Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

『僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと』 - 会社ゲームの勝ち方と敗北道

オリジナルはこちら(2015/8/11)

 

「まったくその通り!」と「何言ってんのさ…」の比率が8:2、あるいは7:3くらいの本が、私にとって一番役に立つことが書かれている本なんじゃないかと思うんですよ。

「100パー同意します。Well said!」な本は、自分の考えや思いを上手に言語化してくれているので読んでいて気持ちいいんだけど、そこから新しい考えや発想につながったり、今まで見えていなかった別の側面を発見したりという「本との対話」は意外に少ない気がするんです。

(この辺りの話は以前2013年読書大賞発表! - 超主観「良い対話ができた本」ベスト10』というエントリーにも書いています。)

本の表紙

 

違う言い方をすると、100パー同意の「ヒャクパー本」が既存の自分の考えを下に深め、あるいは上に昇っていくイメージなのに対し、比率が8:2の「ハチニー本」は、本と自分の考えがモザイクに重なるところから放射状に広がっていくようなイメージです。

(個人差が大きいと思いますが、私の場合「ロクヨン本」くらいまでバランスが下ると、湧き出てくる疑念や反論が強すぎて対話というよりも講演を聞いているような感じが強くなります。)

さて、今回は最近出会ったハチニー本を紹介します。

和田 一郎さ僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12の』です

 

私がこの本の特徴だと思うのは、ハチの部分もニの部分もどちらも同等に濃いことです。私がこの本の帯を書くとすれば、こんな感じになりそうです:

 

「人と違っていることを証明したい。優秀だと証明するには、周りにできる人間そしていい人間だと思われて、頼られなければならな

--そんな内なる声に突き動かされてきた著者の、会社ゲームの勝ち方と敗北道

 

ね、濃そうでしょ。でもそんな濃い内容も、決して重たくなり過ぎることはなく、むしろ読んでいると爽やかですらあります

全体感とそのトーンを掴みたい方には、出版のきっかけとなったであろうこのブログ・エントリー僕が19年勤めた会社を辞めた時、後悔した12の』をまずは読んでみてはいかがでしょう。

 

 

今回のエントリーでは、12のうちでもっとも私が複雑な気持ちになった「思い上がらなければよかった」から一部を紹介します。

 

引用ここから

僕は、必要な承認の手順をよくすっ飛ばした。本来、上司に相談すべき案件を独断で進めたりした。組織の一員として当然上司に上げるべきことも、いちいち上司の承認を得るのが面倒という理由を自分の中でつけ、それを無視してことを進める。そうしたやり方が、何というか、自分が大きな存在になったような気がして痛快に思えたの

自分がギリギリのエッジを歩くような仕事のやり方をしているのだから、上司もそのような仕事の仕方をすべきだと、その頃は本気で思っていた。そんな仕事の仕方をしている僕を、少なくともじゃますることなく、動きやすくするのが上司の役割りではないのかと

多くのできる人間は実績を積むと尊大になり、自分が上司をも動かしていると錯覚してしまう。その結果、自分の哲学や主義と上司の望むことがぶつかってしまった場合ギリギリまで抵抗し、結局「転んでしまう」ことにな

僕は正しいことをやっている。正しいことは組織でも結局は認められるはずだ。
ぼくはそれを「信念」というものだと思っていた。しかし、「信念」というと聞こえはいいが、たいていの場合それは物事に対する方向とか姿勢に過ぎない。したがって、それが正しく作用するときもあるし、反対方向に作用してしまう時もある

引用ここまで

 

 

正直、この章は最初に読んだときは「何を言っているんだ!」と反射的に頭の中で反論を始めていました。

でも、しばらくすると、自分が反射的な態度を取ったのは痛いところを突かれたからで、自分の中に「大きな存在になったような気分」や「尊大さ」、「都合の良い信念」に酔っているだけのところがあることを認めざるを得ませんでした。

 

自信は大切、でも決して思い上がるまい。そして卑屈にも尊大にもらないように

自意識過剰で、躍起になって証明しようとするところがある自分に対して、これから何度も言い聞かせていこうと思います。

 

 

ところで、今回のエントリーを書いたのは、先日和田さんの野心的でいることと現状に満足して幸せでいるこ』を読んだからです。

 

いまは口コミで売れているのだと思う。おそらく、読んでいただいた方が、そのメッセージを誰か伝えたいと思い、薦めてくれているのだろう。僕にはそれがもっとも嬉しい。あの本はすべての人に役立つわけではないので、そのメッセージがもっとも必要な人に届くためには、そうやって読まれることがもっとも効果的だと思う

 

ピンと来たかたはぜひ手にとってみてください。

 

和田さんの2冊目が楽しみです。

Happy Collaboration!