Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

多様性あれこれ(イノベーションと礼拝とフォルトライン理論)

オリジナルはこちら(2016/4/8)

 


「コラボレーション」について、個人としてもお仕事としても年がら年中ずーっと考えているわけですが、そのすぐ近くに、というよりもほとんど重なっているかのように「多様性(ダイバーシティー)」というテーマがあります。

ここ数日、続けざまに「多様性」についてあれこれ考えさせられる件があったので、メモしておこうと思います。

 

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■ オープンイノベーションの未来 - 多様性はイノベーションを生み出しているの

 

オープンイノベーションの未」というイベントに参加してきました。

3×3labo(さんさんらぼ)とImpact Hub Tokyo(インパクトハブ・トーキョー)の中の人のショート・プレゼンの後、イベント会場でもあClipニホンの中の人や、その他さまざまなサードプレイスやコワーキング・スペースなどと呼ばれているオープンな場所を運営している人たちを中心とした、ディスカッション・イベントでした。

 

「そもそもオープンって何を指しているのだろう?」「サードプレイスが本当に多様性につながっているのだろうか?」などなど、刺激的な議論が楽しめました

詳細は後日オフィシャル・レポートが出るようですが、私の中では、それぞれのコワーキング・スペースやサードプレイスという場が、一つの企業以上に「多様性よりも画一性が高い場所になっているのではないか?」という仮説が膨らんでいった夜でもあり、「多様性の捉えかた」を改めて深く考えるきっかけとなりました。

 

 オープンイノベーションについては先月こんなブログを書きました: オープン・コラボレーションとクローズ・コラボレーショ

 

 

■ 多様性ってメンドくさいよ - 失敗と混乱と衝突の先へ

 

周囲を見渡せば、さまざまな企業や組織が、多様性を求めているようです。

曰く、「イノベーションを起こすには不可欠」「少子高齢社会を乗り切るために」「取り組まないと社会的なイメージが…」などなど

 

これらを否定する気はもちろんありません。ただ、多様性の重要さを訴えると同時に、同じくらいの大きさの(でも少しだけ小さな)声で、きちんと言っておくべきことがあると思っています。

 

「多様性って、めっちゃメンドくさいよ」と。ちゃんと理解した上でやらなくちゃね

 

イノベーション失敗 - 「イノベーションが起きやすい」の足元には「イノベーションには至らなかった」挑戦や花開かなかったアイデアわんさと横たわっています
効率を良くする方法はあっても、失敗を起こさなくなるわけではないです。

 

・ものごとがすんなり決まらない - 多様な意見が表に出され、俎上に載せられるのが「多様性が発揮されている状態」です。
「こんなの言わなくてもわかるだろっ!」なんて言い回しは通用しませんよ。

 

・説明責任が高い - 外国人や海外で育ってきた人たちの多くは、上層部の不可解な決定や意味不明な発表を「会社ってそういうものだよ…」で終わらせない人が多いです。そこには旧くからある「会社の理論」とは違う常識があり、情報不足がもたらす非効率を是としません。
「いいから黙っていろ」…多様性をお求めでしたよね

 

・衝突が増える - 個人それぞれが持つ背景が異なれば、当然多様な意見が生まれ出ます。簡単にはまとまりません。
ときに衝突も起こります。衝突をプラスに転じる進め方をみんなが学ぶ必要があります。コミュニケーションをひとまず一時停止させて頭を冷やさせたり、個人うしの直接の関わりをしばらく保留させたりできるような、そんな「コミュニティー特性」を企業として身につけていないと厳しそうだと思いませんか?

 

多様性と制度については先月こんなブログを書きました: 『チームのことだけ、考えた。』を読みました - 額面上の多様性とお試し制

 

ところで今日、身近な仲間(同僚)にこんなことがありました

「お世話係をしているムスリムの新入社員くんに"礼拝はどの部屋ですればいいですか?"と聞かれ焦りまくり

ところがなんと、人事に問い合わせてみたら同じフロア内に礼拝専用の部屋がありました!

