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Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

『「納品」をなくせばうまくいく』を読んだ - シュート性のセンタリング

オリジナルはこちら(2014/7/23)

 

かれこれ

5年ほど前から仲良くしてもらってる倉貫さんの本「納品」をなくせばうまくい』。

 

イメージすごく面白かったです。

システムエンジニアリングやプログラミングを生業としている人にとっては相当刺激的な内容だと思います

おそらくは「敵なのか味方なのか」と、前半はついつい2項対立思考で読み進めてしまうのではないでしょうか。

 

そしてソフトウェア開発からは距離がある経営者やビジネスマンにとっては、「諸手を挙げて受け入れてよいのか」という窺う気持ちが抑えられない前半かもしれません

とりわけ、『一括請負で受託している開発会社にとっては「納品すること」がゴールなので、極端なことを言えば、納品後にそのソフトウェアが使えるモノであろうがなかろうが知ったことではありません』と、キックオフ直後とでも言うべき本の冒頭から、挑戦的に仕掛けてきます。

 

数年前、倉貫さんと酒を飲みながら何度も「ジャイアントキリングがたくさん起こる世の中の方がおもしろい。図体がデカかろうがなんだろうが、価値を生み出さない会社なんて潰れればよいのだ!」という言葉を繰り返したことを思い出しました。

ただしこれは、倉貫さんの1側面、ゲーム戦術の1つに過ぎません。

実際には挑戦的な言葉はむしろ少なく、その前後にはとても丁寧でロジカルで、分かりやすい説明が置かれています

つまりときどき出てくる刺激的な言葉は、とても意識された「くさびの縦パス」なのです。相手のディフェンスラインに綻びを生みだすためのものなのです。

 


 

前半は第1章から3章まで。

ゲーム展開としては、前述したようにときおり縦に鋭い楔を入れつつも、丁寧なパス回しで組み立てていきます

全体としてはバランスを崩すことなく、ディフェンスラインも深めです

 

ソフトウェア開発のことをよく知らない読者への気配りも行き届き、専門用語も少なめで分かりやすいです

ただ、慎重な立ち上がりながら、隙を見せたらヤラれるという緊張感も…。

 

引用ここから

■新規事業と要件定義の相性は最悪です。これから始める新規事業というのは、まだ事業として成立しておらず、これから手探りで正解を探して行くような段階(…)そんな状態で要件定義などできるわけがありません

■もし要件定義をしたとしても、その段階では不確定要素が多すぎて、開発会社としてはリスクを回避するためのバッファであるコストを相当に積まなければやっていられないというのが

■「納品のない受託開発」は、顧客のパートナーとしてずっと支えていくことを目指しています。それは、顧客の事業が続く限り、私たちもサポートし続けたいということで、それはまるで、会社同士の"結婚"みたいなものだと思っていま

引用ここまで

 

絶対に負けられない戦いがそこにはある!

 


第4章はハーフタイムです。

この試合が持つ意味や、自分たちの戦術と相手の戦術との兼ね合いを、フィールドのすぐそばピッチ脇からの視点で語りかけてきます

後半にむけて、激しい戦いが始まることをジワジワと感じさせます。

 

具体的には、事例としてソニックガーデンの「納品のない受託開発」の顧客である株式会社AsMamaの子育てシェ」、株式会社トライフのONE CAREER」の代表が、システムを一緒に作り上げていった裏話を語っています

 

引用ここから

「納品のない受託開発」のいいところは、こちらのビジョンを大切にしてくれること。普通の開発会社は、そんなことはどうでもよいとまでは言いませんが、軽視しているんじゃないでしょうか。ソニックガーデンは、そういうことこそが本当に大事だといってくれま

引用ここまで

 

くぅぅぅ!

 

 

後半のホイッスルが鳴る第5章以降、一挙に勝負にきます。

語られているのは、システム開発やプログラミングをベースとしつつも、もっとマクロな視点からの「働くということ」「会社というもの」「生きるということ」です。

これまでの倉貫さんのプロフェッショナルとしての歩みがすべて連なり、大きなうねりを生み出しています

そして、緩急をつけながらも読者に向かって正面から1対1を仕掛けてきます。

 

引用ここから

■自由にさせることで高い生産性を発揮してもらうためには、中間管理職は不要です。組織をなるべくフラットな状態に保たなければ、それは実現できません。そのようにずば抜けて高い生産性を実現するために、小さな会社でいるという戦略を採用している

■同じ価値観の人同士が一緒に働き、顧客とも価値観を共有できる、そんなそれぞれの価値観を実現する小さな会社が数多くあって、様々な人たちがそれぞれ自分に合った会社で働けること、そのことが働く幸せになるというのが、私の考える仮説でありビジョン

■ 「納品のない受託開発」の顧客の多くは、社会を変えようとチャレンジしているスタートアップと呼ばれるような方たちです(…)自分のやるべきミッションに 目覚め、残りの人生をかけて取り組もうと考えている熱い方々が多いのです。私は、そうした方々と一緒に仕事をしていく中で、そうした方々がもっとたくさん 出てくれば、世の中は絶対に良くなる(…)そうした社会変革をしようと志す方々が困っているエンジニアリングの部分を、ソフトウェア開発を通じて助けるこ とができるというのは、私たちにとっても非常にうれしいこと

引用ここまで


いいんですっ!

 

イメージ

 

そして今、実はまだ、私の中では試合は終わっていません。ゴールデン・ゴール方式の延長戦に突入です。

もっともっと、自信を持って友人知人にソニックガーデンを紹介していきたいし、自分なりの応援を続けていきたいと思っているので、最後に勝負を決めるようなシュート性のクロスを、いや質問を3本上げて終えたいと思います。

 

■質問1

本の中で『単なる安売り業者だとは思われたくないので、一般に公表はしていません」とあります。安売り業者だとは思ってないし思わないので、価格設定を教えてください。

 

■質問2

納品のない受託開発では、お互いの信頼関係が崩れるとリカバリーが難しいとのことですが、崩れた、あるいは崩れかけた事例があれば教えてください

 

■質問3

アヤックスの「TIPS」(テクニック(T)、インテリジェンス(I)、パーソナリティ(P)、スピード(S)を重視した選手選考)の話は私も大好きなのですが、一方でアヤックスは選手を育てて売るビジネスモデルを取っています。今後、高額でのオファーが届いた場合はどう考えますか?

 

ムッ!

Happy Collaboration!