Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

3月19日(土)の日本ナレッジ・マネジメント学会のイベントに参加します

オリジナルはこちら(2016/2/25)

 

3月19日に、日本ナレッジ・マネジメント学会という歴史あるアカデミックな団体の第19回年次大会があります

そこでEGMフォーラムの仲間たちと「EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題」というセッションをやることになりました。

 

以下イベント案内ペからEGMフォーラムのセッション部分のコピペです: http://kms-j.sakura.ne.jp/news/2016/02/201631919.html

 

15:45-16:45 【パネルディスカッション】 EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題

司会 発題:荒木 聖史(本学会会員)

1.八田 光啓(日本電気株式会社 マネージャー)

2.前田 直彦(SCSK株式会社)

3.八木橋  昌也(日本アイ・ビー・エム株式会社)

まとめ:荒木 聖史(本学会会員)

 

これを見ると普通の「パネルディスカッション」のようですが、先日EGMフォーラムメバー打ち合わせをしてきました
その結果、当日は前田さんに「提言ショートトークをしてもらい、それを受けてEGMフォーラムのメンバーや当日来場いただけた方たちを交えたディスカッションをしようということになりました。

 

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こちらは当日の打ち合わせのメモ。なにがなんだか…ww

 

そして私はパネラーではなく、ディスカッションのファシリテーターをやる予定です。

きっと、当日はあまり自分の考えを伝えるチャンスがなさそうな気がするので、ここで私自身の考えている「EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題」について少し書いておきます

 

■EGMや企業ソーシャルという「ツールの導入」により、さまざまな問題が解決されるわけではないツールの導入はあくまでスタート地点
ここを誤解している人が未だに多いのではないか。

 

■企業ソーシャルは、各社が自分たちの「ありたい姿」に向かうための問題解決支援ツール。「現在とありたい姿のギャップ」や「経営層と現場の温度差」を分かりやすく浮かび上がらせたり、それに対する施策をアジャイルで実践することを可能にする。
「ギャップや問題点はむしろ見たくない(見てない振りをしたい(?))」企業には向いていなんじゃないか。

 

■企業ソーシャル成功させている企業は特別なことをしているわけではな。どこも「なぜソーシャルが自社にとって重要なのか」を常に忘れず、愚直に正しいことを広めようとやり続けている。
本当に重要性の高さを認識できているか? それを伝えようとしているか?

 

■EGMや企業ソーシャルは、コミュニケーション・ツールではない。コミュニケーションを活性化させる機能はその一部であって、そこからコラボレーションを深化させイノベーションを孵化させるツーメールやチャットの代替品は誤
コミュニケーション活性化だけが目的なら、ベターな方法があるかも。

 

企業ソーシャルはプロセスであり風土づくそのもの。社内推進や活性化のための活動そのものが、変化にしなやかに対応し変革をみずから起こしていく「生き残れる企業体質」づくり
一過性ではダメだし元に戻る。風土となるまで続けること。

 

人が道具を作り、道具が人を作っていくコラボレーションを誘発するツールを使っていけば、社員はコラボラティブな行動をとりやすくなっていき、コラボラティブな行動を続けるうちに思考パターンが変化していく
「行動を誘発するツールの展開」×「行動を誘発する使い方の教育」。

 

■今後、EGMや企業ソーシャルには高度な分析やリコメンデーションがますます必須となっていく。どのような行動がより高いレベルのコラボレーションに結びついていくか、情報を求めている人にいかに精度高く推奨できるか。
勘と経験だけに頼ったコミュニティー・マネージメントから、コグニティブ・コンピューティングの活用。そしてコグニティブをさらに高機能にしていくのも社員の多様な意見の発信があってこそ。

 

あまり新しいことはなくて、これまで言ってきたこととほぼ同じ…かな
もし時間があれば、1月ほど前にインタビュー記事が公開されたので、そちらも読んでみてください。

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八木橋 パチ 昌也 | 仲間たちから優れたことばを「引き出す」ために、いま、企業には「ソーシャル」が必要

 

 

最後に、今のところ私が当日参加しようと思っているセッションをお伝えしておきます。よかったらご一緒しませんか?

