読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

大巨人と王子

オリジナルはこちら(2016/1/1)

 

昨年末にさまざまな物語を紹介している本を読んだのですが、その中にとてもおもしろい民話が載っていました。

本の中では著者がアレンジしたバージョンとして紹介されていたのですが、元々の物語(とはいえ原作者不詳なのですが)はどんなものなんだろうと気になり探してみたところ、下記のページにオリジナルとして掲載されていました

 

Giant Steps by Margaret Perkin : https://prasadtalasila.wordpress.com/2014/12/07/giant-steps/

 

なんとなく、年の初めにピッタリかなって思ったので、ストーリーを自分流に翻訳して紹介します

今年もよろしく。

 

 

大巨人と王子

 

むかしはるか彼方の都市に、大巨人がいた。巨大な斧を振り回す大巨人だった。

 

毎年、同じ日、同じ時刻に、巨人はねぐらにしている山から下りてくると、城壁の外から叫び、住民たちを震え上がらせた。

 

「俺さまと戦う一番勇気のあるヤツをよこせ!」。大巨人は壁の外から斧を振りながら叫んでいた

「さあ、俺と戦うヤツをよこせ! さもなくばこの壁を打ち壊し、この斧で皆殺しにしてやるぞ」

 

毎年、ゲートがそろそろと開かれ、一人の憐れな勇者が送り出され、大巨人と向かい合った。
 

「おい、このチビが一番勇気のある者なのか?」--あざ笑うかのような恐ろしい声とその馬鹿でかい姿を前に、勇者の足は凍りつき、剣を抜くことさえできないまま、八つ裂きにされ新たな犠牲者となっていった……。

 

イメージ

 

ある年のある日、従者を一人従え旅を続けている若い王子がその都市にやってきた。王子は従者に尋ねた。

「なぜこの街のものは、皆怯えたもの悲しい顔をしているのだ?」

 

「……。一度でも大巨人の姿を目にすれば分かりますよ」

 

「大巨人? なんのことだ。」

 

周りを気にするように周囲を見渡すと、従者は王子に語りはじめた。

 

毎年、この日、夕刻になると、大巨人が山から下りてきて「皆殺しにされたくなければ一番勇気のあるヤツと戦わせろ!」と要求してくるのです。そして毎年、勇者はその場から一歩も進むこともなく、剣を抜くこともできないまま、八つ裂きにされてしまうのです。

 

「…私に…任せておけ。」

 

イメージ

 

その日の夕刻、王子は壁を背に一人、大巨人がやってくるのを待っていた。

 

「オイ、一番勇気のあるヤツはどこだ。俺と戦え!」大巨人の叫び声が轟いた。

 

「私はここだ!」王子は叫ぶとゲートを勢いよく開き、声の方へとへと歩みだした。

 

敵の姿を捉えようと、王子ははるか先の大巨人の姿を見上げた。王子の眼と大巨人のそれが交わった。

その瞬間、あまりの恐ろしさに全身が凍りつき、王子はこれまで八つ裂きにされてきた勇者たちと同じように、その場に立ちすくみ一歩も動けなくなってしまった。

 

「…くそっ。前に進むんだ俺の脚よ。動け!」--どうにかありったけの勇気を振り絞ると、王子は剣を振り上げ、もじゃもじゃの赤い髭と髪の中からのぞく恐ろしい眼を睨み返した。

そしてそのまま、眼を逸らすことなく再び大巨人へと一歩踏み出した。

 

突然、目の前の大巨人が少し小さくなった。

王子は立ち止まり、改めて大巨人の全身を見直した。「なんと不思議な! でも間違いない。大巨人は今や私はさほど変わらぬ大きさだ。

 

王子は再び歩きはじめた。一歩、また一歩と前に踏み出すたびに、巨人は少しずつ小さくなっていった。

王子は改めて立ち止まると敵の姿を見直した。もはや巨人とは名ばかりで自分の半分ほどの大きさだ。

そしてついに目前まで来たときには、巨人は目一杯背をそらし首を上げ、王子の顔をはるか上に見上げていた。

 

王子は剣を抜くと、巨人の胸に突き刺した。

地面に倒れた巨人の元に跪くと、王子は尋ねた。「お前は何者だ?」

「我が名は恐怖。」



Happy Collaboration!