Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

優秀な営業マンは門前払いを受ける - 嫌われる勇気と弱者の好物

オリジナルはこちら(2016/4/23)

 

EGMフォーラムの夜は、いつも以上に五感が揺さぶられます

反射的にポンっと出てきた、あるいはズルズルと自分の中から出てきた言葉は、いつもより本能的になっていて、自分自身に驚くようなことも

先日のEGMフォーラムの定例会でも「あちらこちら」へと意識が振られつつ、振り返ってみると「言いたいことは本当にそれだったのか?」と、自分の瞳の奥を覗き込んで問いかけてみたくなります。

 

前置きが長くなりました。

いまだに脳内で断片化しているままな部分も多いのですが、本編後の飲み屋での話も含め、コラボレーションとイノベーションに関するディスカッションのかけらを書き出しておきます。

 

 

■ 門前払いを受けるのが優秀な営業マンであ

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「大企業のセールスは門前払いを受けることがない。とりあえず話を聞いてもらえるから有利である。」−−マルかバツか。

答えはバツ。理由はROIの高低にある。

 

営業マンの成績は、一般に売り上げた数字で測られる。要するに「売るやつができるやつ」。

それでは、売る上で1番のムダは何か。

それは「さんざん時間を使わせられた挙句、最後にNoを突き付けられること」

 

結果としてNoと言われるなら、なるべく早くNoを。その相手に費やす時間を別の営業先にかけることができる。

結果を見れば、売れないところからは門前払いを喰らうのが1番ロスがない。「ノー・リターン but ノー・インベスト」。

 

「そんな単純な話じゃない! 営業をなめるな」--もちろんその通りで、これは話をかなりシンプルにしています。

でも、真実も含まれているとは思えないでしょうか。こんな話もあります。

 

みなさんは、「こんなアホみたいな詐欺話に引っかかるやつなんて世の中にいるわけないだろ!」って笑ってしまうような、そんな詐欺メールを見たことがありますよね?

多少たりとも分別なり経験がある人なら、瞬間にゴミ箱に捨てるeメールです

さて、詐欺師はなぜあれほど、ありえないアホみたいな詐欺話を送るか考えたことがありますか?

 

彼らにとって一番タチが悪い相手は、中途半端に引っかかって最後に二の足を踏む相手だからです

 

 

■ メリットの法則――ムチよりも「アメを与えない」こ

 

杉浦さんが『メリットの法則―― 行動分析学・実践編』という本の紹介をしてくれました。

ブログ記EGMフォーラム月例会報告(4月20日)~行動分析学と協働関係の作り』にも紹介スライドがアップされていますが、私は、その説明を聞きながら嫌われる勇』に書かれていたことを思い出していました。

以下、引用です。

 

「不安だから、外に出られない」のではありません。順番は逆で「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」(…)「外に出ない」という目的 が先にあって、その目的を達成する手段として、不安や恐怖といった感情をこしらえているのです。アドラー心理学では、これを「目的論」と呼びます

「このままのわたし」であり続けていれば、目の前の出来事にどう対処すればいいか、そしてその結果どんなことが起こるのか、経験から推測できます(…)一方、新しいライフスタイルを選んでしまったら、新しい自分になにが起きるかもわからないし、目の前の出来事にどう対処すればいいかもわかりません。未来が見通しづらくなるし、不安だらけの生を送ることにな

自分が非行に走ったり、不登校になったり、リストカットをしたりすれば、親は困る。あわてふためき、胃に穴があくほど深刻に悩む。子どもはそれを知った上で、問題行動に出ています。過去の原因(家庭環境)に突き動かされているのではなく、いまの目的(親への復讐)をかなえるために

 

 


■ 強者は共創より競争を好む。コラボレーションは弱者の好物に過ぎな

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強者は共創より競争を好む。なぜなら、自分一人の力で勝てば独占できるから

コラボレーションするということは、自分の分け前を減らしてしまうということ

自分ひとりでイノベーションを起こすことも勝利を手にすることもできる人間に「コラボレーションせよ」と求めても無駄だ

 

そんな話が出ました。たしかに、その通りかもしれません。

ものすごく抜きん出た実力を持っている人がいて、その人が「喜びを分かち合える快感」よりもはるかに「勝利の美酒の独占」を愛しているのならば、そういう話になるのかなと思います

 

この話はシンプルだけど、意味深い議論になりそうな気がします。

「強者は共創より競争を好む。コラボレーションは弱者の好物に過ぎない」 --皆さんは、この仮説にどう応えますか? 対話の場を持ってみたいです。

 

Happy Collaboration!