 

  • 9:40-10:30 | 基調講演  「企業経営理念の実現にむけたSECIモデル」 | 内藤 晴夫(エーザイ株式会社代表執行役CEO)
     
  • 10:30-11:10 | 特別講演  「企業経営に求められる共存在経営とは」(仮) | 清水 博(東京大学名誉教授、場の研究所所長)
     
  • 11:20-11:50 | 「アウトカム社会とは」 | 山崎 秀夫(日本ナレッジ・マネジメント学会専務理事)
     
  • 13:50-14:25 | 報告1:佐脇 英志(亜細亜大学特任教授 2016年4月1日就任予定) | テーマ1「ケーススタディー:シンガポール印刷会社変革」
     
  • 14:20-14:50 | 報告2:廣瀬 文乃(一橋大学国際企業戦略研究科特任講師) | テーマ2「アウトカム社会におけるソーシャルイノベーションの重要性」(仮)
     
  • 15:00-15:35 | 報告3:小石 裕介((株)BeatCommunication) | テーマ3「メッセージアプリと創造性」
     
  • 15:45-16:45 | 【パネルディスカッション】 | EGM(Employee Generated Media )の今後の展開と課題

 

Happy Collaboration!


 

アフリカのサラリーマンと身近な二次情報

オリジナルはこちら(2016/2/18)

 

先週の金曜日ギークオフィス恵比寿で『私がアフリカでサラリーマンになった理由。』というイベントを開催しました。

参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

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タイトルにある「アフリカでサラリーマンになった『私』」というのは、2年前から西アフリカのブルキナファソで暮らしていて、ちょうど一時帰国をしていた江田さんという友人です(たぶんこれを書いている今ごろ、ちょうど再びブルキナに向かっている空の上じゃないかな)。

そんな彼女と出会ったのは、江田さPeace Winds Japanという日本のNGO団体でファンドレイザーをやっていた3年くらい前です。

団体のソーシャルウェブ施策についてディスカッションをしたり、ボランティア募集のためのアイデア出しをしたり、そして「自分らしく働くとは」というトークイベントに呼んでいただいたり…

 

当時のブログ: 『Work Your Way - 自分らしく働く

 

そんな江田さんが、JICAのボランティア期間を終えて、今度は現地NGOの職員として、給料を貰いながらシアバターなどの販路開拓営業をやるそうで…

彼女を知らない人にとっても「一体、アフリカで営業なんて、どんな感じなの?!」って思いませんか?

 

そんなおもしろい話を自分ひとりで聞くなんてもったいない! と思ったし、どうせなら彼女の新しいチャレンジの役にも立ちたい! ということで、以下のようなプラグラムを実施しました。

 

  1. 江田さんによるプレゼンテーション
  2. 江田さんへのPachiインタビュー
  3. 塩じいァシリテーションの「どうすればもっとシアバターが売れる?」ワークショッ

 

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(写真は3のワークショップの様子です。たまたまこんな表情になっていますが、別に私は怒っているわけじゃありませんよww)

ここでは、江田さんのプレゼンとインタビューから、「ええぇ!」とか「ほほぉ」とつい言ってしまった宗教と水道とトイレの話を紹介します

 

 

宗教観

ブルキナファソ人の宗教は、約60%が自然界をそのまま崇めるような伝統的アニミズム、イスラム教が約30%、キリスト教が10%くらい

でも、そ宗教観はとてもゆるーいもので、イスラム教徒だけどお酒を飲めば豚肉も食べる人とか、クリスチャンだけど一夫多妻制だとか、一般的に考えられている各宗教観からはちょっと考えられないようなものが多いとか。

なんだかちょっと不思議な、そしてほほえましい感じがしますよね。

 

そして、さまざまな信仰を持つ人がそれぞれ宗教的イベントに参加しあったりして、友好を深めているそうです。

 

 

■ 水道とトイレ

江田さんが暮らしている村の90%の家庭にはトイレがないそうです。そして、みんな草むらで用を足しているんだとか。

これは600人もの生徒が通う村の学校でも同じで、壊れかけのトイレは放置されていて、誰もそれを使うことはなく草むらに消えていくらしい…。

さらに、学校では給食があるらしいのですが、手を使って食べることが多いのにもかかわらず、水道で手を洗う習慣もないそうです…

 

そんな状況を変えるために、江田さんたちは学校のトイレを修繕し、外壁にかわいいペインティングをしたらしく、かなり現地でも評判になったとか。

また、井戸給水施設建設なんかも手伝ったそうですよ

江田さんのブログでも紹介されています!

