うので。

ただ、時間の使い方としては、もっと語学とスポーツにも力を入れてれば良かったかな。世界とコミュニケーションするための道具を磨いておけばよかったかな。

 

  — ワーホリでどうやって暮らしてたんですか?

海外でバイト探すのって、ほんと難しいからね…。おれがようやく見つけたレストランのバイト、初めて2カ月で店が潰れちゃったし。

でも、どうにか暮らさなきゃいけないので、お金を持ってる留学生が多く住むアパートのゴミ捨て場から日本のファッション誌や洋服を拾って、ガレージセールで売ったりしてました。

ときどき「え! これ捨てちゃうの?!」みたいな新品の家具とか家電製品もあったりしたなぁ。

 

  マーケティングの仕事ってなんですか?

難しいな。多岐に渡ります。最近だとソーシャルメディアでバズらせるみたいなマーケティングもあるし、どこに売れる領域があるか市場調査するようなのもあるし、キャンペーンプランを作ったり、コピーを書いたり、ストーリーテリングをしたり。

で、そういう「作業」で分けていっても、実際には一つ一つの作業の中にいろんな要素があって、そのどれが自分の仕事の価値観とあっているのかあっていないのかを知ることが重要だったりします。

マーケティングの中にも、クリエイティブが求められる部分とまったく求められない部分もあるってこと。だから「アイデア出しが好きな私にはマーケティングが向いているだろう」みたいな考えで仕事を選ぶと、まるっきりアイデアなんて求められていないマーケティングの仕事に行き着いちゃうこともあるよ。

 

  — 家の伝統を守るために、とある仕事に就かなきゃいけないんですが、ものすごく狭き門を突破する必要があり、自信がありません。ダメだったらどうすればいいのでしょうか?

まず本当に絶対「就かなきゃいけない」の? 自分としては就きたいの、就きたくないの? そこをよく考えようよ。で、自分が「就きたい」と思うんだったら「家の伝統を守るために」とかもう関係なくね? どっちでもよくね? 「就きたい仕事に就くには狭き門を突破しなきゃならない」– じゃあどうしようか? って話だよね。

ダメだったらどうするかは、他のことをするしかないよね現実には。そのときに、自分が欲しいものの延長線上で考えよう。例えばプロの俳優とかミュージシャンになれなかった人はいっぱいいるよね。じゃあなんでそれになりたかったのか? 抽象度を上げて考えれば「人に言葉を伝えて感情を湧き立てることが好き」なのかもしれない。それだったら、それを味わえる仕事はなんだろうかって考えていけばいいんじゃないかな。

 

  — わたしはヒッピー的な暮らしに惹かれ憧れてるんですが、パチさんも同じような感じなんじゃないですか?

よく分かったね! 実はおれ「アーバンヒッピー」を自称しているんです。今年の3月には続けざまにヒッピー発祥の地であるサンフランシスコのヘイト&アシュベリーと、デンマークに今も残るヒッピーの街クリスチャニアに続けて行ったりもしてきたところです。

でも、ヒッピーをどう捉えているかにもよるし、おれにとってはヒッピーであることは自由をつねに尊重し続けるってことなんだけど、それを続けるのは楽なことじゃないって知っていた方がいいと思う。ヒッピーってある意味極端なライフスタイルだからさ。いろんなものを諦めたり捨てたりしなきゃいけない場面っていうのもきっと出てくるよ。

それから最近だとデンマークでは「エコビレッジ」が増えてきていて、おそらく日本でも今後本格化してくると思うから、ちょっと注意を払っているといいかもね。

 

  外資系の企業だから学歴なしで入れたんですか? 人事部に対してどんなアプローチをしたんですか?

たしかに「外資系だから」かもしれないけど、はっきりは分からないです。事業部門のマネージャーが採用権を持っていて、人事部門より強いかどうかがポイントなのかも。少なくともおれの場合はそうだったのかもね。直接「あんたみたいなのがあたしのチームには必要なのよ」って言ってくれて、それで採用プロセスがスタートしたから。

人事部に対してアプローチというのはおれは一切したことないです。もしかしたらIBMもその前のネットイヤーグループも、おれを誘ってくれた人が人事部に対してなんらかのアプローチをしてくれていたのかもしれないですね。

 

  — どのタイミングでの、なにをきっかけに「お金」が働くことの目的じゃなくなったんですか?

やっぱり生活が困窮していたころはお金が目的だったよね。衣(医)食住に必要なお金がギリギリだった間は。でもだんだん必要なものが減ってきて。ベースギターなんて3本も4本も必要ない、あってもいいけど必要じゃない。iPhoneだって新しいものの方がかっこいいかもしれないけど、自分にとって必要な機能は7くらいで十分だし。

そうやって見つめなおしていくと、案外お金って別にいっぱい要らないなって気づいた。ある程度の満足感を得られるだけの生活費が稼げれば、そこから先は興味のないことを2時間やって1万円もらうより、無給で2時間仲間と楽しい時間を持つ方が自分にとっては幸福だし価値を感じる。

それに「お金がたくさんもらえること・ところを求める」ことを中心に置いて活動する自分を、自分はこの後も好きでいられるのかって考えたら、無理だったんだよね。自分にとって一番身近で大切な自分を自分が嫌いになってしまったら…って考えたら、それはすべきじゃないなって思わない?