 

コミュニティー運営グルグル

オリジナルはこちら(2016/4/17)

 

一昨日は、いろいろな場所でコミュニティーの「在りかた」に触れ、それぞれの違いにインスパイアされまくった1日でした

なんだかとても特別な「流れ」を感じる日だったので、いまだ頭に渦巻き続ける「思考の芽」みたいなことを書きだしておきます。

 
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■ 1日の流れ

 

IBM内で、とあるオンラインコミュニティーについてGlobalチームとディスカッション

コミュニティー運営側が持つ「果たしたい役割り」と、メンバーが感じている「期待されている役割り」のギャップを整理。

 

3×3Lab Futureを初訪問して本会員登録してきました(写真はすべて3×3Lab Futureの中で撮ったものです)。

施設案内してもらったり新たなチャレンジについて教えてもらったりしつつ、「サードプレイス」という場所の「女将役」について考察。

これからはちょいちょい顔を出そうと思ってますが…時間が18時までとちょっと早いのが残念。

 

一橋ICSで、とある企業のナレッジマネージメントの取り組みを詳しく聞き、それをベースとしたグループディスカッションに参加

はたして、「上手くいっている社内コミュニティー」は、スケールさせる必要があるのか?

(ところでICSって「なんの略だろう?」と思ってたんだけど"International Corporate Strategy"で、「一橋大学大学院 国際企業戦略研究科」らしい。めっちゃアカデミックで俺から遠い世界じゃん!

 

Clipニホンバで、コミュニティー・マネージャーの広瀬さんと、2週間ほど前のイベントでも会話した「サードプレイスの画一性」などについて改めて対話。

そしてこの日2回仮面屋おも店主大川原さんとバッタリ。

 

 

■ イノベーション/カイゼン、人/コト、オンライン/オフライ

 

多少乱暴なところはありますが、対比させるために特徴を並べてみるとこんな感じでしょうか。

 

  • イノベーション志向の企業内オンラインベース・コミュニティ

  • 場所志向のサードプレース型オフラインベース・コミュニティ

  • カイゼン志向の企業内オンラインベース・コミュニテ

  • 起業志向のサードプレース型オフラインベース・コミュニティ

 

こうして振り返ると、「コミュニティー運営」というテーマを中心に据えたまま志向性や状況、コンテクストやオープン性などをクルクルと変えながら、多くのコミュニティー・マネージャーたちに囲まれて過ごしました

うん。濃くて贅沢な1日だった。

 

そして改めて気づいたのは、意識して視座を変えるの重要性です。

毎日コミュニティーに接して考えているつもりにはなっていても、実際には「緊急性は高いけどさして重要じゃない」日々の業務に引きづられてしまい、「緊急性は高くないけど重要」なテーマを実践知ベースで考えるところには行けないぞ自分…。

 

 

■ 何を考えていたのか

 

・ コミュニティーとは、リソースが共有される場/リソースを共有する

コミュニティーの正体は「リソースが共有される場」だ。

リソースが消費され尽くしたとき、あるいはリソースがその価値を失ったとき、コミュニティーは消えていく運命にある。

(「リソース」が何を指すのかは、前に書いコミュニティーとはリソースが共有される場である 』で。

 

・ コミュニティー・マネージャーとは、リソースの最大化と循環とを図る

メンバーがリソースを消費するのと同時に、リソースを持ち寄ったり発生させたりするように支援するのがコミュニティー・マネージャーの役割り。

既にあるリソースが、薄まりきってしまったり傷んで腐ったりしないようにするのがコミュニティー・マネージャーの役割り

リソースを発生させるのも、腐らせないのも、その方法は正解やテンプレートが存在しない非常に厄介なものだし、そのやり方こそがコミュニティーの屋台骨。

 

・ サードプレイス型コミュニティーの多様化

都心ではサードプレイス型コミュニティーが増えてきて、メンバーは自分の好みにあった場所を見つけやすくなってきている

場所や料金などの「ハード的制約事項」 × 集っている人や空気感などの「ソフト的制約事項」。

自分が欲しているモノやムードを自身で捉えられるか

 

・ 内部の人だけではなく、コミュニティーを紹介できるコミュニティー・マネージ

優秀なコミュニティー・マネージャーは、そのコミュニティーの中で「リソース最大化&循環」をするだけではなく別コミュニティーと連携しながらそれぞれの「リソース最大化&循環」をする