 

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■必要なのは、タスク型のダイバーシティ - フォルトライン理論と働きかたの多様性

 

今朝、PRESIDENT WOMAN Onlineのとても興味深い記事を読みました。

自分の中では、ある意味、これが回答なんだろうって思っているので、いくつかとても気になるフレーズをピックアップします。

 

なぜ、ダイバーシティが必要なのか? | 早稲田大学ビジネススクール 入山章栄准教

ダイバーシティには2種類あるということで

1つは「タスク型のダイバーシティ」。これはその人の能力や知識、過去の経験や価値観など、目に見えない内面の多様性で

もう1つが「デモグラフィー型のダバーティ」。こちらは性別や国籍、年齢など属性の多様性です

…イノベーションを起こすのはタスク型のダバーティであって、デモグラィー型のダイバーシティは、実は組織にとってマイナスになることもあるのです

…男性と女性という対立軸があるところへ、アメリ人やフランス人が入ってくるとどうなるでしょうか。日本人と外国人という対立軸ができます。そこへさらに高齢者や障害者を入れてみるとどうでしょう。対立軸は複数になりま

そうなると人間はわけが分からなくなって、逆に認知の壁が下がるのです。男性と女性というように軸が1つしかない場合は、男か女かの認知で区別してしまう。しかしさまざまな人が加わると、断層効果が弱まり、コミュニケーションが円滑に進むのです

 

IBMの経営転換を支えた「タスク型ダイバーシティ」とは? | 日本アイ・ビー・エム株式会社 人事 ダイバーシティー企画担当 部長 梅田恵さん

IBMの本国での創立は今から105年前ですが、当時はまさに名もないベンチャー企業でしたから、なかなか社員を集めることができませんでした。そこで、優秀だけれど女性や黒人というだけで仕事に就けない人を集めてきたのです。教育が足りないなら会社が教育をし、生活のベースが整っていないなら会社が福利厚生をすることで社員の定着を図り、発展してきま

…企業が、「管理職を何%増やす」という女性をひとくくりにした目標を立てても意味がない。それぞれの持っている「知」を棚卸ししてプログラムを開発し、その研修を受けてもらって、何年後にはこのポジションにする、というような具体的な目標を立てるべきでしょう

そして最終的にIBMが重視しているのは、経営層のダイバーシティです。そこが変わらないと、本当のダバーティは推進できないのが現実だと思います

…女性も男性も、あうんの呼吸で通じるグループから、自分と価値観の異なる人たちと議論し、切磋琢磨していかなければなりません。でも社員をちょっと不自由な状態に追い込むと、どうやったら居心地よくなるか考えるようになり、そこにイノベーションが起きま

 

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ところで明日は、リモートワークジャーニー東京 | リモートワークから『自分らしい働き方』の実現を考えるフューチャーセッショ』というイベントに参加してきます。

またまた「多様性」について、いろいろと感じる1日になりそうです。楽しみ!

 

Happy Collaboration!
 

社内ソーシャル: 風土と場とメカニズムデザイン

オリジナルはこちら(2016/03/20)

 

昨日、ナレッジマネージメト学会イベンEGMフォーとしてパネル・ディスカッションをやったのですが、なかなかEGMフォーラム色の濃い、面白い場になったようです(「刺激的で楽しかった」という言葉を何人かに言っていただけたので、ここは額面通り素直に受けとります)

 

そして個人的には、EGMフォーラムが今後ディスカッションをしていくべきテーマがいくつか明確になった場でもあった気がしています。

今後「振り返るべきポイント」の一つにもなるかも? ということでメモを残しておきます。

 

 

■ 社内ソーシャルとメカニズムデザイン

 

"EGMフォーラムは、「社内ソーシャル」について「風土」と「場」作りの重要性をこれまでずっと議論し続けてきたけれど、もう議論もあらかた尽きたのではないか。今後は「コラボレーションを促すカニム作り」をテーマに掲げていくべきではないか"

以上前田さからの問いかけでした(以下に登場するの2つの画像は、前田さんのチャートからの抜粋です)

 

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「メカニズム・デザイン」という言葉はカッコいいですね。経済学の一分野で、社会的に望ましい結果に導くルール設計することだそうです。

私が興味を持っている進化心理学や選択行動デザインとも親和性がとても高そうな感じです。

 
 
ただ、会場でも指摘があったように、これらの言葉を「いかにもそれらしく」使っていると、詐欺師臭がプンプン漂うようなので気をつけた方がよさそ

一方で、「知識のための知識」にしてしまわないよう、これらの概念の基本を理解して実践の場に適用していくことはとても重要そう。まずは学んでみたいと思います。

 

 

■ 社内ソーシャルと意思決定

 

"画像に「意思決定」(意思決定レイヤー 分散された情報から正しい意思決定に結び付けるメカニズム)とあるが、社内ソーシャルが意思決定に役立つのか? その意思決定とは具体的に何を指しているのか?"

