■これまでに直接お話させていただいた、社内ソーシャル導入を検討中、あるいは実際に施策をスタートし始めたという方の多くが言われるのが「私自身は社内ソーシャルの可能性やそのアドバンテージは十分理解したつもりです。
でも、社内の反対勢力を説得するには…」という言葉です。
そして「
反対勢力
」という
ものの詳
細をお聞
かせいた
だくと、
そこでは
前回のエントリーで書いた
「トラブ
ル発生時
のリスク
がでか過
ぎる!」
という声
であった
り、「ビ
ジネスに
どれだけ
貢献する
かはっき
り数字で
持って来
い」とい
う中間管
理職であ
ったりす
ることが
非常に多
いです。
■これは「社内」に限らずソーシャル全般ですが、「ソーシャルがビジネスにもたらす本質的な価値」という話をしたときに、響く人とそうでない人がかなりはっきりと2分されます。
目に見え
るもの至
上主義で
「数字的
な価値だ
けが絶対
だ!
TCOと
ROIと
KPI(
※)持っ
てこい!
」という
スタンス
の方には
、正直、
ソーシャ
ルの価値
の幅広さ
と奥深さ
を丁寧に
伝えても
厳しいな
、という
のが実感
です。
(※)
TCO(Total Cost of Ownership):システムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額。
ROI (Return On Investment):投入した資本がどの程度利益を産んでいるかを測定する指標。投資利益率。
KPI(Key Performance Indicator):目標へ向けた業務の達成度を定量的に把握するための指標。重要業績指標。
なんだかまるで10~15年前の「イントラネット/インターネットがビジネスにもたらすもの」という話の再現だなぁと感じます。
「イントラネットがもたらすメリットは漠然としすぎてて…」とか、「インターネットで売り上げが上がるのか」とか。
さすがに
ここ数年
はもう、
こうした
声も耳に
すること
はなくな
りました
が…。
■例えば
下記のよ
うに「社
内ソーシ
ャルの機
能の一部
」をピッ
クアップ
し、ある
程度ロジ
カルにR
OIやK
PIを設
定し根拠
のある数
値
Xにすることはできますよね。
(
Xは、社内
の別シス
テムやプ
ロセスと
の兼ね合
いにより
各社によ
り異なる
はずです
。)
「アクティビティー(ToDo管理)テンプレート」のお気に入り登録回数X回に付き、プロセス共有によりXX分の時間を削減できたとしてコスト計算する
ファイルの共有回数X回に付き、同じ内容のファイルを作成する時間XX分が削減できたとしてコスト計算する
Wikiの閲覧ページ数Xページ付きヘルプデスクの問い合わせ対応時間がXX分削減できたとしてコスト計算する
社内マイクロブログの評判分析により社員満足度とセンチメント調査を実施し、別手法による調査費用との差額を出す
上記は一例であって、他にも以下の図にあるような観点を機能のどの部分こ当てはめるかで、いろんな算出方法が考えられます。
しかし、こうしたものから割り出した数字の妥当性をどれだけ説明しても、響かない人や認めない人はいるものです。そして実際に、粗探しをすればいくらでもできるでしょう。
ちょっとこんな話にも似ているかも。
TOEICの点が30点上がったら、どれだけ実ビジネスで英語をツールとして使いこなせて、それによりどれだけの「数字」を会社にもたらすのか。
社員の中でPMP取得者が1パーセント増えると、どれだけの「数字」を会社にもたらすのか…。
「認めない人のロジック」はいくらでも思いつきくことができるもの。
結局、こうした数字は「そこまで言うならわかった。じゃあやってみろ!」という言葉を引き出す「担当者の熱意の量」を示すためのものなのかもしれませんね。
■ここからが今回のキモ:「社内ソーシャルを導入すれば、新しいワークスタイルに移行できるのか?」です。
社内ソーシャルのROIやKPIの話しは、システムやツールの有用性を理解してもらうために、ある意味「ひねり出した」ようなところがあるのは否定できません。
でも、追い求めていた目的はROIやKPIではないですよね。それは、ゴールへの道のりを目指す過程で使用する道具、行って見ればコンパスみたいなものであって、向かう先には「ワークスタイル変革」や「オープンな組織への変革」があったはずです(もちろん、他にもブランディングやサステイナビリティなど、企業により目的地はさまざまでしょう)。
前回のエントリーが「オー
プンな組
織への変
革」の話
しでした
から、今
回はワー
クスタイ
ル変革に
ついて書
きたいの
ですが、
「ワーク
スタイル
変革」と
はいった
い何を意
味してい
るでしょ
うか?
簡単に言えば「働き方を変えていくこと」であって、わかりやすいが故に「時と場所と方法」の話しとして取り扱われることが多い気がしています。
でも実際
には「時
・場所・
方法」じ
ゃなくて
、なによ
りも「社
員の意識
」が成功
の必須条
件ではな
いでしょ
うか。
■ここ数年、「仕事に対する価値観や考え方」「企業と自分の関係」など、社員の意識や倫理に大きな変化が起こっていることは多くの方が感じていることだと思います。
特に、昨
年の31
1以降、
変化はい
っそう加
速してい
る気もし
ます。
この点を踏まえず、「時・場所・方法」の選択肢をただただ与えたところで、それは「ワークスタイル変革」ではないと思うのです。WhyがないところでただWhatやHowを与えられても、それは「仏作って魂入れず」ではないでしょうか。
そこに至る価値観と姿勢の相互理解を目指した対話があってこその「ワークスタイル変革」であって、「ワークスタイル変革」の本質的な部分は「コミュニケーション変革」であり、「コラボレーション変革」だと思うのです。
そして、こうしたn対nの対話のプラットフォームにふさわしいものが、社内ソーシャルじゃないでしょうか。
■今回のまとめ(的なもの)
表面的な
ソーシャ
ル・コラ
ボレーシ
ョンの数
値化は比
較的簡単
。
中間部分
の数値化
はちょっ
と難しい
。「価値
観の共有
度合い」
をどう数
値にする
か?
本質部分
の数値化
はかなり
難しい。
「価値観
の共有度
合い」が
どのくら
い企業価
値に貢献
している
のかを短
期的に計
れるのか
?
ワークス
タイル変
革の本質
はコミュ
ニケーシ
ョン&
コラボレーション変革。
社内ソーシャルはコミュニケーション&
コラボレ
ーション
変革のプ
ラットフ
ォーム。
今回もち
ょっとモ
ヤっとし
ちゃいま
したかね
。