 

 

 

これだけソーシャルやインターネットに周りを囲まれてたくさんの情報に触れられるようになった今だからこそ、より直接的に得られる二次情報の価値が高まっていると思っています。

友人やその友人からの、人のつながりの中で手に入れた信用度の高い情報は、その後の自身の判断やアイデア出しなどにもつながりやすく、「ひょっとして他の情報とは違う色づけでもされて頭の中に置かれているのかな?」と思うほどです

 

だから、特別な体験をしてきた人の話は、できるだけ直接その人から私は聞きたいと思うのです。そして面白い話は、一人や二人で聞くよりも、もっと大勢で聞く場を持つことで、さまざまな側面から光が当たって一層キラキラしたり立体的になったりするとも思っているのです。

 

皆さんはどう思いますか? もちろん、しっぽりと少人数で会うのもいいのですが、ときどきはこんな「変わった話」を聞いてみてはいかが?

 

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Happy Collaboration!

 

旅を通じて手に入れた僕の大切な3つ

オリジナルはこちら(2016/2/12)

 

もう2週間近く過ぎてしまいましたが、以前ブログでも紹介していた村上アシシさんとの対談イベントがありました

元旅人の脳旅 -お風呂とスポーツと村上アシシさん-

 

グループ・ディスカッションを含め、全体で約3時間の、充実した場となったのではないかと(自画自賛ではありますが)思っています。

オフレコ話満載の有料イベントだったこともあり対談内容のコアな部分は「参加者特典」とさせてもらいますが、ここでは先輩風を少々吹かさせてもらい、会場でアシシさんとも話した「旅を通じて手に入れることができる大切な3つのこと」をテキストにしてみようと思います。

 

 

■ 旅を通じて手に入れられる大切なものその1 - 根拠のない自信

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旅を重ねていくとは、さまざまな経験を重ねていくことに他ありません

後から振り返ればたいしたことじゃないようなことでも、日常から離れた場所での経験はいろいろな学びを与えてくれます。それはまるで、ロールプレイング・ゲームの勇者への道のように。

 

とりわけ、焦りや不安と向きあうことや、度胸のいる決断や判断を下してその結果を受け入れるしかないという状況は、自分を「太く」してくれるものです。

(実際には、飛び込んでみたレストランのメニューを見見て「やっぱりこの値段は払えそうもないので、またいつか出直してきます」とお店の人に伝えるとか、その程度の決断や度胸だ。でも、知らない国できちんとそうした意思を伝えることって、最初のうちは難易度が高いものですよ。)

 

だから、「根拠のない自信」とは言うものの、実際には、いろんな細かい経験の積み重ねから生みだされたそれなりの根拠が、自分の中にはあるんです

ただ、言語化や形式知化が難しいってだけで

 

 

■ 旅を通じて手に入れられる大切なものその2 - エイリアンの視点

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旅に行くと、そこには自分がそれまで常識だと思っていたことが覆されることがたくさんあります

そしてむしろ自分のほうが「異質な生き物」として、すなわちエイリアンとして見られていたり、扱われていたりすることに気がつくはずです

 

ポイントはそれを面白るがること。

そして何が地元の人たちの意識や行動を決定するポイントとなっているかを、エイリアンなりに読み解こうとすることです。

 

その視点からの見かたを理解することができれば、それは「エイリアンの視点」を得たということになります。

それが意味するのは、自分が元々持っていた「知識」という素材を、別の視点からも捌けるようになったということです。

それはいわば、アボカドといえばわさび醤油で刺身にして食べるしか知らなかったのが、新たにワカモレにする料理方法を身につけるようなものです。

 

 

■ 旅を通じて手に入れられる大切なものその3 - 逃げる方法を見つけ出す力

この「逃げる方法」は2つのことを言っていて、1つはシンプルに「危険な状況に陥らない術」だったり「危ない目にあいそうなときの脱出術」だったりします

(「危ない目」と言っても、タクシーでぼったくられそうとか、ヤバイ目をしたジャンキャーから距離を取るとか、まあそういう日常レベルのものがほとんどです。)