「今のあなたにはここじゃなくxxの方がしっくりくると思う」とリコメンドして申し送りまでしてくれるコミュニティー・マネージャー。

 

・ 名物コミュマネの必要性と危険性

・ オンラインとオフラインのつなぎ方の違いと動線設計の違い

・ ワークライフバランスとサードプレイス。あるいはワークライフインテグレーションとサードプレイス

・ サードプレイスでの「ドヤ顔」「アレオレ」問題

・ サードプレイスの数だけ分人が増えていく問

・ 未だ見ぬ楽園とサードプレイス無間地獄

 

…このあたりはもう少し深く考えてみます。

Happy Collaboration!

自分らしい働きかた - リモートワークジャーニー@東京レポ

オリジナルはこちら(2016/4/11)

 

 

リモートワークジャーニー@東』に参加してきました。

「リモートワーク?」 という方に説明すると、私の理解では(解釈に多少の個人差はあると思いますが)リモートワークとは、「働く場所をオフィスに限定しない働きかたのことで、毎日決められた時間に決められた場所に出向く働きかたの反対側にあるもの」です。

 

私は東京会場の運営スタッフの一員でもあったのですが、でもそれはイベント準備とイベント後の話。

イベント開催中は、一般の参加者とまったく同じかそれ以上に、ディスカッションやグループワークを真剣に楽しませてもらいました

 

開催中に参加者のみんなと対話しながら気付いたことやハッとさせられた言葉と、開催から2日経った今改めて頭に残り続けているコトなどを、感想と一緒にメモしておきます。

なお、イベントのオフィシャルレポートは近いうちに別途アップされる予定と聞いていますが4月23日の福岡開への参加を検討中の方には、以下の札幌開催のレポートが参考になると思います。

 

Remotework journey @札幌の開

 

 

■ あなた自身の『自分らしい働きかた』を実現するのに大事なことはなに

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ジャーニーへの第一歩は「あなた自身の"自分らしい"働き方で大事なことは何でしょう?」という問いでした。

2人一組になってそれぞれ3分間、この問いへの答えを語りあったのですが、このとき、ここ数年忘れかけていたことを思い出しました。

 

自分が36歳までずっと就職しないでフリーターを続けていたのは、会社員になるってことは「納得いかないことや理不尽だと思っていることにも"ノー"と言わなきゃいけなくなるなること」って意味だと思っていたからでした。

正社員になったら、自分の信じる正義や自分の譲れない部分も譲らなきゃいけなくて、会社を優先しなきゃいけなくなるんだって思っていました。

 

そんなこと全然なかったのに、そうだと思い込んでいたんです

ともあれ、私にとって自分らしい働きかたとは、「自分自身であることや自分が信じることを譲らなくてすむ働きかた」だったということです。そしてその実現に大事なのは、「イヤなことはイヤ!」でした。

 

 

■ ゲストや参加者の言葉

 

私自身はIBM入社直後からちょくちょく「リモートワーク」していたこともあり、一般的ではないってことをつい忘れてしまうことがあります。

また、そうなっていない社会や会社に対し、つい呆れた素振りを見せてしまうようなこともあります(気をつけなければ…)

(なお、日本IBMでは1999年からリモートワーク(e-ワーク制度)がスタートしたそうです。参照: 『IBMers make a difference: 国籍も世代も異なるダイバーシティー・コンビが、社員の価値を企業の価値へとつなげてい』)

 

そんなわけで、みんなの話を聞いていると、「普通の働きかた」になり過ぎていた分だけ、見逃してしまっていたり視界にちゃんと入っていないこともたくさんあったことに気がつきました。

 

  • リモートワークは、「幸せになる」という人生の目的を達成するための

  • リモートワークが良い働きかたとも限らないし、自分らしい働き方につながるとも限らな

  • リモートワークは、個々にさまざまな事情を抱えている「一緒に働き続けたい仲間」と働き続けるための手

  • リモートワークが進まない理由の根っこは「恐怖」。自分の価値を失う管理者の恐怖。評価されないというワーカーの恐怖

  • リモートワークは実は「場所」の問題ではなく、従来の「出社 = オン/退勤 = オフ」という概念を変化させるモノ

  • 「イヤなことはイヤ!」って、強者の理論になっていませんか?