 

  — 新しいことへのチャレンジにすぐに脚がすくんでしまうし、決断できないタイプなんです…

こう見えて、実はおれにもそういうところ結構あります! なので自分に決めているルールがあります。

それは「やったことないことに誘われたら断らない」ルールです。

もちろん、どうしても魅力を感じないこととか金銭的な負担が大きすぎるとかで断ることだってありますよ。でも、基本的にはおれを誘ってくれたってことは、たぶんおれに合うとか良いとか思ったから誘ってくれているんだろうし、それに自分からなかなか「チャレンジしよう!」って動き出せないおれにはぴったりのルールだから。
就職も転職も、その前のワーホリもそば屋も、考えてみたら全部自分から決めたことは一個もなくて、全部誘われてやってみたことばっかり。だから、やっぱりおれには合ってるんだと思う。

  

 

  — すばやく次々と新しい道に進んでますが、その秘訣は?

すばやいかな? 自分ではあんまりそう思っていないんだけど。

でも、これも自分に決めていることがあって。それは「いつもできるだけ身軽でいること」。

おれは妻と賃貸マンションで二人暮らしをしているんだけど、子どもも家も持ちたくなくて。なぜなら自分の性格的に、子どもにべったりになってしまいそうだし、家を持ったら引っ越しとか億劫で、その街から出ることを考えなくなってしまいそうだから。

だからモノもあまり所有したくないし、時間や場所を束縛されるような仕事にもあまり近づきたくない。

もしかしたら「来週からデンマークで一緒に働こう」って誰かに誘われるかもしれない。そういうときにその場で「YES!」って即決してすぐに動ける状態でいたい。

 

  — 復業をオープンにして面倒なことってないんですか? そもそも許可されてるんですか?

許可はされてます、申請して承認はもらっています。ただ、いちいち「こんどのはこれです。こんどのは…」と毎回やってるわけじゃないので、厳密に言えばビミョーなのかも。

重要なのは、会社に大きなダメージを与えかねないようなことが何かを自分の頭で考えること。おれはIBMという会社や自分の上司や仲間をリスペクトしているので、会社や彼らからリスペクトされるように行動して、お互いがお互いを信頼しあえる関係性を大事にしている(つもり)。

オープンにして面倒なことは…ゼロではないかな。でも、あえて積極的にオープンにしている。それは複業って本来人にとって普通のことだと思うし、隠さなきゃいけないような後ろめたいことはしていないし、「隠しておいた方がやっかまれたり非難されたりしないから良い」という考え方が多数派となっている世の中を変えたいから。

 

  — 何歳まで働きたいですか?

一生働いていたいよ。

おれは収入の有無を「働く」と紐づけていないから、誰かに価値を渡すために行動することが働くことだと思っているので、ずっと働いて喜んでもらいたい。いつかすごいベーシックインカム制度ができてお金のためになんかまったく働かなくてよくなっても、きっと働いていると思う。

 

  — しあわせって求めるものなんですか? あるものなんじゃないですか?

多分その通りであるものだと思う。でも、求めることでもっと「ある」ことに気づけて、そうやって気づいて「大切だな」とか「嬉しいな」って感じたり味わったりすることで、もっと大きなものにできるんだと思うんだよね。

そしてその大切なしあわせを記憶のバッグにたくさん持っている方が、ものすごく大きなショックや悲しみとか、深い落ち込みとかから、自分を引っ張り上げやすくなるんじゃないかと思ってる。

それに日々の暮らしの中でも小さなしあわせをちょこちょこ味わうことで、周りの人にもそれを分けてあげたくなるんじゃないかな。しあわせって分けても手元のものが小さくならなくて、むしろどんどん増えて大きくなるものだからさ。

 

 

中央大学のみなさん、おれの価値観にお付き合いいただきありがとうございました。

また追加で質問があったらご遠慮なく!

Happy Collaboration!

働きかた x 幸福中心設計 (中央大学 PBL講座資料)

オリジナルはこちら

 

今週の木曜日、仲良くしてもらっているparkERs梅澤さんにお声かけいただき、中央大学PBL(Project Based Leaning)講座でゲスト登壇させていただくことになりました。

テーマは「働くとは?」。

 

私にお声かけいただいたということは、私という「変わった実例」を学生の方々の前に置いて、「働く」ということの多様な捉え方やアプローチ、そして少々奇妙なワークスタイルなどについて考える場にしようということだと思います。

「45分のセッションと30分のQAタイム」ということで、学生のみんなとしっかり時間をかけて考えたり話したりすることができると思うので、ちょっとした個人ワークなども含めたセッションにしようと準備を進めています。

が! じつは結構久しぶりなんですよねー。授業や講座の一環としてこういう場を持つの。はたして、ちゃんと聞いてもらえるかしら? とちょっと不安もあるので、先にこのブログで資料をシェアして、皆さんからのフィードバックを参考にさせてもらえればって思っています。

 

 

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講座の大きな流れとしてはこんな感じを考えています。

 

■ 自己紹介(パチって何の仕事をしてる人?)