こんな質問を参加者の方からいただきました

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たしかに、社内ソーシャルが意思決定にどれだけ関与するのか、またそれは誰のどの範囲の意思決定で、そしてそれがどのような形で表されるのかというのは、これまであまり議論されていなかったと思います。

 

そして会場では時間が全然足りず、この話を詰めることができませんでした。

私自身は「社内ソーシャルと意思決定」の関係に対していくつかの仮説を持っていますが、もっと多様な視点からいろいろな意見を聞いてみたいと強く感じました。

 

そんなわけで、次回のEGMフォーラムの定例会ではこのテーマで意見交換をしてみたいと思っています。

参加してみたいという方はいらっしゃいませんか? ご連絡ください。

 

 

■ 社内ソーシャルと無責任な発言

 

"激しい内部競争により成り立っている組織もある。そんな組織にとってはソーシャルなど気晴らしレベルのモノにしか成り得ない"

"自分とはまったく無関係なところからの無責任な発言など、むしろ邪魔なものでしかない"

こうした意見も出てきました。社内ソーシャルについての議論としてはわりとクラシックなものかと思います。

 

ただ、クラシックであるが故に、これまで「内部競争に血眼になっているうちに、気が付けば外部からはるかに取り残されてたなんてことがなきゃいいですね」とか、「ワンチームで変化に対応していくことが求められている中で、社内に無関係なところなどないんじゃないですか」という、紋切り型の回答で終わらせてしまっていた(逃げていた?)気もします。

 

これは最初の画像でいうところの「風土」の話との関連性がとても強そうです。

改めてこうした声をじっくりと聞き、「そうした風土を持つ組織でのメカニズム」や「それぞれの風土ごとのメカニズム」を考えてみても良さそうな気がします

 

というわけで、次回以降のEGMフォーラム定例会で一緒に考えてみたいって方、ご連絡をお待ちしております。

Happy Collaboration!

 

社内ソーシャル・ガイドライン策定7つのポイント

オリジナルはこちら(2016/03/14)

 

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ここのところ「社内ソーシャル・ガイドライン」について問い合わせを受けたり、アドバイスを求められたりする機会が再び増えています。

新入社員がやってくる時期というのが関係しているかな? なんて思っていたのですが、「LINEの手軽さを職場に持ち込みたいという若手からの要望が増えているからじゃないですか?」という友だちの言葉にもなるほどと納得しました。

 

本当なら、まずは社内ソーシャルのガイドラインやポリシーの策定について概要的なことが書かれているウェブページを紹介して見てもらい、その上で個別の相談に…と行きたいところなのですが、実際には検索しても出てくるのは社外で使用するソーシャルメディアに関するものばかり…。

社内ソーシャルに関するガイドラインについては、ほとんどウェブ上には存在していませんよね。

 

そんな状況なので、まずはこれまで私が相談を受けた際に伝えてきた「社内ソーシャル・ガイドライン/ポリシー」のベースとなる考え方やポイントを7つご紹介します

なお、ここでは実名制の社内ソーシャルであることを前提としています

 

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1. まず、会社側の考える「社内ソーシャルを持つ理由と意義、そして社員に期待している行動」を伝える。

そして意見やコメントがウェルカムであることを明確にする。

 

2. 自身の現在の社内におけるコミュニケーションスタイルを起点とした利用を促す

「オンラインでは別人格」ではなく、一人の社員としてのインテグリティーを求める(なお、運営側にも同じ意識が求められる)。

 

3. 「べからず」を細かく挙げていくとどこまでもきりがなく、例外や重箱の隅との戦いを続けざるを得なくなるのでやめる。

基本は「オフラインでの社内行動でNGなものはオンラインでもNG 」。

 