 

「イヤなことはイヤ!」って誤解されやすいんですが、もちろんただ「だってイヤなんだもん」じゃありません。それは通用しませんよね。

きちんと「何をイヤだと思っているのか」「どこに問題を感じているのか」「どうすれば納得して取り組めるのか」など、「イヤなことはイヤ!」はこうしたことをきちんと発信することとセットだと考えています

 

それから、参加者の方と『強いチームはオフィスを捨てる』という本の話でも盛り上がっちゃいました。

2年ほど前に読書メモを書いているので、良かったら読んでみてください。

 

『強いチームはオフィスを捨てる』を読みました - テレワークとメキシコの漁師

 

 

■ 「自分らしい働きかた」が当たり前の社会となった2020年からの未来レポー

 

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セッションのクライマックス(?)では未来レポートを作りました。

その社会を表すキャッチフレーズ「○○な働きかた」、その未来の特徴、それが実現したきっかけ、自分のどんな行動がその未来につながって行ったか…。そんなことを1枚の模造紙に書き出しました。

私たちが参加したチームはこんな感じです。

 

「ところで今日どこ?」な働きかた: どこにいるのかを相手もこちらも別段気にしていない状態だから、オンラインでコミュニケーションしている間に、「あ、そういえば今日はどこで働いてるの? へーオフィスなんだ。じゃあ、私も昼前にオフィス行こうかな。ランチしようよ!」くらいな、リモートを互いに意識しなくなっている未来をイメージしました

 

そのきっかけは: まず社運がかかった超重要プロジェクトの途中で、絶対的エースの奥さんが入院することになってしまったこと。こりゃ一大事!

彼がいなくても果たしてやっていけるのか…と思ったら、案外リモートワークで週に一度しか顔を合わせなくても、大きな問題にならなかった。これはひょっとして?

 

それから2ケ月後: なんと、本社ビルが実は耐震基準をまったく満たしていないことが発覚! 補強工事の6週間の間は、全員出社できないことに…。こりゃ一大事!

ところが…いざスタートしてみたら(以下略)。

 

やってみなければわからないことは、やってみるまでわからないですよ

 

 

こんな感じで、私にとっては「リモートワーク」をベースに「自分らしい働きかた」にじっくり向かいあうことができ、かつたくさんの仲間ができたあっという間の半日でした。

再来週の福岡開催だけじゃなく、今後もジャーニーはいろいろな場所で続くみたいです。みんなも参加してみない?

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Happy Collaboration!

 

多様性あれこれ(イノベーションと礼拝とフォルトライン理論)

オリジナルはこちら(2016/4/8)

 


「コラボレーション」について、個人としてもお仕事としても年がら年中ずーっと考えているわけですが、そのすぐ近くに、というよりもほとんど重なっているかのように「多様性(ダイバーシティー)」というテーマがあります。

ここ数日、続けざまに「多様性」についてあれこれ考えさせられる件があったので、メモしておこうと思います。

 

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■ オープンイノベーションの未来 - 多様性はイノベーションを生み出しているの

 

オープンイノベーションの未」というイベントに参加してきました。

3×3labo(さんさんらぼ)とImpact Hub Tokyo(インパクトハブ・トーキョー)の中の人のショート・プレゼンの後、イベント会場でもあClipニホンの中の人や、その他さまざまなサードプレイスやコワーキング・スペースなどと呼ばれているオープンな場所を運営している人たちを中心とした、ディスカッション・イベントでした。

 

「そもそもオープンって何を指しているのだろう?」「サードプレイスが本当に多様性につながっているのだろうか?」などなど、刺激的な議論が楽しめました

詳細は後日オフィシャル・レポートが出るようですが、私の中では、それぞれのコワーキング・スペースやサードプレイスという場が、一つの企業以上に「多様性よりも画一性が高い場所になっているのではないか?」という仮説が膨らんでいった夜でもあり、「多様性の捉えかた」を改めて深く考えるきっかけとなりました。

 

 オープンイノベーションについては先月こんなブログを書きました: オープン・コラボレーションとクローズ・コラボレーショ

 

 

■ 多様性ってメンドくさいよ - 失敗と混乱と衝突の先へ

 

周囲を見渡せば、さまざまな企業や組織が、多様性を求めているようです。

曰く、「イノベーションを起こすには不可欠」「少子高齢社会を乗り切るために」「取り組まないと社会的なイメージが…」などなど

 

これらを否定する気はもちろんありません。ただ、多様性の重要さを訴えると同時に、同じくらいの大きさの(でも少しだけ小さな)声で、きちんと言っておくべきことがあると思っています。