日本アイ・ビー・エムの正社員とエンゲージメント・ファーストのアドバイザーの2つが収入の柱です。

それ以外にはお金をいただいたりいただかなかったりしながら、通訳や翻訳、ワークショップのファシリテーションセミナーのスピーカー、記事のライターや編集など、興味を持てるものや価値を感じるものを仕事としてやっています。

 

■ パチのお仕事年表(仕事に対する価値観の変化)

バイト人生をスタートした10代、流浪のフリーター20代、30代後半での生まれて初めての就職、40代後半の社内失業 — これらを通じて「仕事に求めるもの」がどう変化していったかを見てみます。

金、快楽、やりがい…。なんのために私は働いてきたのでしょう?

 

■ ワークショップ – しあわせになるための働きかたとは

自分のしあわせを知ろう。しあわせになるに、仕事に何を求めているのかを知ろう。

みんなと同じところ、違うところは何かをしろう。

最後に、どうしたらもっとみんなが幸せになる仕事のやり方や職場が増えるのかを考えてみよう。

 

■ QA & ディスカッションの時間

 

私は「資料はあくまで補完するもの」主義で、それだけで伝わるようなものを作る気はまるでない人なのですが、それでも「あまりにもこれじゃ不親切」とか「むしろ逆効果」みたいに感じる人がいましたら、ぜひFacebookTwitterなどからご意見を聞かせていただければと思います。

 

さて、どうなることやら。あー楽しみ! 梅澤さん貴重な機会をどうもありがとう。

Happy Collaboration!

 

未来づくりはまちづくり (「1階づくりはまちづくり」超私的レポート)

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昨夜は、連続セミナー「まちづくりって何?」 | QUOL に参加してきました。

お目当てはグランドレベル代表の田中元子さんの話を聞くこと。昨年、noteに「グランドレベル研究所*デンマーク・コペンハーゲン」というシリーズがあるのを発見して興味を持ち、その流れで今年のお正月に『マイパブリックとグランドレベル 今日からはじめるまちづくり』という彼女の本を読みました。

それからずっと直接お話を聞く機会がないかなぁと思っていたんです。

 

いくつか、写真と心に強く響いたポイントを紹介します。

(なお、正式なレポートは近いうちにQUOLさんから出ると思います。私がここに書くのはあくまでも「私にはこんな風に聞こえた」ということです。)

 

まちにある「接点」は、種類が多い方がいいし頻度も多い方がいい。

いろんな種類のいろんな想いを持ったカラフルな1階がたくさんある街のほうが豊かだし健康的。

 

集まりたい人が集まれる場所も重要だけど、でも、むしろ集まりたくないけどときに集まらなきゃ生きられない、生きづらいのも人間で、そういう場所も重要。

喫茶ランドリーはそれ自体が多様性を内包している場であり、多様さを受け入れる「受け皿」でもある。

あまねく人々に両手を広げていたい。その実践が私にとってのまちづくり。そういう人やアプローチが増えて欲しいし、それが「普通」になって欲しい。

10年後、人の価値観ではなく自分の価値観でやりたいことをやる人が増えていると思うし、普通になっていると思う。

 

「まちづくりは全方位的なもの」と分かっていれば、自分で全部を見ようとかやろうとかはしないはず。

わたしはファーストダンサー、一人目の踊り子。周りも踊りたくなるように空気を作って、みんなが踊り出したらそっと消え去り忘れてもらう。きっかけなんてなんでもいいのだから。

 

喫茶ランドリーでは「尊敬できる人」を採用している。そして働き方の方針は「小言を言わない」こと。

イキイキとやってもらうことで得られるものと、注意して萎縮させてしまって失うものと、その大きさは比べ物にならない。その人のいいところを伸ばしたい。

 

前回のブログ記事にこんなことを書きました:

そしてそんな団地の中、私は近所の人とほとんど何もやりとりをしません。廊下やエレベーターで顔を合わせれば挨拶をする程度で、誰かを訪ねることはおろか、話をするために足を止めることもほぼゼロです。

私は、そんな自分を少し…いや、本当はかなり責めていました。「なにがコラボレーション・エナジャイザーだ。自分のお膝元では、何一つ活動していないじゃないか。口ばっかりか!」と。

でも、やっぱり、近所の人たちと付き合いたいという気持ちがわいてこないのです。

付き合えば楽しいのかもしれないけど、そもそも付き合いたいという思いがないのに、無理に付き合うきっかけを自分から作ろうとは思えないのです。なんか、そんなの、嘘っぽいなって気がしてしまうのです。

 

でも、数カ月前から少しだけ意識していることがあって。それは、できるだけ、近所の公園やベンチなどの公共スペースを使っている人たちに笑顔を向けることです。

「ウェルカム。ポジティブな気持ちで同じ場所にいますよ」というサインをひっそりと送ること。

こういう活動にも意味があるし、それでいいじゃないって思わせてくれたのは田中元子さんの本でした。

「まちづくりって何をつくっているの?」という問いに「世界平和。だってやっぱり世界は地続きでしょ。」と答える田中さんに、思わずQAタイムに「あなたの本のおかげで、自分を責める気持ちを手放すことができました」と感謝の気持ちを伝えさせていただきました。

 

私は狭義の「まちづくり」にはほぼ興味がないですし、その関係では何も実践していないのに等しいです。でも、自分とその周辺の未来づくりには強く興味があって、それに向けてはいろいろ活動をしています。

それが、私のまちづくりで私のパブリックなんだと思うのです。

 

Happy Collaboration!