4. 社内にはまったくソーシャルに触れたことがない社員もいることをくれぐれも忘れない。

推奨される使い方をいくつかの例と共に具体的に明示してあげると初心者もイメージしやすい(典型的、あるいは運営チームの考える「グレーに近いNG」を 例示するのもイメージしてもらいやすい)。

 

5. オンラインの特性(顔や声色が分からないため、発信する側が独断的になりがちだったり、受けとる側が勘違いしやすかったり)を意識するよう呼びかける。

特に、ソーシャルやインターネットを使い慣れている社員こそ「悪い部分」も持ち込みやすいので、ソーシャルの概念に不慣れな社員が多いことへの配慮を持った「先輩としての行動」を求める。

 

6. 既存の(ソーシャルからは離れた)社員向けの行動規範やガイドが存在するのなら、それを土台として考える。

あるいは、これを機にオンラインに限定しない社員向けのコミュニケーション全般の網羅的なガイド作成検討も考慮に入れる

 

7. ガイドライン/ポリシーは1部門だけで完成させず、関与が高いと思われる部門と協業して作成する(ただし、あくまでも「べからず集」にならないように注意する)。

完成後はさまざまな方法で広く社員に周知する(使われないガイドラインは無駄)。また、定期的に見直し/改定を実施する

 

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さて、それではIBMではどんな社内ソーシャル・ガイドラインを使用しているかというと…実は社内向けのソーシャル・ガイドラインは存在していのです

びっくりしましたか? ただ、実際には「社内向け」や「ソーシャル専用」と切り離していないだけで、以下の3つのガイドラインで上記の「7つのポイント」をカバーしています。

 

  • ビジネス・コンダクト・ガイドライン
  • ソーシャル・コンピューティング・ガイドラ
  • セキュア・コンピューティング・ガイドライ

 

また、オンライン学習用の教材が毎年更新されており、受講とテスト合格が全社員に義務付けられています

社内ソーシャルを「全社員の業務遂行を支える基礎プラットフォーム」と捉えるのであれば、こうした強制的な進め方も必要となってきます。

 

最後に、これまでに社内向けガイドライン/ポリシーに関連するブログ記事をいくつか書いているので、そちらも紹介しておきます。

 

 


Happy Collaboration!
 

鎌倉投信の新井和宏さんの話を3x3Laboで聞いてきました

オリジナルはこちら(2016/3/9

 

投資は「きれいごと」で成功す』を読み興味を深め、その後昨年末に33Laboでの説明会に参加してファウンダーで代表取締役の鎌田さんにちょっといぢわるな質問をしてみたところすごく丁寧に回答してもらいすっかり納得し、ファンになっ鎌倉投さんの「結い2101」というファンドを買ったのが今年の1月。

 

そして先週、今度は『投資は「きれいごと」で成功する』の著者であり、鎌倉投信さんのファンドマネージャーである新井和宏さんのお話を聞く機会がありました。

場所は最初の説明会と同じく33Laboでエコッツェリアの田口真司さんだったのですが、著書の内容を改めて味わうようなとても良い対談でした。

 

いくつかの言葉がとても印象深く、自分がもやもやと思っていることと組み合わさって、今も頭の中に強く残っています。

そんな新井さんの言葉をベースに、会場で感じたことを書いておきます

なお、いずれ正式なレポートがエコッツェリア協会のサイトに公開される予定だそうで、楽しみです。

 

 

■ 客観しかなく主観がない

多くの人たちが自分の意見を持たず、データの裏付けや第三者機関の評価だけに頼って判断したり行動したりするのは、「だって決めたのは私ではなく他の誰かですから」という逃げの姿勢の表れで、覚悟や責任からの逃避

人間の強みは主観であり、納得ではなく共感するにはそこに主観が必要。客観性とデータだけで判断していくやり方では、人はコンピューターに勝てな

 

「私はこう思う」ではなく、「ここにいるみんながそう思っています」とか「我々日本人はこうなのです」とかって、主語を大きくして語りはじめちゃう人っていますよね。

これってなんだか「客観しかなく主観がない」という新井さんの言葉と、土台の部分ではつながっている気がします

 

たしかに、「自分」よりも所属している組織などを優先しなきゃいけない状況があることも事実ですが、でも、そうじゃなくていつでもどこまで行ってもそちらの立ち位置だけで語る人っていますよね…。