 

「多様性って、めっちゃメンドくさいよ」と。ちゃんと理解した上でやらなくちゃね

 

イノベーション失敗 - 「イノベーションが起きやすい」の足元には「イノベーションには至らなかった」挑戦や花開かなかったアイデアわんさと横たわっています
効率を良くする方法はあっても、失敗を起こさなくなるわけではないです。

 

・ものごとがすんなり決まらない - 多様な意見が表に出され、俎上に載せられるのが「多様性が発揮されている状態」です。
「こんなの言わなくてもわかるだろっ!」なんて言い回しは通用しませんよ。

 

・説明責任が高い - 外国人や海外で育ってきた人たちの多くは、上層部の不可解な決定や意味不明な発表を「会社ってそういうものだよ…」で終わらせない人が多いです。そこには旧くからある「会社の理論」とは違う常識があり、情報不足がもたらす非効率を是としません。
「いいから黙っていろ」…多様性をお求めでしたよね

 

・衝突が増える - 個人それぞれが持つ背景が異なれば、当然多様な意見が生まれ出ます。簡単にはまとまりません。
ときに衝突も起こります。衝突をプラスに転じる進め方をみんなが学ぶ必要があります。コミュニケーションをひとまず一時停止させて頭を冷やさせたり、個人うしの直接の関わりをしばらく保留させたりできるような、そんな「コミュニティー特性」を企業として身につけていないと厳しそうだと思いませんか?

 

多様性と制度については先月こんなブログを書きました: 『チームのことだけ、考えた。』を読みました - 額面上の多様性とお試し制

 

ところで今日、身近な仲間(同僚)にこんなことがありました

「お世話係をしているムスリムの新入社員くんに"礼拝はどの部屋ですればいいですか?"と聞かれ焦りまくり

ところがなんと、人事に問い合わせてみたら同じフロア内に礼拝専用の部屋がありました!

 

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■必要なのは、タスク型のダイバーシティ - フォルトライン理論と働きかたの多様性

 

今朝、PRESIDENT WOMAN Onlineのとても興味深い記事を読みました。

自分の中では、ある意味、これが回答なんだろうって思っているので、いくつかとても気になるフレーズをピックアップします。

 

なぜ、ダイバーシティが必要なのか? | 早稲田大学ビジネススクール 入山章栄准教

ダイバーシティには2種類あるということで

1つは「タスク型のダイバーシティ」。これはその人の能力や知識、過去の経験や価値観など、目に見えない内面の多様性で

もう1つが「デモグラフィー型のダバーティ」。こちらは性別や国籍、年齢など属性の多様性です

…イノベーションを起こすのはタスク型のダバーティであって、デモグラィー型のダイバーシティは、実は組織にとってマイナスになることもあるのです

…男性と女性という対立軸があるところへ、アメリ人やフランス人が入ってくるとどうなるでしょうか。日本人と外国人という対立軸ができます。そこへさらに高齢者や障害者を入れてみるとどうでしょう。対立軸は複数になりま

そうなると人間はわけが分からなくなって、逆に認知の壁が下がるのです。男性と女性というように軸が1つしかない場合は、男か女かの認知で区別してしまう。しかしさまざまな人が加わると、断層効果が弱まり、コミュニケーションが円滑に進むのです

 

IBMの経営転換を支えた「タスク型ダイバーシティ」とは? | 日本アイ・ビー・エム株式会社 人事 ダイバーシティー企画担当 部長 梅田恵さん

IBMの本国での創立は今から105年前ですが、当時はまさに名もないベンチャー企業でしたから、なかなか社員を集めることができませんでした。そこで、優秀だけれど女性や黒人というだけで仕事に就けない人を集めてきたのです。教育が足りないなら会社が教育をし、生活のベースが整っていないなら会社が福利厚生をすることで社員の定着を図り、発展してきま

…企業が、「管理職を何%増やす」という女性をひとくくりにした目標を立てても意味がない。それぞれの持っている「知」を棚卸ししてプログラムを開発し、その研修を受けてもらって、何年後にはこのポジションにする、というような具体的な目標を立てるべきでしょう

そして最終的にIBMが重視しているのは、経営層のダイバーシティです。そこが変わらないと、本当のダバーティは推進できないのが現実だと思います

…女性も男性も、あうんの呼吸で通じるグループから、自分と価値観の異なる人たちと議論し、切磋琢磨していかなければなりません。でも社員をちょっと不自由な状態に追い込むと、どうやったら居心地よくなるか考えるようになり、そこにイノベーションが起きま

 

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ところで明日は、リモートワークジャーニー東京 | リモートワークから『自分らしい働き方』の実現を考えるフューチャーセッショ』というイベントに参加してきます。

またまた「多様性」について、いろいろと感じる1日になりそうです。楽しみ!