 

『住宅幸福論』に見る、家と街と一緒に幸せをつくる方法

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先日、LIFULL HOME’S総研の「住宅幸福論 Episode.2 幸福の国の住まい方 ー日本・デンマーク住生活比較調査ー」記者説明会に参加してきました。

HOME’S総研の島原所長の説明はおよそ90分間で、そのあと、いただいてきた約250ページの本を読んでいるのですが…深過ぎ!「住まい」という切り口から、ここまで深くデンマークという国とそこに暮らす人びとにメスが入るとは。読みどころと考察どころに溢れまくってます。

 

本当にポイントがたくさんあって、おそらくは読む人によって山場は異なることでしょう。ここではいくつか私にとって気になるところを紹介します。

と、その前に。この本は「住まい」をど真ん中に置いて調査・分析し、デンマークと日本を対比していますが、その前提となる文化や歴史までしっかりと踏まえて書籍内に取り込んでいます。デンマーク研究家として「デンマークという国の特徴と本質が分かる一冊」としてオススメします。

 

PDFダウンロードはこちら。郵送の申し込みも受け付けているそうです。

住宅幸福論 Episode2 幸福の国の住まい方 

 

■ データから見るデンマークと日本の違い

・ 自分にとって住居とは? (本文p76より)

16の項目(複数選択可)に対して50%以上の人がYESと答えたものがデンマークは6個あるのに対して日本は1つだけ。そして日本の方が割合が上回っているのは1項目だけ。

 


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デンマークの人たちは、積極的に住居がなんであるかを定義し、自分がそこに求めているものやことを自覚しているということでしょう。本から一部引用します:

「自分の趣味や好きなものを揃える場所」「自分の個性やライフスタイルを他人に伝えるもの」など、自分のスタイルを培い、発信するメディアとして考える人がデンマークには多いということ、「家はそれ自体が趣味」など、住むこと自体の楽しみを見出す人も多い

 

・ あなたにとって理想の住まい像とは? (本文p82より)

この設問でも19の項目から圧倒的にYESと「選択している」デンマークに対し、日本の答えは「薄い」感じです。こんな表現ができると思います:

  • 日本: 最新設備や大手企業による、雑誌に載っているようなオシャレな出来合いの家を求めている。
  • デンマーク: 家より内装。植物やインテリア、DIYなどで創造性を刺激する家を作り上げていく。

 


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さらに、こういう表現もできるのではないでしょうか:

 

「街」について気に入っている点 (本文p116より)

前2問以上に、回答の「濃さ/薄さ」が顕著で、日本とデンマークの乖離が大きいものがほとんどです。そんな中でも特に目を引くのが「道路・交通機関などのインフラ整備」「自然に触れられる機会」「通勤・通学のしやすさ」「自分らしくいられる」という項目。

これは市民の1/3以上が自転車通勤で、自転車に優しい道作り街づくりをしているコペンハーゲン市の施策の成功の現れと言ってもよさそうな気がします。

 

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他にもこの表に現れていると思われる点を、一部本から引用します。

注目すべきは、基層となる「安全」「快適」に関する項目におけるデンマークのスコアが高めであること、それだけでなく、「自己実現」という上層のカテゴリーでもデンマークのスコアが日本を大きく上回っていることである。

自己実現という、“精神的な”領域だけでなく、生存に関わる領域についても、デンマーク人の自身の評価は高い。

 

・ 「家」の満足度: あなたは、「いま住んでいる家」について、どの程度満足していますか。 (本文p233より)

 

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島原所長が説明会で語っていた言葉が、この図を実に適切に言い表していると思います。

「お金がなくても不幸にならない(住まいへの満足度が下がらない)が、お金があればもっと幸せになるのがデンマーク。お金があっても幸せにならない(住まいへの満足度が上がらない)が、お金がないと不幸になるのが日本。」

 

こちらは本文からの引用です。

少し想像してみて欲しい。あなたがいくら自分で努力した結果で手に入れた経済力で、最高に贅沢で美味しい料理を食べられるとしても、隣のテーブルに飢餓に苦しむ貧しい 子供がいたとすれば、そのひもじい視線の中であなたはその料理を美味しく食べることができるだろうか。その子供をハエのように追い払って、何食わぬ顔で食事を楽しむことができるだろうか。少なくとも、不運は誰にでも起こりうる。一つ歯車が狂えば自分もあちら側に座っていたかもしれない、という私たちの幸福の脆さには自覚的であるほうがいい。

 

デンマークには、いろいろなタイプの住居があるのだが、いわゆる公共住宅に近いものではある程度恣意的的にさまざまなタイプの住民が同じ地区・建物内で暮らすようにデザインされています。このあたりは、p151から始まる菊地マリエさんの「幸福度No.1の国の「幸せ」と「家」」でも解説されているので、ぜひ読んでみてください。

そして、こちらは『リュッケ 人生を豊かにする「6つの宝物」』という別の本からですが、バーニー・サンダースの「デンマークの自由という言葉の意味」を引用します:

かの国では、経済不安からくる人々の不安を解消するために、多大な努力をしてきた。少数の者が巨大な富をにぎれるような制度を推し進めるのではなく、子どもからお年寄り、障害者も含めて、すべての人に安定した最低生活水準を保証する制度をつくったのだ

 

■ 本の中の気になる言葉たち

 