「主語がでかいと述語が勇ましくなる」なんて言葉もあります。気を付けたいですね。

 

 

■ ステキな出会いはどこからくるのか

「私は、こういう考えを持っています。そしてこういうことをやっている人です」と、自ら「ニオイ」を発信していることが、ステキなつながりを生みだすコツ。自分から探すことももちろん大切だが、相手に見つけてもらったり理解してもらうこともすごく重要

また、いくらいいことをしていても、それを発信しなければ拡がってはいかない。 そしてステキな人やすごい人であっても、上下間を強く感じさせるような相手は避けてい

 

「ニオイを発信する」という表現に思わず「分かる!」と声を出してしまいました。そして「上下感を強く感じさせるような相手は避けている」というのに膝を打ちました。

他にも「僕の周りには"Give and Take"ではなく"Give and Give"の人たちばかり。でも実は、そういう人たちも、褒めて欲しい人に褒めてもらえたり愛して欲しい人に愛してもらえたりすることで、十分Takeしているのだ」ということを言われていました

 

これは私なりの解釈ですが、この感覚が得られない相手が「上下感を強く感じさせる相手」だと思います。

言葉にするのは難しいのですが、そういう人って、何をしても双方向にならずに断続的な一方向性の流れにしかならないというか…。

要するに、コミュニケーションを重ねても、暖かいものや高めてくれるものが流れてこなくて、コラボレーションが成立しづらいんですよね。

 

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■自分たちだけですべてはやれないしやる必要もな

鎌倉投信が手を広げてすべてをやろうとする必要などまったくない。その存在や理念が知られるように結果を出し続け、伝えて続けていけば、それを別のところに波及させていくことができる。

例えば、社会に高い価値を与えている良い会社を応援するという、鎌倉投信と同様のスキームを大企業向けにやる金融機関が出てくるかもしれない。あるいは鎌倉投信の評価基準を自社の指針に取り入れる企業が出てくるかもしれない。

そんな動きを大きくしていくためにも、結果を出し続け、伝え続けてい

 

これを聞いて、なんだかとても救われた気がしました

自分の無力さに絶望的な気分になったら、この言葉を思い出したいです

 

 

対談会場には、新井さんと田口さんの師匠筋にあたるという横浜国立大学の三戸教授もいらしていて、最後に言葉の大切さをおもしろい表現でお話しされていました:

「想いが言葉として発せられることで気体となり、それが書き留められて固体となる。固体となるから残っていく」

 

私もそれに倣って、固体とした言葉をデジタルにシェアしていきます。

最後に、他にも気になったキーワードを。

 

  • 妄想族は一ケ所に集まっている

  • 目先の効率とその裏側の面倒くさいこと

  • 気を付けるべきは失敗そのものではなく失敗に対する態度

 

Happy Collaboration!


 

オープン・コラボレーションとクローズ・コラボレーション

オリジナルはこちら(2016/3/2)

 

企業のコラボレーションにもいろいろあって、1企業内に閉じた「クローズ・コラボレーション」もあれば、「オープン・コラボレーション」と呼ばれる複数の企業やNGO、行政とのコラボレーションをベースにしたものもあります。

さらに「オープン・コラボレーション」の中にも製品やサービス開発のプロセスのごく一部だけでするものから、最初から最後までどっぷり一緒に進めるタイプもあって、分類しようとするとなかなか大変そうです

(ちなみに、これまで出てきた「コラボレーション」を「イノベーション」に置き換えれば、そのままオープン・イノベーションとクローズ・イノベーションの説明にもなります。)

 

いきなりこんなことを書き始めたのは、最近「イノベーション開発部」や「組織変革本部」や「新規ビジネス推進部」などの肩書きをもった方々とお話をする機会が続けざまにありまして、「企業間コラボレーション」についてコメントやアバイスを求められたからです。

いくつかコメントしながら、改めてコラボレーションについて思ったことがあったので、今回はそんな話を書きます

 

あなたは、コラボレーションをどちらの視点から見ていますか?

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質問1. あなたは、「イノベーションの側」からコラボレーションを見ていますか、「コラボレーションの側」からイノベーションを見ていますか?

