オリジナルはこちら(2015/4/15)
私の大好きなシャーリーン・リーさんの記事が、ハーバード・ビジネス・レビューに公開されています。
全社員がデジタルにつながり、組織の壁を超えたネットワークが世界中に広がり、経営陣は自社に何が起こっているかを迅速につかむことができています。
ヒエラルキーに頼らない社内プロセスが生まれ、社員は誰もが組織の掲げる使命や目的を胸に、絆を感じながら日々仕事をしています。
そこまでっ! そろそろ目を覚ましましょう。こんな夢のように上手くいっている企業ソーシャルは、実際にはわずかです。
こんな、刺激的なオープニングで始まる『Why No One Uses the Corporate Social Network(企業ソーシャルを誰も使わない理由)』は、昨年9月のTED@IBMトーク(※)と同様に、現代の企業のリーダーに求められる行動特性と考え方をテーマに論じたものです。
※『シャーリーン・リーのTED@IBMトーク: デジタル時代のリーダーシップ - コントロールを手放せば』
シャーリーンさんが論じているのは「リーダーの考えとそれに伴う行動こそが成功と失敗を分ける」という話で、そのメッセージの主な対象は、こんな風に紹介されるマネージメント/エグゼクティブと呼ばれる経営陣です。
「時間がなくて」とか「私が昼に何を食べたかなんて、誰もそんなことには興味がないでしょう」とか、そんなありふれた言い訳でソーシャルから距離を取ろうとします。
しかし実際には、社員と積極的に関わりあうと、自身の統制権が弱くなったり指揮・管理力が疑問視されるのではないかとビクついているのです。
確かにエグゼクティブが何を食べたかなんてどうでもいいことです。しかし、社員はそれが誰と一緒で何が語られていたのかには興味を持っています。
シャーリーンさんから経営陣へのメッセージを、もう少し具体的に見ていきましょう。
デジタル時代でも引き続きリーダーシップを発揮したいのなら、ソーシャルツールを正しく理解して、上手に賢く使用する必要があります。
まずは社員の声を聞くこと、そして聞いているということを示すことです。それはつまり、自分の関心事に対する社員の声を、真摯な態度でオープンに求めるということです。
そして、学んだことをシェアすること、さらに社員の行動を促すストーリーを語ることです。
最後に、ソーシャルを通じて社員から得た意見やアイデアを実践するのです。
社員に「単なるパフォーマンス」ではないことを示すことで、あなたのリーダーシップはデジタル時代に即したものとなり、社内にはソーシャルが根付くことでしょう。
「うちの偉いさんたちとまったく同じだ。だからやっぱりダメなんだ」--シャーリーンさんの記事が掲載されているハーバード・ビジネス・レビューとは違い、私のブログを見ている主な人々は経営陣ではないでしょうから、そんな感想を持った人も多いと思います。
でも、そうじゃなくて、どうやったら偉い人たちを変えられるのかを考えてみませんか?
「リーダーシップの維持」は、エグゼクティブにとっての重大な関心事のはずです。
そして、「時代遅れの古い権力者」だと思われていることに気づいている偉い人も少なくないことでしょう(そんな素振りは見せないでしょうが)。
ですから、まずはソーシャルの実践が、私たちから一目置かれるのにとても有効だということを伝えましょう。それが現代のリーダーシップ・スキルに欠かせないものだということを理解してもらいましょう。
どうやって?
--これらのメッセージを、そもそも直接の接点がない、あるいは薄い接点しか持っていない社員がどうすれば自社の経営陣に届けられるのか、思いつくアイデアを最後に書いておきます。
■なにも「自分の上司の上司の…」と直属にこだわる必要はない。社内の偉い人をプロファイルして、ソーシャルの力を理解できそうな人を探してみましょう。
■「偉い人」にもさまざまなタイプの偉い人がいるはず。権力とヒエラルキーにしか興味がなさそうにあなたには見える偉い人も、実際には違うのかも? 偉い人に近い人に相談してみてはいかがでしょう。
■ソーシャルの勉強会を社内開催することで、社内に仲間を増やす。あなたがコンタクトできなくても、仲間の中には偉い人に直接リーチできる人がいるかも?
■「偉い」は役職だけではありません。役職的にはエグゼクティブと呼ばれない人の中にも、実は社内で強い影響力を持っている人がいませんか?
■さまざまなタイプの成功事例を集めてクリップしておく。チャンスがあればそのときどきの状況に合わせてすぐにシェアできるように、説明できるようにしておきましょう。
どれも簡単じゃあないですよね。
でも、街で一目惚れしてしまった相手をデートに誘い出すよりは簡単かも?
Happy Collaboration!