 

そしてもう1つは、日本での日常生活があまりに重過ぎるのなら、「あらゆることをうっちゃって逃げ出すこともできるんだ」と認識するということです。

極端に言えば、旅とは、必ずしも帰らなければならないわけではないってこと。

そのまま失踪することだってできる。蝕まれておかしくなるくらいなら、知り合い一人いないその土地で暮らし続けることを選ぶことだって可能だと理解することです。

 

上に書いたのはすごく極端な例ですが、そこまで大げさじゃなくてもこれまで見ずにいたいろいろな可能性に気づけるのも旅の魅力でeブック「ロジ旅」表紙画像

逃げることや逃げ続けることって、別にそんなに悪いことじゃないと思います。

逃げ回ってるうちに、気づいたらいろいろ大切なものを手にしていた…そんなことも珍しくないんじゃないかな。

 

 

アシシさんの本ロジ」の冒頭に、ちょっとびっくりするようなことが書かれていました。

 

最近では、海外旅行を経験したことがない人がかなり多いと聞きます。外務省によると、パスポート保有率は日本人全体の24%。しかも経験者のほとんどは、学生時代の短期留学や旅行代理店が主催するパッケージツアーに参加した人だそうです

 

もったいない…。

旅は、いろんなことを教えてくれます。今の僕は、旅で出来ています。

 

Happy Collaboration!

 

オーランドレポート: Verse展開成功の秘訣は"人間に優しいアプローチ"(from IBM Connect 2016)

オリジナルはこちら(2016/2/8)

 

フロリダのオーランドで開催されたIBM Connect 2016」に行ってきました。

IBM Connect 2016」は、IBMが提供しているソーシャル製品やサービスに関係するさまざまなセッションや展示が行われる4日間にわたるイベントで、私はそのうちの2日間を社内外の多数のスピーカーによるセッションに参加してきました。

 

本当にたくさんのセッションが同時並行で行われていたのですが、私が参加したのは主に[Strategy and Innovation]と[Best Practices]という大カテゴリー内の、[Messaging and Collaboration]と[Social Collaboration]というトピックスでした。

以下、私が参加したセッションのリストを、メモ書きと一緒に公開しておきます

 

Feb 1st (1日目)

■ Opening General Session Part I: Turn Moments into Momentum

■ Opening General Session Part II: The Engaged Enterprise Comes to Life

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パートIでは、デジタルが今後世界をどのように変えていくかを、ダイナミックに想像させるイマジネーションを刺激するストーリーが語られました。

2つのフレーズがとても印象的でした。

  • ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、インフォメーションテクノロジー…これらが私たちの新たな「肌」となっていくだ
  • 今後「ビリオネア」の定義は、「大金を持っている人」から「ビリオンピープルにポジティブな影響を与えられる人」に変わっていくだろ


パートIIでは、IBM ConnectionsやVerseが進化していくことで、働き方がどう変わっていくかがデモを通じて示されました。面白かった~!

こちらは「notes/domino liaison」というブログの『【速報】IBM Connect 2016 基調講演』という3つのエントリーで日本語で詳しく紹介されています

【速報】IBM Connect 2016 基調講演 その1 | 【速報】IBM Connect 2016 基調講演 その2 | 【速報】IBM Connect 2016 基調講演 その3

 

IBM Verse: Deep Dive and Futures

ソーシャルメール・ソリューションIBM Verse」の今後の進化の方向がよく分かるセッションでした。

セッション・スピーカーのScottさんとAndrewさんには、私たち社内ソーシャル推進チーム向けのプライベートセッションにも来ていただきました。

 

■ Strategy and Roadmap for Social Communications

エンタープライズ・ソーシャルを中心にWebミーティングやチャット、ソーシャルメールが今度どのようにインテグレーションされていくかが示唆されました

 

■ Understanding and Overcoming Social Software Adoption Challenges

AT&T社のエンタープライズ・ソーシャルへの長年にわたる取り組みを振り返り、そこからの学びがシェアされました。

 