質問2. あなたは「組織の側」から個人を見ていますか、「個人の側」から組織を見ていますか?

 

質問1、2ともに私の答えは後者で、「コラボレーションの側」からその延長線上にあるイノベーションを見ていて、「個人の側」からその延長線上にある組織を見ています。

なぜ突然こんな質問をしたかというと、この質問への答えの違いが企業間コラボレーションや企業間イノベーションを捉える際のスタンスの違いとなり、その違いが対話のズレとなって現れることが多い気がしているからです。

 

もちろん、このズレはどちらが良いとか悪いとか、どちらが正しいか間違っているかという類のものではありません

また、私のように「コラボレーション × 個人」をスタート地点に置いている者であっても、対話の中でイノベーション側に視座をずらしたり、組織側の観点から個人を俯瞰することだって当然あります

 

コラボレーションやイノベーションについての対話時に、かみ合わせの悪さを感じたときには、早めにそのズレを場に出して自分と相手が今、どちらに視座を置き話しているのかを双方で確認したほうが良いと思います。

さらには、最初の質問を通じて、自分の基本となるスタンスや傾向を伝え合うことで、対話の質が高まりますし、お互いの発言を受容しやすくなるのではないでしょうか
「コラボレーションとかイノベーションの話しをした後、なんだかモヤモヤが残りがち…」って方には特に強くおススメします。

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ところで、私が「コラボレーション × 個人」をスタート地点とし、常に「イノベーション × 組織」よりも優先しているのには理由があります。

それは、ほとんどのケースで「組織によるイノベーション」は結果に過ぎないと思っているからです。

 

「組織によるイノベーション」という結果が連続的に起きる状態を作るには、それよりも手前にある「個人(社員)によるコラボレーション」というプロセスが常にONになっている状態が必要ではないでしょうか

そして「プロセスON」を続けさせられるかこそが組織の生命線であって、連続的イノベーションという結果は、豊かな「プロセスON」の賜物だと思うのです

 

なお、個人(社員)によるプロセスのリッチさとして私が考えているのは、以下のようなコトとなります。

  • 質 - 関係性の強さや高さ、それぞれの場に対するていねい
  • 量 - 積み重ねられた場の数や発生頻度
  • 幅 - 幅広く社内外を包み込む多様性&インクルージョ
  • 道具 - コラボレーション・ツールの成熟度
  • 制度 - 支援する仕組みの豊富さやパワフルさ

 

結局、実際に脳みそや手足を動かしてコラボレーションをするのは人ですしね。

そして飛びぬけたイノベーションという劇的な結果も、こうしたリッチなプロセスの積み重ねから生まれてきているものがほとんどだと思うのです。

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とは言え、コラボレーション・エナジャイザーを名乗る身としては、「企業間コラボレーション事例」もある程度は押さえておきたいと思っていまして、そんなウェブサイトや事例集はどこにあるかなと探してみたのですが…。

これが、いい感じのものが見つけられませんでした。

 

企業間コラボレーションの事例に詳しい方がいらっしゃったら、ぜひ参考になるサイトなど教えてください!

Happy Collaboration!
 

 

3月19日(土)の日本ナレッジ・マネジメント学会のイベントに参加します

オリジナルはこちら(2016/2/25)

 

3月19日に、日本ナレッジ・マネジメント学会という歴史あるアカデミックな団体の第19回年次大会があります

そこでEGMフォーラムの仲間たちと「EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題」というセッションをやることになりました。

 

以下イベント案内ペからEGMフォーラムのセッション部分のコピペです: http://kms-j.sakura.ne.jp/news/2016/02/201631919.html

 

15:45-16:45 【パネルディスカッション】 EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題

司会 発題:荒木 聖史(本学会会員)

1.八田 光啓(日本電気株式会社 マネージャー)

2.前田 直彦(SCSK株式会社)

3.八木橋  昌也(日本アイ・ビー・エム株式会社)

まとめ:荒木 聖史(本学会会員)

 

これを見ると普通の「パネルディスカッション」のようですが、先日EGMフォーラムメバー打ち合わせをしてきました
その結果、当日は前田さんに「提言ショートトークをしてもらい、それを受けてEGMフォーラムのメンバーや当日来場いただけた方たちを交えたディスカッションをしようということになりました。