 

Happy Collaboration!
 

社内ソーシャル: 風土と場とメカニズムデザイン

オリジナルはこちら(2016/03/20)

 

昨日、ナレッジマネージメト学会イベンEGMフォーとしてパネル・ディスカッションをやったのですが、なかなかEGMフォーラム色の濃い、面白い場になったようです(「刺激的で楽しかった」という言葉を何人かに言っていただけたので、ここは額面通り素直に受けとります)

 

そして個人的には、EGMフォーラムが今後ディスカッションをしていくべきテーマがいくつか明確になった場でもあった気がしています。

今後「振り返るべきポイント」の一つにもなるかも? ということでメモを残しておきます。

 

 

■ 社内ソーシャルとメカニズムデザイン

 

"EGMフォーラムは、「社内ソーシャル」について「風土」と「場」作りの重要性をこれまでずっと議論し続けてきたけれど、もう議論もあらかた尽きたのではないか。今後は「コラボレーションを促すカニム作り」をテーマに掲げていくべきではないか"

以上前田さからの問いかけでした(以下に登場するの2つの画像は、前田さんのチャートからの抜粋です)

 

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「メカニズム・デザイン」という言葉はカッコいいですね。経済学の一分野で、社会的に望ましい結果に導くルール設計することだそうです。

私が興味を持っている進化心理学や選択行動デザインとも親和性がとても高そうな感じです。

 
 
ただ、会場でも指摘があったように、これらの言葉を「いかにもそれらしく」使っていると、詐欺師臭がプンプン漂うようなので気をつけた方がよさそ

一方で、「知識のための知識」にしてしまわないよう、これらの概念の基本を理解して実践の場に適用していくことはとても重要そう。まずは学んでみたいと思います。

 

 

■ 社内ソーシャルと意思決定

 

"画像に「意思決定」(意思決定レイヤー 分散された情報から正しい意思決定に結び付けるメカニズム)とあるが、社内ソーシャルが意思決定に役立つのか? その意思決定とは具体的に何を指しているのか?"

こんな質問を参加者の方からいただきました

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たしかに、社内ソーシャルが意思決定にどれだけ関与するのか、またそれは誰のどの範囲の意思決定で、そしてそれがどのような形で表されるのかというのは、これまであまり議論されていなかったと思います。

 

そして会場では時間が全然足りず、この話を詰めることができませんでした。

私自身は「社内ソーシャルと意思決定」の関係に対していくつかの仮説を持っていますが、もっと多様な視点からいろいろな意見を聞いてみたいと強く感じました。

 

そんなわけで、次回のEGMフォーラムの定例会ではこのテーマで意見交換をしてみたいと思っています。

参加してみたいという方はいらっしゃいませんか? ご連絡ください。

 

 

■ 社内ソーシャルと無責任な発言

 

"激しい内部競争により成り立っている組織もある。そんな組織にとってはソーシャルなど気晴らしレベルのモノにしか成り得ない"

"自分とはまったく無関係なところからの無責任な発言など、むしろ邪魔なものでしかない"

こうした意見も出てきました。社内ソーシャルについての議論としてはわりとクラシックなものかと思います。

 

ただ、クラシックであるが故に、これまで「内部競争に血眼になっているうちに、気が付けば外部からはるかに取り残されてたなんてことがなきゃいいですね」とか、「ワンチームで変化に対応していくことが求められている中で、社内に無関係なところなどないんじゃないですか」という、紋切り型の回答で終わらせてしまっていた(逃げていた?)気もします。

 

これは最初の画像でいうところの「風土」の話との関連性がとても強そうです。

改めてこうした声をじっくりと聞き、「そうした風土を持つ組織でのメカニズム」や「それぞれの風土ごとのメカニズム」を考えてみても良さそうな気がします

 

というわけで、次回以降のEGMフォーラム定例会で一緒に考えてみたいって方、ご連絡をお待ちしております。

Happy Collaboration!