■ Enterprise Social Networks ? The Nerve-Center of Future Organizations

Bosch社が2012年から取り組んでいる、アジャイルで強いつながりを持った企業への変革ストーリーがシェアされました。

 

Feb 2nd (2日目)

■ Boom - Deploying IBM Verse and Connections Cloud at IBM

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昨年9ケ月間で40万人を超える全IBM員にアジャイルに提供されたVerseの社内展開について、たくさんの裏話がシェアされました

最初はねぇ…本当に大変だったんですよ。いろいろなエラーに見舞われながら、各国のチームメンバーがTeam of Teamsを組んでアイデアを出し合い、トライと振り返りを続けながらイテレーションを回して状況を改善していき…。

ステージ上からスピーカーで推進チームのリーダーのEdが「日本でのエラー発生率は0.01%で、イテレーションをスケールさせて世界をLeadしてくれた」と話していたときは、やっぱり誇らしい気持ちになりました。

 

「私たちはソーシャル・ビジネスを推進しているんだ。それなら"ソーシャル・フレンドリー"、つまり人間に優しいアプローチで進めるのが筋だろう!」というEdの言葉は、とても本質を突いているのではないでしょうか。

コミュニティー・マネージャーやストーリーテラーを擁した私たちのチームは、今年はさらにConnections Cloudという新たなプラットフォームの全社展開に取り組むことになります

来年のこの時期、さらに「アジャイル文化を持つ企業への転身」に成功したことを報告できるとイイな。

 

IBM Connections at Lufthansa - Modernization of Cooperation and Communication

昨年、JiveからIBM Connectionsへと10万人を超える職員のコラボレーション・プラットフォームを変更したLufthansaのアダプション事例がシェアされました。

 

■ Enabling Social Knowledge Management at Haier Group

「どうやって集めるかではなく、どうすればもっと活用されるか」にチャレンジし成功を収めたHaier社のソーシャル・ナレッジマネージメントの事例がシェアされました。

 

■ What's New in IBM Connections

クラウド版、オンプレ版のエンタープライズ・ソーシャルツール「IBM Connections」の今年の機能追加計画がよく分かるセッションでした

セッション・スピーカーのDavidさんには、翌日社内ソーシャル推進チーム向けにプライベートセッションを実施していただきました。

 

■ Transforming Social Data into Business Insight

IBM社内ソーシャルデータがどのように分析されて活用されているかを、TED@IBMトーク: IBMの企業内ソーシャル分析とプライバ』でスピーカーとして登場したMarie Wallaceが紹介してくれました。

私にとってはこれまで社内外のソーシャルでやり取りしていたMarieと初めて直接会って話をする機会にもなりました!

 

IBM Connections Files - The New Way to Work, Sync and Share

企業向けのファイル共有ツールが多数ある中、セキュリティー上の強みでConnections Fileが他と一線を画している理由がよく分かるセッションでした。

 

■ Design Thinking: How to Stay Oriented

2日間を締める最後のセッションということもあり、あえてそれまでとはまったく異なる少人数のデザイン・シンキングのワークショップに参加しました。

ところがなんと、ワークショップのモデレーターたちはVerseやConnectionsを手がけてきたソーシャル・ツールのデザインチームの面々で、「今後はもっとコラボレーションしていこう!」なんてすっかり意気投合しちゃいました。

 

 

海外で開催される大規模カンファレンスに参加したのは初めてだったのですが、やっぱり刺激的ですね。

また来年も参加したいな。スピーカーもおもしろそう?!

 

Happy Collaboration!

 

堀潤さんに学ぶ『情報受信術』 - ジャーナリスト視点とアクティビスト視点

オリジナルはこちら(2016/1/31)

 

ちょっと時間が経ってしまったのですが、ジャーナリストでキャスター堀潤んのお話を、3~40人の少人数で3時間弱じっくりと聞ける堀潤に学ぶ"情報受信術"』という勉強会に参加してきました。

 

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ビジネスクリエーターズ: 堀潤氏に学ぶ『情報受信術』

 

「上流メディアの象徴」とも言えるNHK「情報発信者の象とも言えるキャスターをしていたときの視点と心の動き方と8bit Newsという市民ネットメディアの代表者としての現在の視点と心の動方と。

