不採択論文その4: 最終回 - 企業ソーシャルへの提言と課題
オリジナルはこちら(2016/1/19)
不採択論
企業ソーシャルへの提言と課題
■ 提言と課題
企業ソー シャルを 本質的な 目的と効 果から考 えていく と、そこ で社員に より行わ れるコミ ュニケー ションと コラボレ ーション の量・質 を高める ための取 り組みと 、その効 果を数値 的に測定 していく ことが、 その価値 を高めて いくこと に有用で あること をここま で述べて きた 。
それでは 、これま で述べて きたこと を組み合 わせてい くことで 、今後企 業ソーシ ャルに必 要となる であろう 要素をい くつか提 言として 提示する 。
合わせて 、それら を実現し ていく上 で、検討 していく べき、あ るいは解 くべき課 題も提示 する 。
■個々のユーザーへのアドバイス機能
『不採択 論文その 2: 企 業ソーシ ャル効果 測定の考 え 方』で説 明したP SDのス コアを活 用してモ デリング すること で、自身 に対する ソーシャ ル上の認 知(Em inen ce)や つながり を持って いる社員 数(Ne twor k)の望 ましい数 値や、他 者の行動 (Rea ctio n)を引 き起こす 自身の能 動的な行 動(Ac tivi ty)の 望ましい 割合など が、統計 的に取得 すること ができる 。
こうした 統計デー タを元に した洞察 だけでは なく、さ らにいく つかのモ デリング を行って パーソナ リティー 別のロー ルモデル を作成し 、それに 近づくた めのアド バイス策 定プログ ラムを作 ることも 可能であ ろう 。
■ グループや組織へのアドバイス機能
先に記し たコミュ ニティー ・マネー ジャーの 役割や機 能は、企 業ソーシ ャル全体 ではなく 、個別の 小グルー プや組織 単位でも 有効性が 高いであ ろう。た だし、そ うした役 割をグル ープや組 織(コミ ュニティ ー)単位 で持つに は人的資 源の制約 が大きい ことが予 想される 。
しかし、 それぞれ のコミュ ニティー 単位で人 工知能シ ステムに よるコミ ュニティ ー・マネ ージャー として持 つ分には 、大きな 資源を割 く必要が ないだろ う 。
また、P SDの統 計データ の分析が 十分進め ば、職場 における グループ 内での役 割との相 関分析を 行うこと で、組織 やプロジ ェクトの 目標に合 わせたチ ーム編成 などにも 役立つだ ろう 。
■ 課題
提言とし て挙げた ものの多 くは、情 報が企業 ソーシャ ル上で発 信され社 員のオン ライン上 のつなが りを通じ て相互作 用を起こ し合うこ とでデー タが次々 と生みだ され、そ れを数値 化して分 析するこ とで新た な洞察や プログラ ムを生み だすもの である 。
これらを 実現する ためには 、洞察を 生みだす のに十分 な数値の データが 必要にな る。その ために必 要なのは 、(ニワ トリとタ マゴのよ うだが) ある程度 の量と質 をソーシ ャル上に 生みだす ことだ 。
そしてそ のために は必要な のは、「 ソーシャ ルは時間 の無駄」 あるいは 「自分の 直近の仕 事ではな い」とい う考えを 持つ社員 や、「若 い世代が やれば良 い」とか 「情報は 組織内で の上下関 係に沿っ て流すも の」と考 えるマネ ージメン ト層の意 識の変革 であろう 。特に規 模が大き く、階層 による組 織体制を 組んでい る企業で あれば、 マネージ メント層 の意識が 企業全体 に与える 影響の大 きさはこ こで説明 するまで もないだ ろう 。
こうした マネージ メント層 の意識や 行動が足 かせとな り企業ソ ーシャル の失敗に つながっ ていると いう報告 は珍しく なく、つ い先ごろ もその対 策がハー バード・ ビジネス ・レビュ ーに『W hy No One Uses the Corporate Social Netw ork』 [11] として掲 載されて いる 。
意識や風 土、文化 は一朝一 夕に変わ るもので はないが 、何も手 を付けな ければ変 わること もないも のだ。そ うした企 業文化や 風土の変 革に対し ても企業 ソーシャ ルが果た す役割は 大きいで あろう 。
[11] Harvard Business Review, Why No One Uses the Corporate Social Network, http s:// hbr. org/ 2015 /04/ why- no-o ne-u ses- the- corp orat e-so cial -net wor k
■ おわりに
当不採択 論文では 、企業ソ ーシャル の現状・ 期待され る効果・ 展開にあ たっての 課題点を 整理し、 企業がソ ーシャル を導入す る時に必 要な評価 基準につ いて検討 し提言を 行った 。
企業ソー シャルは 、従来の コラボレ ーション のあり方 を変革し 、より柔 軟な情報 共有基盤 を実現で きると確 信してい る 。
この考察 が少しで もソーシ ャル・ビ ジネスの 推進に役 立てば幸 いである 。