 

社内ソーシャル・ガイドライン策定7つのポイント

オリジナルはこちら(2016/03/14)

 

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ここのところ「社内ソーシャル・ガイドライン」について問い合わせを受けたり、アドバイスを求められたりする機会が再び増えています。

新入社員がやってくる時期というのが関係しているかな? なんて思っていたのですが、「LINEの手軽さを職場に持ち込みたいという若手からの要望が増えているからじゃないですか?」という友だちの言葉にもなるほどと納得しました。

 

本当なら、まずは社内ソーシャルのガイドラインやポリシーの策定について概要的なことが書かれているウェブページを紹介して見てもらい、その上で個別の相談に…と行きたいところなのですが、実際には検索しても出てくるのは社外で使用するソーシャルメディアに関するものばかり…。

社内ソーシャルに関するガイドラインについては、ほとんどウェブ上には存在していませんよね。

 

そんな状況なので、まずはこれまで私が相談を受けた際に伝えてきた「社内ソーシャル・ガイドライン/ポリシー」のベースとなる考え方やポイントを7つご紹介します

なお、ここでは実名制の社内ソーシャルであることを前提としています

 

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1. まず、会社側の考える「社内ソーシャルを持つ理由と意義、そして社員に期待している行動」を伝える。

そして意見やコメントがウェルカムであることを明確にする。

 

2. 自身の現在の社内におけるコミュニケーションスタイルを起点とした利用を促す

「オンラインでは別人格」ではなく、一人の社員としてのインテグリティーを求める(なお、運営側にも同じ意識が求められる)。

 

3. 「べからず」を細かく挙げていくとどこまでもきりがなく、例外や重箱の隅との戦いを続けざるを得なくなるのでやめる。

基本は「オフラインでの社内行動でNGなものはオンラインでもNG 」。

 

4. 社内にはまったくソーシャルに触れたことがない社員もいることをくれぐれも忘れない。

推奨される使い方をいくつかの例と共に具体的に明示してあげると初心者もイメージしやすい(典型的、あるいは運営チームの考える「グレーに近いNG」を 例示するのもイメージしてもらいやすい)。

 

5. オンラインの特性(顔や声色が分からないため、発信する側が独断的になりがちだったり、受けとる側が勘違いしやすかったり)を意識するよう呼びかける。

特に、ソーシャルやインターネットを使い慣れている社員こそ「悪い部分」も持ち込みやすいので、ソーシャルの概念に不慣れな社員が多いことへの配慮を持った「先輩としての行動」を求める。

 

6. 既存の(ソーシャルからは離れた)社員向けの行動規範やガイドが存在するのなら、それを土台として考える。

あるいは、これを機にオンラインに限定しない社員向けのコミュニケーション全般の網羅的なガイド作成検討も考慮に入れる

 

7. ガイドライン/ポリシーは1部門だけで完成させず、関与が高いと思われる部門と協業して作成する(ただし、あくまでも「べからず集」にならないように注意する)。

完成後はさまざまな方法で広く社員に周知する(使われないガイドラインは無駄)。また、定期的に見直し/改定を実施する

 

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さて、それではIBMではどんな社内ソーシャル・ガイドラインを使用しているかというと…実は社内向けのソーシャル・ガイドラインは存在していのです

びっくりしましたか? ただ、実際には「社内向け」や「ソーシャル専用」と切り離していないだけで、以下の3つのガイドラインで上記の「7つのポイント」をカバーしています。

 

  • ビジネス・コンダクト・ガイドライン
  • ソーシャル・コンピューティング・ガイドラ
  • セキュア・コンピューティング・ガイドライ

 

また、オンライン学習用の教材が毎年更新されており、受講とテスト合格が全社員に義務付けられています

社内ソーシャルを「全社員の業務遂行を支える基礎プラットフォーム」と捉えるのであれば、こうした強制的な進め方も必要となってきます。

 

最後に、これまでに社内向けガイドライン/ポリシーに関連するブログ記事をいくつか書いているので、そちらも紹介しておきます。

 

 


Happy Collaboration!
 