われわれ取材チームの現地取材を案内してくれた、デンマーク生まれでデンマーク育ちの日本人、岡村 彩さんによれば、ヒュッゲは日本人の女の子が使う「かわいい」くらいに活用範囲が広く、またその明確な定義は困難なのだという。(本文p17)

 

デンマークでは「個人と社会が地続きである」ということだ。その根底には民主主義教育がある。といっても、そもそもの民主主義の捉え方が日本と少し違っている。デンマークにおける民主主義とは、徹底的に自分にとって何が心地よい状態なのかを中心に物事を考え議論し、みんなでベストな解をつくりだすプロセスだ。A、B、C から多数決で選ぶのではなく、全部を議論し比較して、新たなDをつくる。平等とは、丸いピザを均等に割るのではなく、とてもお腹が減っているAさんが大きなピース、食が細いBさんは小さなピースと必要な分を議論しながら公平なポイントを見つけるのがデンマーク流。なんだかとても人間的な民主主義なのだ。グループワークを多用し、教育の場でその精神が養われるという。「心地よさ」を追求する個人の総体が、そのまま社会になっている (本文p151)

 

家と幸福度の関係について尋ねると、まっさきに「暖かさ」をあげた。蒔田さんの視点で面白かったのが、断熱性能が高いデンマークの家の方が、より「自由」になれる、という言葉だった。誰でも経験があると思う。寒くて布団から出られない朝、ぬくぬくのコタツから出るのに必要な勇気、試練のような脱衣場…。蒔田さんは言う、「暖かいと活動的になるんですよね。何にも縛られず。可動域が制限されないというか」。 (本文p157)

 

私は住宅がどのように幸福度に「影響を与えているのか」を探っていた。しかし、デンマークでは、住宅 や住宅政策が市民の生活に影響するのではない。その逆で、先に人間がいる。各々が心 地よく幸せであるために、住宅を使っている。そういう順番なのだ。彼らにとっては、社会と同じく、住まいも所与のものではない。自らが関わることで、望むように「つくりだせるものだ」と考えている。私の問い方自体が、 住宅に対して受動的な日本人的想定だったことを思い知らされた。 (本文p170)

 

■ 私個人の「住まい」に関する考えと現状

私は昔から「絶対に賃貸」主義です。それは、家を持つということが自分のフットワークを重くしてしまうだろうと思っているから。

例えば「来週からコペンハーゲンで1年暮らせます」ってチャンスがなんかの弾みで突然やってきたとき、家を所有していたり支払いのローンを持っていたらきっと決断スピードは遅くなり、やるべきことの多さに少し躊躇してしまうでしょう。そういう自分でいたくない。

 

そんなわけで、現在も賃貸のUR物件で暮らしています。なお、URなのは引っ越したいと思ったらすぐに引っ越せるから。「2カ月前までに申告すること」とか「2年ごとの更新料」とか、そういうこと気にしたくありません。

細かいデータは忘れてしまいましたが、たしかこのマンモスUR団地は住人の4割ほどが高齢者(年金)世帯で、3割ほどが外国人です。引っ越してきてそろそろ1年半ですが、去年は中心にある公園で夏祭りが開かれ、インド、中国・台湾、韓国、ベトナムなどのさまざまな料理の屋台が出ていました。

 

そしてそんな団地の中、私は近所の人とほとんど何もやりとりをしません。廊下やエレベーターで顔を合わせれば挨拶をする程度で、誰かを訪ねることはおろか、話をするために足を止めることもほぼゼロです。

でも、数カ月前から少しだけ意識していることがあって。それは、できるだけ、近所の公園やベンチなどの公共スペースを使っている人たちに笑顔を向けることです。

「ウェルカム。ポジティブな気持ちで同じ場所にいますよ」というサインをひっそりと送ること。

 

公共スペースって、それが活用されていないときっとどんどん廃れてしまいますよね。そんなことがないように、そこを使っている人たちが気持ちよく使い続けられるように、そして誰もがホッとできる場所が身近にあり続けるように、消極的だけど私なりの公共スペースとそれを活かしてくれている人びとへの賛同を示しているつもりです。

…と、これは半年ほど前に『マイパブリックとグランドレベル 今日からはじめるまちづくり』というグランドレベル代表の田中元子さんの本を読み、感銘を受けてから意識していることだったりします。こちらも少し引用します:

笑顔や会話も大事だけれど、ひとりで物思いに耽るひとも、悲しい気持ちのひとも、金持ちも貧乏人も、老いも若きも、すべてのひとのすべての状態を受け止められる場所こそが、本来の公園の姿なのだ。

 

偶然にも今度の月曜日には、田中元子さんがお話しされるイベントに参加予定。なんとステキなタイミング!

Happy Collaboration!