 

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こちらは当日の打ち合わせのメモ。なにがなんだか…ww

 

そして私はパネラーではなく、ディスカッションのファシリテーターをやる予定です。

きっと、当日はあまり自分の考えを伝えるチャンスがなさそうな気がするので、ここで私自身の考えている「EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題」について少し書いておきます

 

■EGMや企業ソーシャルという「ツールの導入」により、さまざまな問題が解決されるわけではないツールの導入はあくまでスタート地点
ここを誤解している人が未だに多いのではないか。

 

■企業ソーシャルは、各社が自分たちの「ありたい姿」に向かうための問題解決支援ツール。「現在とありたい姿のギャップ」や「経営層と現場の温度差」を分かりやすく浮かび上がらせたり、それに対する施策をアジャイルで実践することを可能にする。
「ギャップや問題点はむしろ見たくない(見てない振りをしたい(?))」企業には向いていなんじゃないか。

 

■企業ソーシャル成功させている企業は特別なことをしているわけではな。どこも「なぜソーシャルが自社にとって重要なのか」を常に忘れず、愚直に正しいことを広めようとやり続けている。
本当に重要性の高さを認識できているか? それを伝えようとしているか?

 

■EGMや企業ソーシャルは、コミュニケーション・ツールではない。コミュニケーションを活性化させる機能はその一部であって、そこからコラボレーションを深化させイノベーションを孵化させるツーメールやチャットの代替品は誤
コミュニケーション活性化だけが目的なら、ベターな方法があるかも。

 

企業ソーシャルはプロセスであり風土づくそのもの。社内推進や活性化のための活動そのものが、変化にしなやかに対応し変革をみずから起こしていく「生き残れる企業体質」づくり
一過性ではダメだし元に戻る。風土となるまで続けること。

 

人が道具を作り、道具が人を作っていくコラボレーションを誘発するツールを使っていけば、社員はコラボラティブな行動をとりやすくなっていき、コラボラティブな行動を続けるうちに思考パターンが変化していく
「行動を誘発するツールの展開」×「行動を誘発する使い方の教育」。

 

■今後、EGMや企業ソーシャルには高度な分析やリコメンデーションがますます必須となっていく。どのような行動がより高いレベルのコラボレーションに結びついていくか、情報を求めている人にいかに精度高く推奨できるか。
勘と経験だけに頼ったコミュニティー・マネージメントから、コグニティブ・コンピューティングの活用。そしてコグニティブをさらに高機能にしていくのも社員の多様な意見の発信があってこそ。

 

あまり新しいことはなくて、これまで言ってきたこととほぼ同じ…かな
もし時間があれば、1月ほど前にインタビュー記事が公開されたので、そちらも読んでみてください。

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八木橋 パチ 昌也 | 仲間たちから優れたことばを「引き出す」ために、いま、企業には「ソーシャル」が必要

 

 

最後に、今のところ私が当日参加しようと思っているセッションをお伝えしておきます。よかったらご一緒しませんか?

 

  • 9:40-10:30 | 基調講演  「企業経営理念の実現にむけたSECIモデル」 | 内藤 晴夫(エーザイ株式会社代表執行役CEO)
     
  • 10:30-11:10 | 特別講演  「企業経営に求められる共存在経営とは」(仮) | 清水 博(東京大学名誉教授、場の研究所所長)
     
  • 11:20-11:50 | 「アウトカム社会とは」 | 山崎 秀夫(日本ナレッジ・マネジメント学会専務理事)
     
  • 13:50-14:25 | 報告1:佐脇 英志(亜細亜大学特任教授 2016年4月1日就任予定) | テーマ1「ケーススタディー:シンガポール印刷会社変革」
     
  • 14:20-14:50 | 報告2:廣瀬 文乃(一橋大学国際企業戦略研究科特任講師) | テーマ2「アウトカム社会におけるソーシャルイノベーションの重要性」(仮)
     
  • 15:00-15:35 | 報告3:小石 裕介((株)BeatCommunication) | テーマ3「メッセージアプリと創造性」
     
  • 15:45-16:45 | 【パネルディスカッション】 | EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題

 

Happy Collaboration!