鎌倉投信の新井和宏さんの話を3x3Laboで聞いてきました

オリジナルはこちら(2016/3/9

 

投資は「きれいごと」で成功す』を読み興味を深め、その後昨年末に33Laboでの説明会に参加してファウンダーで代表取締役の鎌田さんにちょっといぢわるな質問をしてみたところすごく丁寧に回答してもらいすっかり納得し、ファンになっ鎌倉投さんの「結い2101」というファンドを買ったのが今年の1月。

 

そして先週、今度は『投資は「きれいごと」で成功する』の著者であり、鎌倉投信さんのファンドマネージャーである新井和宏さんのお話を聞く機会がありました。

場所は最初の説明会と同じく33Laboでエコッツェリアの田口真司さんだったのですが、著書の内容を改めて味わうようなとても良い対談でした。

 

いくつかの言葉がとても印象深く、自分がもやもやと思っていることと組み合わさって、今も頭の中に強く残っています。

そんな新井さんの言葉をベースに、会場で感じたことを書いておきます

なお、いずれ正式なレポートがエコッツェリア協会のサイトに公開される予定だそうで、楽しみです。

 

 

■ 客観しかなく主観がない

多くの人たちが自分の意見を持たず、データの裏付けや第三者機関の評価だけに頼って判断したり行動したりするのは、「だって決めたのは私ではなく他の誰かですから」という逃げの姿勢の表れで、覚悟や責任からの逃避

人間の強みは主観であり、納得ではなく共感するにはそこに主観が必要。客観性とデータだけで判断していくやり方では、人はコンピューターに勝てな

 

「私はこう思う」ではなく、「ここにいるみんながそう思っています」とか「我々日本人はこうなのです」とかって、主語を大きくして語りはじめちゃう人っていますよね。

これってなんだか「客観しかなく主観がない」という新井さんの言葉と、土台の部分ではつながっている気がします

 

たしかに、「自分」よりも所属している組織などを優先しなきゃいけない状況があることも事実ですが、でも、そうじゃなくていつでもどこまで行ってもそちらの立ち位置だけで語る人っていますよね…。

「主語がでかいと述語が勇ましくなる」なんて言葉もあります。気を付けたいですね。

 

 

■ ステキな出会いはどこからくるのか

「私は、こういう考えを持っています。そしてこういうことをやっている人です」と、自ら「ニオイ」を発信していることが、ステキなつながりを生みだすコツ。自分から探すことももちろん大切だが、相手に見つけてもらったり理解してもらうこともすごく重要

また、いくらいいことをしていても、それを発信しなければ拡がってはいかない。 そしてステキな人やすごい人であっても、上下間を強く感じさせるような相手は避けてい

 

「ニオイを発信する」という表現に思わず「分かる!」と声を出してしまいました。そして「上下感を強く感じさせるような相手は避けている」というのに膝を打ちました。

他にも「僕の周りには"Give and Take"ではなく"Give and Give"の人たちばかり。でも実は、そういう人たちも、褒めて欲しい人に褒めてもらえたり愛して欲しい人に愛してもらえたりすることで、十分Takeしているのだ」ということを言われていました

 

これは私なりの解釈ですが、この感覚が得られない相手が「上下感を強く感じさせる相手」だと思います。

言葉にするのは難しいのですが、そういう人って、何をしても双方向にならずに断続的な一方向性の流れにしかならないというか…。

要するに、コミュニケーションを重ねても、暖かいものや高めてくれるものが流れてこなくて、コラボレーションが成立しづらいんですよね。

 

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■自分たちだけですべてはやれないしやる必要もな

鎌倉投信が手を広げてすべてをやろうとする必要などまったくない。その存在や理念が知られるように結果を出し続け、伝えて続けていけば、それを別のところに波及させていくことができる。

例えば、社会に高い価値を与えている良い会社を応援するという、鎌倉投信と同様のスキームを大企業向けにやる金融機関が出てくるかもしれない。あるいは鎌倉投信の評価基準を自社の指針に取り入れる企業が出てくるかもしれない。

そんな動きを大きくしていくためにも、結果を出し続け、伝え続けてい

 

これを聞いて、なんだかとても救われた気がしました

自分の無力さに絶望的な気分になったら、この言葉を思い出したいです

 

 

対談会場には、新井さんと田口さんの師匠筋にあたるという横浜国立大学の三戸教授もいらしていて、最後に言葉の大切さをおもしろい表現でお話しされていました:

「想いが言葉として発せられることで気体となり、それが書き留められて固体となる。固体となるから残っていく」

 

私もそれに倣って、固体とした言葉をデジタルにシェアしていきます。

最後に、他にも気になったキーワードを。

 

  • 妄想族は一ケ所に集まっている

  • 目先の効率とその裏側の面倒くさいこと

  • 気を付けるべきは失敗そのものではなく失敗に対する態度

 

Happy Collaboration!