 

あなたにとっての未来とは? - イベントレポート x 2

オリジナルはこちら

 

登壇したイベントのレポート記事2件を、記念がてらブログに書いておきます。

まずはこちら。

 

デンマーク発の「未来を自ら創造する」デザイン思考。ありたい未来に向けた課題解決を

デンマークのデザイン会社Bespokeのニックとアンドレアスを招いたミートアップイベントで、4月に大手町の3×3 Lab Futureで開催しました。

この日の私は自分がデンマークで感じたことを10分くらい話した後は、主に彼らの通訳をやっていました(参考: デンマーク流【望ましい未来をデザインする力】

 


IDEAS FOR GOODさんの写真をお借りしています。

 

以下に、当日ニックたちが話したことの一部と、私のコメントを。

 

「私たちは、未知(Unknown)をナビゲートすることを学んでいかねばなりません」

— 自分が知らないということをまず知ること。あるいは認めること。それが未来を生みだす冒険の準備のスタートです。
予測不能性に溢れた世界の中で、「まだ知らないこと」に対し、強い好奇心と想像力で向き合うこと。それが、暗闇の中にじっと潜んでいる社会的、環境的、経済的な要因を照らし出します。

 

「われわれにとって喫緊の社会的な危機とは、経済や金融などではない。イマジネーションの欠落だ。この現象をあらわす、新しい言葉が必要だろう。」

— イタリア人メディア・アクティヴィスト、フランコ・ベラルディの言葉らしいです。さしづめ、今の私はこれに「宇宙矮小化(ユニバース・ミニマイザー)」とでも名前を付けるかな?

世界を見るのも、複数の視点を知るのも、それまで正解だと思ってきたものが揺さぶられるので嫌だ。それならいっそ広い宇宙を見たくない、一つの世界観で過ごしていたいと志向の現象化なのかも。

イマジネーションを拡げ、さらに先へと進ませるのは「インサイト」です。

 

「新しいものに便乗する人ではなく、流れをつくる人になっていかなくてはならない。」

— Bespokeの『フューチャーデザイナー・ブック – 未来を創る方法論と実践方法 -』に、書かれている言葉を紹介します。

<変化を発見したいのなら、トレンドの兆候として現れたその先を見れなければなりません。何がそのトレンドの出現を可能としているのかを見出すのです。どんな新しい価値観や行動や文化の変化が現れ、それを人びとはどのように体験しているでしょうか? こうした新しい流れを正しく捉えられれば、真の問題を解決し、真のニーズを満たし、有意義な未来をデザインできる可能性が高まります。
可能性を広げるためにも、大胆であることや勇気を持つことを恐れることなく、自分たちの道を見つけ出しましょう。>

 

「あなたにとっての未来とは?」


IDEAS FOR GOODさんの写真をお借りしています。

 

次にこちらを。

イノベーションはデジタルプラットフォームで管理できるのか──可視化・言語化によるアイデア創出の可能性

3月に日本アイデアスケールさんが開催されたイベントで、アイデアスケールの福澤さんがモデレーターで、01Booster CEOの鈴木さんと私がトークをするというものでした。

記事だけでは伝わりづらい部分を、いくつか解説させてもらいます。

 


Biz/Zineさんの写真をお借りしています。

 

「大企業から見ればスタートアップはこだわりの強い偏執狂、スタートアップは大企業を担当者によって言うことがコロコロ変わる多重人格者と思っていてお互いが理解できない」ゆえ「本当の意味で手を組む意味合いが見えるまで、両者が手を組む必要性はない

— 「大企業とスタートアップは、パートナーシップを組むことが正解」という前提を、なんとなくその場に感じてしまったんですよね。なので、議論がスタートする前に、とりあえずその違和感と、それに対して思うところを伝えました。

…本当のところ、こんなことを言うほど私は現場体験があるわけじゃないんですけどね。
でも実際、これまで目にしたり相談されたりした「うまくいっていないケース」にはこの構造が当てはまると思っています。

 

「株主に寄りすぎた企業の形を無理に残すよりも、転生して違う形になる方が正しいと思う」

— 「正しい」という言葉は、今見るとあまり相応しい使い方ではなかった気がします。ここで語られるべきは、正しさよりも好ましさの話、あるいはその正しさは誰にとってのものか、だったかなと。

最近聞いた友人の言葉です。

「うまくいっているときは、自分たちの身の安全など気にせず、ステークホルダーにとっての良いことを追求できる。でもうまくいかなくなりだすと、身の安全を最初に考えるようになって、自分たちの利益や利便を優先しだす。これって、人間の脳の原始的な部分である「爬虫類脳」からきているから、そう簡単には変わらない。」

 

「大企業は常に自社が中心にいるエコシステムを描こうとする。それではただのピラミッド構造と同じ」

— これもちょっと単純化し過ぎで、「常に」じゃなくて「ほとんどの場合」が正確だと思います。そしてこれも、前述の「爬虫類脳」的な話かなって思っています。

で、こういうのって、個人も法人も同じで、周囲にはそのスタンスが漏れ伝わってきます。エコシステムが意味する生態系がやたらと小さい。誰もそういう相手と付き合いたい人なんていないよね。

 

「自分のやり方を確立している一方で、違う意見に価値を見出せるかどうか」

なお、会員向けとなっている2ページ目以降では、「マニフェストを作ってオープンにして共有する。言語化が持つ力のすごさ」という、デンマークで感じてきた話が書かれています。その話については、こちらでも紹介しているので、よかったら併せて読んでみてください: デンマークのオープンソースとマニフェスト

 

最後に、これから開催するイベントを2つ紹介します。

5/28 & 5/29: Futures Design Basic Course(1日コース)

1日完結型のFutures Design Basic Courseを、Bespokeを招いて開催します。私は通訳として参加します。

5/31: Bridge to the Better #1 デンマークに見る「越境力」

デンマーク大使館の在日参事官 マーティン ミケルセンさんと、デンマーク在住のニールセン北村朋子さんのお話を聞いたあと、働き方、学校教育、リカレント教育、ヒュッゲ、福祉、キャリア、恋愛、SDGs などについての学びを深めていきます。こちらも通訳として参加予定です。

 

もしどちらかでお会いできたら嬉しいです。

Happy Collaboration!