 

アフリカのサラリーマンと身近な二次情報

オリジナルはこちら(2016/2/18)

 

先週の金曜日ギークオフィス恵比寿で『私がアフリカでサラリーマンになった理由。』というイベントを開催しました。

参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

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タイトルにある「アフリカでサラリーマンになった『私』」というのは、2年前から西アフリカのブルキナファソで暮らしていて、ちょうど一時帰国をしていた江田さんという友人です(たぶんこれを書いている今ごろ、ちょうど再びブルキナに向かっている空の上じゃないかな)。

そんな彼女と出会ったのは、江田さPeace Winds Japanという日本のNGO団体でファンドレイザーをやっていた3年くらい前です。

団体のソーシャルウェブ施策についてディスカッションをしたり、ボランティア募集のためのアイデア出しをしたり、そして「自分らしく働くとは」というトークイベントに呼んでいただいたり…

 

当時のブログ: 『Work Your Way - 自分らしく働く

 

そんな江田さんが、JICAのボランティア期間を終えて、今度は現地NGOの職員として、給料を貰いながらシアバターなどの販路開拓営業をやるそうで…

彼女を知らない人にとっても「一体、アフリカで営業なんて、どんな感じなの?!」って思いませんか?

 

そんなおもしろい話を自分ひとりで聞くなんてもったいない! と思ったし、どうせなら彼女の新しいチャレンジの役にも立ちたい! ということで、以下のようなプラグラムを実施しました。

 

  1. 江田さんによるプレゼンテーション
  2. 江田さんへのPachiインタビュー
  3. 塩じいァシリテーションの「どうすればもっとシアバターが売れる?」ワークショッ

 

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(写真は3のワークショップの様子です。たまたまこんな表情になっていますが、別に私は怒っているわけじゃありませんよww)

ここでは、江田さんのプレゼンとインタビューから、「ええぇ!」とか「ほほぉ」とつい言ってしまった宗教と水道とトイレの話を紹介します

 

 

宗教観

ブルキナファソ人の宗教は、約60%が自然界をそのまま崇めるような伝統的アニミズム、イスラム教が約30%、キリスト教が10%くらい

でも、そ宗教観はとてもゆるーいもので、イスラム教徒だけどお酒を飲めば豚肉も食べる人とか、クリスチャンだけど一夫多妻制だとか、一般的に考えられている各宗教観からはちょっと考えられないようなものが多いとか。

なんだかちょっと不思議な、そしてほほえましい感じがしますよね。

 

そして、さまざまな信仰を持つ人がそれぞれ宗教的イベントに参加しあったりして、友好を深めているそうです。

 

 

■ 水道とトイレ

江田さんが暮らしている村の90%の家庭にはトイレがないそうです。そして、みんな草むらで用を足しているんだとか。

これは600人もの生徒が通う村の学校でも同じで、壊れかけのトイレは放置されていて、誰もそれを使うことはなく草むらに消えていくらしい…。

さらに、学校では給食があるらしいのですが、手を使って食べることが多いのにもかかわらず、水道で手を洗う習慣もないそうです…

 

そんな状況を変えるために、江田さんたちは学校のトイレを修繕し、外壁にかわいいペインティングをしたらしく、かなり現地でも評判になったとか。

また、井戸給水施設建設なんかも手伝ったそうですよ

江田さんのブログでも紹介されています!

 

 

 

これだけソーシャルやインターネットに周りを囲まれてたくさんの情報に触れられるようになった今だからこそ、より直接的に得られる二次情報の価値が高まっていると思っています。

友人やその友人からの、人のつながりの中で手に入れた信用度の高い情報は、その後の自身の判断やアイデア出しなどにもつながりやすく、「ひょっとして他の情報とは違う色づけでもされて頭の中に置かれているのかな?」と思うほどです

 

だから、特別な体験をしてきた人の話は、できるだけ直接その人から私は聞きたいと思うのです。そして面白い話は、一人や二人で聞くよりも、もっと大勢で聞く場を持つことで、さまざまな側面から光が当たって一層キラキラしたり立体的になったりするとも思っているのです。

 

皆さんはどう思いますか? もちろん、しっぽりと少人数で会うのもいいのですが、ときどきはこんな「変わった話」を聞いてみてはいかが?

 

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Happy Collaboration!