--この2つの異なる視座と一貫した問題意識やテーマをベースに、過去から現在までのさまざまな出来事を立的に浮かび上げとてもわかりやすく解説をしていただけました。

とりわけメディアに対し個人が持つべきアプローチについての解説はソーシャルウェブの重要性が高まる今誰にとっても必要なものだと強く感じました。

 

たくさんの興味深いポイントの中かいくつかをピックアップ自分なりに消化した言葉でシェアしたいと思います

(堀さんの言葉通りではありません。また私の解釈が多分に含まれている可能性があります。)

 

 

□ 「大括り過ぎる主語」はその情報が意見なのか事実なのかを分かりづらくす

 

■ 受信者として、その情報が「意見なのか事実なのかを判別する癖をつけよう
意見であれば事実を求め、事実であればソースを求めよう。

 

■ 受信者として、「大き過ぎる主語」を「それは具体的に誰何か」と問い直していくことでオピニオンを事実に絞り込んでいくことができる。
それがコミュニケーションの質を高めていく1つの方法。

 

 

□ ジャーナリスト視点とアクティビスト視点の違いを理解し必要以上に踊らされたり踊らしたりしない

 

■ 情報にリアクトする前にその情報が事実を伝えることに重きを置いジャーナリスト視点」で編集されているものか意見を伝えて誘導することを目的とした「アクティビスト視のものかを理解しよう。

 

■ 発信者として自分がジャーナリストとアクティビストのどちらの視点で発信しいるのかを意識して行おう。
そして、自分の発信が誰かの役に立ちそうかそれとも単に外野から石を投げているだけなのかを自分に問いかてみよう。

 

 

□ もちろん、事実にしか価値がないわけではない。とりわけ当事者だから言えること」は事実の検証にも役立つ有益性の高いものでありとても価値のある意見

 

■ 「異なるオピニオンを相手のオピニオンにぶつけて変化させることが果たして現実的なのか、可能なのか?
「意見変容」を追うのではなく事実に沿わせながらどこから意見が異なるかをの分岐点を探建設的な会話をしよう。

 

■ もちろん、事実や意見をベースにしない価値もある。
相手の気持ちに寄り添い支えることにも大きな価値だそれがより多くの機会で目にできるのもソーシャルウェブの価値あり意義。それも忘れないようにしよう。

 

 

もちろんこれ以外にもたくさんの興味深いポイントがありました。

戦中のメディア暗黒時代のエピソードや世界の情報操作にかか裏話放送と通信の成り立ちに対する考察や現在のインターネット論壇ついて、などなど。

このあたりは書き出したらキリがないので、いつかまた。

 

最後に。自分の心に一番重くのしかかった堀さんの言葉を。

 

□「意見を出すのを躊躇させる意見」をのさばらせてはいけなそれはせっかく手にしたオープンな場をダメにすることであ自分たちの首を絞めることだ

 

Happy Collaboration!

 

チャレンジを楽しむ文化と価値観

オリジナルはこちら(2016/1/25)

 

 

会場廊下に張られていたイベント宣伝ポスター
 

朝から激しい雪が降っていたちょうど一週間前の月曜日、社会価値創造活動を目的としたNECんの勉強会「コ・クリエーションSpace」にゲスト・スピーカーとして呼んでいただき、『チャレンジを楽しむ文化と価値観』というタイトルで40分ほど講演をさせていただきました。

 

ときどきこうしたスピーカー役をやらせていただく機会があり、いつもありがたく思っているのですが、今回はとりわけありがたいことがありました。

普段、こうした講演後は会場で質問を受けてQAをしたり、後日アンケートフィードバックとして感想を教えてもらうことが多いのですが、今回は私の話を受けて感じたことをスタート地点とするワークショップに参加させてもらったんです

 

 

話を聞いてどう感じたか、どんな気持ちになったか

違和感や嫌悪感を感じたのはどんなところか

他の人の共感ポイントや違和感ポイントを聞いて、そこから何が頭に浮かんだか

 

 

ワークショップを通じてこれらのことを参加者同士で共有し、掘り下げていく共同作業に参加させてもらうことで、普段アンケートなどを通じてもらうフィードバックとはその「深さ」に大きな違いがあることを実感しました。

とりわけ、「違和感や嫌悪感を感じたポイント」は、なかなかスピーカー本人に率直にフィードバックできないという人も少なくないと思うのですが、この日は運営チームのとても丁寧なファシリテーションのおかげで、違和感の根本にある捉え方のズレのようなものに触れられました

 

これって、本当に私にとっては一番のご褒美で、最高の「しゃべり甲斐」です!