TEDxOtemachiLive 2019 極私的レポート

オリジナルはこちら

 

昨日は人生初のTEDイベントTEDxOtemachiLive 2019 「Bigger than us」に参加してきました。

5時間の長丁場で、強く心に響くものものあれば、そこそこもなものも、さらには「なんだか集中して聞けません…」というものもありました。

その中で、話を聞いた直後に「これは自分の言葉にして、感想を残しておきたい」と思ったものが2つありました。どちらも、今の自分が感じている問題意識や、伝えたいと思っていることに直接訴えかけてくるものだったから。

今から書くのは、あくまでも「一晩経った今、私の脳内ではこう変換されて記憶されている」というものです。

いずれ、TEDオフィシャルで正式な動画やレポートが公開されると思うので、スピーカーが本当に意図していたものはそちらで確認してください。

 

■ 梅澤 伸也 – バイオフィリック・アーキテクト

空間デザインブランドparkERs(パーカーズ)Brand Manager / co-founder

今日が8回目の結婚記念日であること、ケニアのサバンナに降り立った瞬間に体中のDNAが騒ぎ出したこと、その体験をみんなが共有できれば戦争がなくなると思ったこと…。

そんなオープニングトークの後に、とても強烈なメッセージを貰いました。

なぜ人は自然を欲するのか? なぜわざわざストレスの強い世界に自ら身を置き稼いだお金を、自然を感じるために人は使うのか?

それは自然物と人工物の間を、野生とアートの間を、テーゼとアンチテーゼの間を行きつ戻りつするのが人間の本質だから。

テクノロジーの優位性が強くなりすぎた現代社会で、山の空気や川の流れ、花の香りを人が欲するのは、人が人であろうという切望の表れ。

 

バイオフィリアとは、自然とのつながりを求める人間の本能的欲求で、parkERsが行なっているのは、その本能的欲求を満たしていくこと。一つの例として、parkERsで鉢植えなどに使っている土は、人間が出したゴミを素にしている。

植物は、人間のストレスを減らして適正値に近づけているだけではない。リラックスし過ぎている人にも刺激を与えて適正値に近づけている。

視覚や聴覚、味覚や嗅覚に代表される「特殊感覚」も、皮膚感覚も内臓感覚も、そして位置や動き、抵抗や重さを感じ取る「深部感覚」も、人間は全神経を使って感じている。

 

デンマークオーフス大学の調査: 自然に囲まれて育った子のほうが精神疾患にかかりにくいことが明らかに

今、人間が直面しようとしているのは、やろうと思えばできるテクノロジーが揃った社会。それに対して、「でも本当にそれでいいのか?」と問い直している時代。

これから必要とされるのは、性善説に基づいて、人びとをリードしていける人ではないか。

 

梅澤さんとは普段から仲良くさせてもらって、話を聞く機会はこれまでにも何度かあったんだけど、今回は圧倒的にグッときました。それはおそらくTEDという舞台効果のせいではないと思います。

梅澤さんの話の後に、参加者にお花がプレゼントされました。ありがとう!

家に飾っていたお花と一緒に。

そして、休憩時間には、2つの問いが投げかけられました: あなたにとって希望とは? 恐れとは?
前者への回答だけ、シェアしておきます。

希望を持ち続けて、「変えられる」と信じて行動する人びとがいること。(The are people who keep hope and try changing with their beliefs.)

 

もう1つは、生ではなく、ジョセフ・ゴードン=レヴィット(Joseph Gordon-Levitt)の映像のTEDトークです。

 

ジョセフ・ゴードン=レヴィット- 俳優、映画製作、起業家

注目を浴びる — つまり、人びとのアテンションを自分に集めるということは、とても気持ちがいいもので特別な感覚を得ることができる。

だから、ソーシャルメディアでそれを得ようとすることも理解できるし、僕自身、ついつい躍起になってフォロワー数やいいね! の数を集めようとしてしまう。

でも、ソーシャルメディアの多くは渦巻く「集めようとした注意」と「払われた人びとのアテンション」を金銭価値に変換するプラットフォームだ。アテンション・エコノミー(関心経済)なんて言葉もあるが、要するに、アテンションを売っている。

しかし、そこで集めた注意が自身を満たして、達成感を味わうことができるかと言えば難しい。瞬間的な喜びはあっても刹那的なものであり、「さあ次、さあ次」と追われるばかりで充実感はない。アテンションを取ることを目的としてしまうと幸せになれない。

 

達成感や充実感を得て幸せになりたいのであれば、アテンションに対して逆のアプローチを取る必要がある。注意を集めるのではなく注意を払う — 何かに集中するのだ。

何かの創作活動や、人びととの共同作業に集中する。作業に没頭する。ゾーンやフローという言葉を聞いたことがある人も多いだろう。神経が研ぎ澄まされ時間の流れが変わる。あれこそアテンションの素晴らしい使い方ではないだろうか。

 

ソーシャルメディアが悪いと言っているのではない。あれは素晴らしい場所だ。仲間や知り合い、ときにまったく知らない人たちと場所や時間を超えてコラボレーション(共同作業)できる。

