Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

日本(人)の労働生産性(1) - 分母と分子

オリジナルはこちら(2016/9/14)

 

「日本人の労働生産性は低すぎる」「日本の働きかたには問題が溢れている」

–何年も前から言われ続けていることですよね。私も基本的には賛成です。

ただ一方で、「日本の生産性を諸外国のそれと比較するとxxxという体たらくです。ですから…」という話を聞くたびに、なんだか腑に落ちないものも感じていました。

 

そんなとき、社内の勉強会で「日本(人)の低生産性の原因調査」をリードする役割りが求められていたので、以前からのもやもやを晴らすべく手を挙げました。

そして今、自分的には納得感のある「結論じみたもの」にまとまってきました。

 

■ 日本人の生産性が高いとか低いとか言ってるけど、これって日本の景気が良いとか悪いとか言ってるだけじゃない?

■ 個人の生産性の高低と、企業の売上高はどれくらいつながっているか。その実感がはたしてどれだけあるか?

■ 雑感(いやすべてが雑感みたいなものだけどさ)

 

でも所詮、たかだか自分ひとりで見聞きしたものに過ぎず、まだまだ「(仮)」感の高いものでしかありません。

『日本の未来を考えよう』表紙

これからいろいろな方の知見やアイデア、感想や意見を伺うことで、さらに考えを深めたり、見過ごしている点をカバーしたりしたいので、IBM社内の勉強会だけにとどめず広くシェアします。たくさんの方からフィードバックいただけると嬉しいです。

 

なお、Web記事やレポートも読みましたが、とりわけ有用な情報&インスピレーションの源だったのが、以下2冊の書籍でした(今回のブログ記事では「生産性」という観点の部分だけしか取り上げていませんが、それ以外にも興味深いデータや考察が満載の超おススメ本です)。

 

日本の未来を考えよう

日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?

 


 

■ 日本人の生産性が高いとか低いとか言ってるけど、これって日本の景気が良いとか悪いとか言ってるだけじゃない?

 

■ 生産性の計算式のキモはGDPGDPを左右するのは国の景気

「日本のGDP」とは「日本国内で、日本人の働きにより新たに生産された金額」。

GDPは、主に「政府と民間の合計投資額」と「政府の消費額」と「民間の消費額」の3つで成り立つ。

 

国の労働生産性の計算式: 労働生産性 = 生産量(購買力平価GDP) ÷ (就業者数 × 労働時間)

購買力平価GDP(PPP: Purchasing Power Parity。その国の物価水準によってGDPを再計算しなおす考え方)で、国際比較がするならPPPを使うのが国際標準

 

2013年の数値によると、実労1時間あたりの購買力平価GDPは、日本が41.1ドル、OECD平均が47.4ドル、G7平均が56.8ドル、アメリカが66.6ドル。

日本の生産性はアメリカの61.7%、G7の72.3%、OECD全体の86.7%しかない。

 

生産性をあげるには、単純に考えれば分子である購買力平価GDPを上げるか、分母である総労働時間を下げるかすればよい。

乱暴に言えば、政府がジャンジャン産業推進や公共事業に投資したり、国民がジャンジャンお買い物すれば分子がでかくなりそれだけでGDPは増えて生産性はあがる。

 

■ 国の景気を左右するのは主要産業とその調子

国には各国「主要産業」と呼ばれる従事者数の多い業種があり、「国民の生産性」はその産業の景気に大きな影響を受ける。

それってつまり、「労働生産性の低い産業がその国の中心産業となれば、国の生産性は下がっていく」ということ(詳しくは以下リンク先を参照)。

1つの見方として、政府が投資(分子を大きく)する先が生産性の高い成長産業や業種であれば、生産性は長期的に上がっていき、逆に生産性の低い産業や業種への投資は、生産性の向上には貢献しないということになる。

 

日本がギリシャより労働生産性が低いのは、当たり前。 – 本田康博

OECD調べの「日本人の労働生産性は低い」についてちょっと調べてみた

 

日本の生産性が1991年をピークに下がり続けているのは、ようするに「日本の景気が下がり続けている(分子が減り続けている)」という事を言っているのに過ぎないのではないか?

あるいは「総生産額が下がっているのに、分母(総労働時間)が連動しておらず変化がない」ということを言い換えているだけでもある。

 

こうした「生産性が数値化される構造」を踏まえずに、「日本人の労働生産性は低すぎる」とか「働きかたに生産性を高める工夫を」と語っても、ピントがずれたものになりそう。

それが「分子(GDP)を上げよう」という取り組みなのか、「分母(労働時間)を下げよう」なのか、どちらの観点で話をしているのかを話者も聞き手も共通の意識・理解の上で会話するべきでは?

 


 

すっかり長くなってしまいました。

次の2つは次回の記事とすることとします。

■ 個人の生産性の高低と、企業の売上高はどれくらいつながっているか。その実感がはたしてどれだけあるか?

■ 雑感(いやすべてが雑感みたいなものだけどさ)

 

Happy Collaboration!