当日使用したファイルをSlideShareにアップしたので、ご興味があれば見てみてください。


 

以下、対話の場で私がとても興味深く感じた「チャレンジ」にまつわるいくつか、を書いておきます。

 

■ 優秀な人や結果を出し続けてきた人ほど、チャレンジできな

 

参加された方の「とは言えやっぱり失敗したくない」「失敗は内緒にしたい」という話を聞きながら、自分がとってもチャレンジしやすい環境にいることに改めて気がつきました

 

「これまでしょっちゅう失敗してきたし」「失敗も積み重ねていけばなんとなく形にはなるものだし」「手にしているものって実際の姿よりも大きく見えるものだし」「そもそもそれが自分にとって本当に失敗かどうかを決められるのは俺だけだし」

 

こんなふうに考えられるのは、自分がメインストリームを外れ失敗を重ねる生き方をしてきたからだろうと思います

(とは言え、こんな私でも「楽しもうという気持ち」や「自己効力感」が落ちているときは、チャレンジを躊躇してしまうのですが。

 

 

■ 評価者と批評価者の関係性流動性があると(ないと)、チャレンジできな

 

私はこれまで「長年同じ上司と部下の組み合わせ」で「昔からの成績をずっと引きずっている状態」では部下(評価される側)はチャレンジしづらくなるものだと思っていて、それは誰しも同じだと思い込んでいました。

つまり、チャレンジに失敗してしまうと「失敗した部下」という評価が関係性の中にずっと残ってしまうので、それはリスクの取りづらさにつながるだろうなと思っていたんです

 

でも、真逆の捕らえ方をする人もいるんですね。

ワークショップの中で「私は違います。一度その人の前で失敗しても挽回するチャンスが先にあることが見えているわけだし、何よりも自分のスタイル志向性を長年の関係性の中で理解して貰えていると思えなければ、チャレンジできません」と言われる方がいらっしゃいました。

 

これって私にはメウロコ(目から鱗)でした

どちらの考えが良いとか悪いとかって話ではないと思いますが、これもどこか前述の「失敗経験の豊富さ」と大いに関係している気がします。

皆さんはどっちのタイプですか?

 

 

■ 何が「チェンジ」と「チャレンジ」の目的なのかを見据え

 

「チェンジ」や「チャレンジ」という言葉は、ときに「これまでを否定された」と相手に感じさせてしまうことがあるようです。場合によっては「これまでの自分自身を否定された」なんて捉えられてしまい、ポジティブなコラボレーションからはどんどんと離れていってしまうことも…なんて話を聞きました。

なるほど、たしかに。

 

目的が「チェンジという言葉を使うこと」なら話は別ですが、普通はそうじゃなくて、行動や思考をチェンジして結果をチェンジすることが目的ですよね。

それなら、チェンジや変化という言葉にこだわらず、包みこむ力の強い「拡げる」「拡張する」という言葉を使い、無用な争いを避け結果としてチェンジを手にする方を選んだほうが良いんじゃないかということでした。

 

チャレンジが成功するかしないかって、実はこんなところが決めてだったりするよなって思います

でもこれ、冷静に話として聞いているとヒャクパー納得なのですが、実際にその場の中にいるとなかなか実行できないものなんですよね…。

 

他にもいろいろありましたが、長くなってきたので今回はここまでとします。

機会をいただいたコ・クリエーションSpaceの皆さんありがとうございました。

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Happy Collaboration!