ただし、そのときには重要な心構えがある。そこにいる人たちに競争心ではなく共創心を抱くこと。相手に勝つのではなく、相手の出してくれるものと本当の自分自身から出てくるものを混ぜ合わせていく。そうすればきっと、そこに魔法が生まれる。

 

TEDのオフィシャルブログですでに内容が紹介されていました:
The key to creativity? Start paying attention: Joseph Gordon-Levitt speaks at TED2019
より公式に、より全体を捉えたい方はそちらをご覧になることをオススメします。

 

私はここ数年ずっと「幸福ってなんだろう?」と考えていて、自分なりの現在の仮説/結論は「快楽とやりがいのバランスによって得られるもの」だと思っています。そしてそのバランスは、人によっても違うし、人生のステージによっても変化していく。

もし、100パーセントの刹那的快楽主義者という人が存在すれば別だけど、そうじゃなければ誰しもなんらかのやりがい(苦労や忍耐を超えて手に入れられるもの)を感じられなければ、深い幸福感は得られないんじゃないでしょうか。

 

この後の生TEDトークで、株式会社ジンズの井上さんが話された「集中の科学」を聞いて、そんな想いがさらに深まりました:

人生100年時代と言うけれど、人間がその中で費やせる集中した時間はせいぜい50,000時間しかない。

 

Happy Collaboration!

デンマーク流【望ましい未来をデザインする力】

オリジナルはこちら

 

デンマークの大切な仲間「Bespoke(ビスポーク)」からニックとアンドレアスの2人を招いて、フューチャーデザインに興味を持っている人たちとのミートアップイベントを4月17日に開催しました。

デンマーク流【望ましい未来をデザインする力】を日本のビジネスへ

 

私の主な役割は通訳とファシリテーションサポートだったのですが、Bespokeのセッションの前に「2度のデンマーク研究訪問でパチが見てきたことや掴んだことをシェアした方が、〈Bespoke流のフューチャーデザインのバックボーン〉を理解してもらいやすいんじゃないか?」という話になり、10分強のショート・プレゼンをやりました。

はたして当初の目的を達成できたのか…。自分では正直よく分かりません。

でも、スライド資料といくらかの説明をシェアすることで、なぜ私がBespoke流の未来デザインを重要だと思っているのかを理解してもらいやすくはなるんじゃないか? という気はします。

そんなわけで、私のショート・プレゼンの資料をシェアします。

 

(正しく表示されない方はこちらのリンク先にてご覧ください。)

 

80という数字

80という数字

0か100かじゃなくて、80でいいじゃないか。と言うよりも80が100なのです。完璧主義者はいつまでもゴールにたどり着けません。スタートすることが肝心、80でいいじゃないか!

100人全員を満足させるものなど1つの方法など存在しないのだから80人の合意があれば実行する。残りの20人のことは1人ずつ個別に考える。

デンマークの国政選挙では、これまで投票率が80%を下回ったことがないそうです。これより投票率が高い国は3つだけで、それらの国では投票棄権に罰則があるそうです。

 

オープンソースという考え方

オープンソースという考え方

実現したい想いがあるなら、それを人びとに理解してもらいやすい「 大枠(グランドルール)」 という形で共有します。

大枠をセットしたら、あとはみんなが自由に改良/改良しやすい形にして提供します。

「大部分の人を信頼できる」と考えているデンマーク人は約80%。他者への信頼が国の基盤になっていると言えそう。参考: スウェーデンは62%、ドイツは45%。日本は39%で米国は35%。

 

集団を内包した個人主義

集団を内包した個人主義

デンマーク人はすごく自分自身を大事にする個人主義者たちですが、周りとの調和もすごく大事にする集団主義を前提とした利己主義ではない個人主義です。

チーム内で競争することは非常にまれ。なぜなら競争することは非効率で、助け合う方がよっぽど効率がいいから。

乳児の頃から集団で過ごす時間を持ち、他者との違いを認識しつつ自尊感情とコラボレーションを身につけていくのがデンマーク流。

 

個人のエネルギーの源

個人のエネルギーの源

人にとって持続可能性の高い(燃え尽きないための)原動力は幸福感(快楽とやりがい)。自分にとって何が快楽で何がやりがいかを理解する。

ヒュゲとは自分の心にとってのエネルギー源(栄養)であり、積極的に取り入れることで日常を充実したものにすることができる。

罪の意識も後ろめたさも感じずエネルギー(ヒュゲな時間)を補給することが、デンマーク流の頭と心を仲良くさせる秘訣。

 

 

この4つ、すべてが「持続可能な未来」をデザインするコツじゃないでしょうか?

デンマークのデザインスクール・コリングで、学長や教授陣に聞いたサステナブルなビジネスのデザインに重要な4つのPがPeople, Planet, Play, Profitです。

デンマークのデザインには常に人が中心にある。

そして地球規模で物事を考える。だって地球がダメになっちゃったらすべて終わっちゃうからね。

それから遊びごころ。これがないとどこかでポキって折れちゃう。

最後にプロフィット。利益/収入がないビジネスはサステナブルじゃないから。

 

サステナブルなビジネスのデザインに重要な4つのP: People, Planet, Play, Profit。

 

こうした考えや感性が広がっていけば、もっといい未来をデザインできそうな気がしませんか?

Happy Collaboration!