Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

新卒社員と一緒に企業内ソーシャルを考えてみた

オリジナルはこちら(2014/4/29)

 

この4月は、何度IBM社内外で、新卒社員向けに企業内ソーシャル・コラボレーション研修を行いました。

 

機能の説明やハンズオン、ワークショップを通じ、社内のコミュニケーションやコラボレーションのメインプラットフォームがソーシャルに変わってきていることを伝え、そして最後に、ソーシャルの本質的な意味合いを一緒に考えるディスカッションというのを基本的な構成としました。

 

今回は、最後のディスカッション部分を少し紹介します。

企業内ソーシャルとネットワーク型ワークスタイルの本質的特性を、一緒に考えてみませんか?

 


 

「最後にみんなに質問です。従来のピラミッド型の情報統制組織と、ソーシャルなネットワーク型の大きな違いは何だと思う? 思いついたものを言ってみて。」

「じゃあ、そこの"私に答えさせてください!" って顔してる君、何だと思う?」

「情報の流通スピード、じゃないでしょうか。」

「さすが、その通り。これまでとはスピードがまったく違うよね。つながり方が複合的で有機的な分、あっという間に情報が拡がり行き渡っていく。スピードがとても重要視される今、これは見逃せないとても大きな強みだよね。」

 

「他にもいくつか、大きな違いがあるんだけど、なんだか分かる人いないかな? …そうだな、君はどう思う?」

「はい。…そうですね…人を仲良くさせることじゃないかと思うんですが…。」

「なるほど。確かにそれもあるかも。でもそれは"可能性が高まる”ということであって、ネットワーク型が"必ずもたらす"というものではないんじゃないかな。場合によっては、逆の結果をもたらす可能性すらあるかもしれないよね。」

 

「他に誰か…じゃあ、そこの白いバレッタがお似合いのあなた。」

「自己修復性だと思います。」

「おお、スゴい! "きっとこれは出てこないだろうな"って思ってたんだけど、出てまいりました! じゃ、もうちょっと説明してくれる?」

「は い。あの、ピラミッド型って、上と下が一本の線でつながっているので、どこかが途切れるとそれより先の下にはまったく届かなくなってしまうと思います。 ネットワーク型はもっといろんな方向に先がつながっているから、仮に一本の線が切れたり壊れたりしても、周りがそれをカバーして情報を行き届かせると思うんです。

 

http://instagram.com/p/m3wXJkFDxF/

よしぃくん大活躍でした! (いやホントすごい良かった)

 

「ご名答。言葉としてどう呼ぶかはともかく、内容はまったくその通り。みんなの中で『電話連絡網』って知っている人いないかな、小学生の頃、なかった? …あ、知ってる人も数人いるみたいだね。学校からの急な連絡を電話で順番に回していくんだけど、あれって途中で電話を回さない人がいるとそこで止まっちゃうんだよね。ネットワーク型なら、情報はランダムにいろんな方向につながりを通じて拡がっていく。そういうわけで、言葉としては、自己修復性とか自己補完性とか、そんな言葉がふさわしいんだろうね。」

 

「じゃあ、最後の一つを分かる人。誰かいるかな?」

「…OK。時間の関係もあるから、答えを言うね。答えは"コラボレーション"、価値付与のスタイルの違いです。

「ネットワーク型では、情報のやりとりのそこかしこで価値が加えられていくんだ。本人が意識すらしないうちに。もちろん、より意識的に"価値を加えよう"とか"コラボしよう"として進める場合もたくさんある。」

「本人が意識しないうちに価値を加えている例って、どんなものがあると思う? 時間がないから先に進めちゃうけど、例えば、君が僕の社内のブログを"あとで読みなおす価値があるもの"とブックマーク登録をすれば、それによって被リンク数が増えて、僕のブログは社内検索結果の上位に表示されやすくなるよね。それから、あなたが今日のセッション資料に「いいね!」をすれば、「誰々さんがパチの資料にいいね!と言っています」とあなたの仲間のタイムラインに表示されて、興味を持って目にする可能性が高くなる。」

 

「パチさん、質問です。それって、単に情報流通量を増やしていることにはならないんでしょうか? それが価値を付与しているんでしょうか?」

「すごく良い質問をありがとう。そうだね、たしかにどこが価値付与なんだろう? って分かりづらい側面があるかもしれない。ただ、どの情報を流通させるかを決めるのは、君たち自身、ユーザー自身だよね。良いものや価値が有ると思ったもに対していいね!をしたりコメントしたりするわけだから、相対的に高価値のものほど流通回数が増えて範囲も広がる、良いモノは何度も浮かび上がってくるようになる。逆の視点から見ると、自分の目につきやすくしてくれるのは、自分が信用していたり近しいと感じているつながっている人たちってわけだ。

 

「でも、僕ら新入社員は、ほとんど同期入社の仲間としか繋がっていないです…。」

「うん。まさにそのために社内ソーシャルがあるとも言えるよね。もっと自由に繋がれるプラットフォームであって、双方向だけではなく"フォロー"という形で一方的に人やモノを追うこともできる。そして、できる先輩や仲間を見つけたら、その人がどんなコミュニティーに参加してどんな資料を公開しているかもワンクリックで分かる。」

イメージ

「もちろん、それだけじゃなく従来のコラボレーション、協業の形が取りやすくなっているのがソーシャルなのはみんなも知っていると思う。Wikiページも、ブログも、ファイルも、公開されているすべてのモノにはいいね! だけじゃなくコメントが付けられる。そのコメントがまた新たな知識を与えたり、気付きのきっかけになったりするものだよね。ソーシャルでは、ゼロからコンテンツを生みだすばかりが価値の想像じゃないってこと。これは社内でも社外でも変わらないよね。自分ができるコトをできる場所で率先してしていくってこと。」

 

「さあ、いよいよセッションも終わりの時間です。なんだかすっかり偉そうに語っちゃったな…。でもついでに最後の最後にもう一言言わせてもらうね。今、挙げた3つ「情報の流通スピード」「自己修復性」「コラボレーション」は、コンテクストを変えるとそのまま弱みにもなり得るってことは知っていてください。そして、自覚してください。」

「例えば、誤った情報が流れ始めた時に、その裏づけを取ったり、あるいは「信ぴょう性に疑いがあるのでは」というコメントを付けることができるか。スピードも修復性も誤った情報に対しても発揮されてしまうから、それをちゃんと取り扱えられるかは自分たち次第ってこと。コラボレーションだって、一切のリアクションを取らず、持っている情報を出し惜しんでいては、何も生み出さない。」

「どうすれば"強みを強みのまま"推進・展開できるのか、"強みをより強く"できるのか。多分、ちょっと頭が硬直化している俺みたいなおっさんたちより、君たちのほうステキなアイデアを出せるんじゃないかと思う。ぜひ、そんなアイデアをポコポコ出したり磨いたりする場にしてください。では、続きはソーシャルで!」

 

ひょっとしたら、ソーシャルに長いことかかわっている人の方が、新入社員よりもソーシャルに近づき過ぎて、全体像や本質が見えなくなっていたり重要なポイントを忘れてしまっていたりするかもしれませんよ?!

ときには、意識的に立ち位置や捕らえ方を変えて、見直してみることも大切ですよね。

 

Happy Collaboration!

 

イメージ