 

不採択論文その4: 最終回 - 企業ソーシャルへの提言と課題

オリジナルはこちら(2016/1/19)

 

不採択論文シリーズ最終回です。これまでの3回は以下からご覧いただけます。

  1. 企業ソーシャルがもたらす効果と課題点

  2. 企業ソーシャル効果測定の考え方

  3. エンゲージメントを高める施策と事例

 


 

企業ソーシャルへの提言と課題

 

■ 提言と課題

 

企業ソーシャルを本質的な目的と効果から考えていくと、そこで社員により行われるコミュニケーションとコラボレーションの量・質を高めるための取り組みと、その効果を数値的に測定していくことが、その価値を高めていくことに有用であることをここまで述べてきた
それでは、これまで述べてきたことを組み合わせていくことで、今後企業ソーシャルに必要となるであろう要素をいくつか提言として提示する

 

合わせて、それらを実現していく上で、検討していくべき、あるいは解くべき課題も提示する

 

 

■個々のユーザーへのアドバイス機能

 
不採択論文その2: 企業ソーシャル効果測定の考』で説明したPSDのスコアを活用してモデリングすることで、自身に対するソーシャル上の認知(Eminence)やつながりを持っている社員数(Network)の望ましい数値や、他者の行動(Reaction)を引き起こす自身の能動的な行動(Activity)の望ましい割合などが、統計的に取得することができる
こうした統計データを元にした洞察だけではなく、さらにいくつかのモデリングを行ってパーソナリティー別のロールモデルを作成し、それに近づくためのアドバイス策定プログラムを作ることも可能であろう

 

 

■ グループや組織へのアドバイス機能

 

先に記したコミュニティー・マネージャーの役割や機能は、企業ソーシャル全体ではなく、個別の小グループや組織単位でも有効性が高いであろう。ただし、そうした役割をグループや組織(コミュニティー)単位で持つには人的資源の制約が大きいことが予想される

 

しかし、それぞれのコミュニティー単位で人工知能システムによるコミュニティー・マネージャーとして持つ分には、大きな資源を割く必要がないだろ
あるいは人間のコミュニティー・マネージャーとペアを組み、別コミニティーの成功パターンやアンチパターンとの照会を行って事前にいくつかの展開パターンと打ち手を示唆することも可能であろう

 

また、PSDの統計データの分析が十分進めば、職場におけるグループ内での役割との相関分析を行うことで、組織やプロジェクトの目標に合わせたチーム編成などにも役立つだろう

 

 

■ 課題

 

提言として挙げたものの多くは、情報が企業ソーシャル上で発信され社員のオンライン上のつながりを通じて相互作用を起こし合うことでデータが次々と生みだされ、それを数値化して分析することで新たな洞察やプログラムを生みだすものである
これらを実現するためには、洞察を生みだすのに十分な数値のデータが必要になる。そのために必要なのは、(ニワトリとタマゴのようだが)ある程度の量と質をソーシャル上に生みだすことだ

 

そしてそのためには必要なのは、「ソーシャルは時間の無駄」あるいは「自分の直近の仕事ではない」という考えを持つ社員や、「若い世代がやれば良い」とか「情報は組織内での上下関係に沿って流すもの」と考えるマネージメント層の意識の変革であろう。特に規模が大きく、階層による組織体制を組んでいる企業であれば、マネージメント層の意識が企業全体に与える影響の大きさはここで説明するまでもないだろう

 

こうしたマネージメント層の意識や行動が足かせとなり企業ソーシャルの失敗につながっているという報告は珍しくなく、つい先ごろもその対策がハーバード・ビジネス・レビューに『Why No One Uses the Corporate Social Network』[11]として掲載されている

 

意識や風土、文化は一朝一夕に変わるものではないが、何も手を付けなければ変わることもないものだ。そうした企業文化や風土の変革に対しても企業ソーシャルが果たす役割は大きいであろう

 

[11] Harvard Business Review, Why No One Uses the Corporate Social Network, https://hbr.org/2015/04/why-no-one-uses-the-corporate-social-network

 

 

■ おわりに

 

当不採択論文では、企業ソーシャルの現状・期待される効果・展開にあたっての課題点を整理し、企業がソーシャルを導入する時に必要な評価基準について検討し提言を行った
企業ソーシャルは、従来のコラボレーションのあり方を変革し、より柔軟な情報共有基盤を実現できると確信してい

 

この考察が少しでもソーシャル・ビジネスの推進に役立てば幸いである

 

 
 
 
 

Happy Collaboration!