Pachi's Blog Annex ~自薦&自選よりぬき~

『Pachi -the Collaboration Energizer-』の中から自分でも気に入っているエントリーを厳選してお届けします♪

状況と役割と関係性。あるいは偏見とイマーシブとインプロ。

オリジナルはこちら

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スマホによって、人は退屈さや居心地の悪さというものに対する耐性を(ますます)失った」という話は数年前からちょこちょこ耳にする話。それはおそらく真実だろう。自分のことを考えても、エレベーターを待っている間とか、スマホをいじっていることも少なくない。

ただ、おれの場合は、それを無意識にやっているわけではなくて。
ほとんどの場合「この隙にメールチェックをしておこう」とか「退屈だから時間を潰そう」とか思って、意識的にやっている。

またそれと同じように、意識して「なんかちょっと居心地悪いなこの状況…。意識をここから切り離してしまえ」ってスマホを使うことも少なくない。

電車の中、処方箋薬局の待合室、早く着いてしまったスタート前のセミナーやワークショップ会場…。状況によっては罪悪感みたいなものも感じながら。

みんなはそんなことないのかな?

 

職場に潜む「見えない偏見」をあぶりだす! 9月1日(日) REVERSE開催 | 株式会社ソフィア

 

先日『REVERSE -見えない自分を知ることからコミュニケーションを変える-』という研修に参加してきました。

簡単に説明すると、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を、イマーシブ(没入型)演劇やインプロ(即興劇)を通じて浮かび上がらせて、自身のコミュニケーションスタイルや状況に対するスタンスを理解しようというものです。

 

簡単な説明になっていない? あるいはワケが分からない?

もう少しだけ細かく(でも、おれ自身の感覚と言葉で)説明してみます。

  1.  アンコンシャス・バイアス – 自分でも意識できていない、十分な根拠のない思い込み
  2.  イマーシブ(没入型)演劇 – 舞台と客席が分離しておらず、その場にいる人がすべて演劇の一部となる(役割を持つ)タイプの参加型の劇
  3.  インプロ(即興劇) – 状況設定がはっきりしない中で、参加者が別の参加者の演技を受けてアドリブで続けていく劇

 

2時間ほどの研修は、まず2番の「職場を舞台としたイマーシブ演劇」があり、その後3番の短い「インプロを含むいくつかのグループワーク」があり、その途中と最後に1番の「アンコンシャス・バイアスに関する気づきの共有」の時間を持つという内容でした。

時間にすればわずか2時間だったものの、自分の心の動きはなかなかダイナミックに、そして同時進行的にいろんなことを感じていた気がします。

あのとき感じたことを今後も思い出せるように、時系列に書いておこうと思います。

 

 

10:15

会場について、差し出された箱の中からボールを一つ掴むと、10と書かれていました。そして座席票(上の写真)が渡されました。

どうやら最初がイマーシブ演劇らしい。でも、なぜかおれだけ他の参加者(番号)から離れていて周りに誰もいない…。やれやれ、なんか特別な席っぽいぞ。ちょっと面倒かも?

でもまあ、周りにあんまり気を使わなくていいからいっか。始まるまで15分くらいあるし、ちょっとスマホでもチェックするか…。

 

10:45

Out Of Theaterの役者さんたち、上手いなぁ。…そしてなんだかこの席、セリフ振られたり声かけられることが多いな……。あっ分かった! 参加者の中でおれだけ役職付きだ! 多分、一番下っ端の…課長代理?

…参ったな、課長代理なんておれには1番遠くて、どう立ち振る舞うキャラ設定にすればいいやら…。…いや待てよ。おれは役者じゃないんだから「演じる」心配は不要じゃね? もっとこの場を味わわないと。

…でも考えてみれば、「この場でおれにとってふさわしい行動ってなんだろう?」って、家にいるとき以外はいつも嗅ぎとろうとしているかも、おれって…。

 

11:00

ああ、もっと関与したい。部長に意見言いたい。課長にも意見言いたい。彼女にも。

あれ? でもおれが「関与したい」って思うのはなんでだっけ。「お芝居上手いですね」って後から褒められたいから? それは違うな。「全体を見れている人」「やるべきことをやれる人」って周りにアピールしたいから? あるいはそうしないでいる自分自身に感じる心地悪さを解消したいから?

…まあ何はともあれ、時間管理の観点からも「超積極的関与」は誰にも求められていないだろうから、味わっていようっと。

あれ、これでイマーシブ終わりか。あー、おもしろかったけどモヤモヤしたなぁ。

 

 

11:15

こっからインプロね。さて何やるのかな。

(アイスブレイク的共同ワークで)ここ多分、サラッと流すところっぽいんだけど、すでにややこしいことしようとしてる人いるな。おれの番で1度リセットできるかな?

……うーん、効果なかったみたい。残念。

 

11:30

体の姿勢が意識に与える影響の話だな。これは昔から結構認識していて、プレゼン前に自己暗示的にガッツポーズ使ったりはしてるんだよね。あ、でもあえて「縮こまった姿を取ることで、相手を喋りやすくする」っていう発想はこれまでなかったな。なるほど。

そしておれは「足を組んだり手を頭の後ろで組む」ポーズが「権力的なポーズ」で、「相手を威圧しようとするポーズ」だって知っているし、「まあ別にそう取られても構わないからいいや、楽だし」ってやってるつもりだったんだけど、もしかしたら、「手を顔に当てる」っていう「不安の表出化を感じさせるポーズ」が自分の癖だって知っているので、そこでバランスを取ろうとしているのかも? — これまで考えたこともなかったけど。

 

11:45

(いくつかお互いのキャラ設定を変更しながらのインプロ直後。)「役割りの力」って強いよなぁ。「あなたはxxxx」って自分の役割を設定されると、積極的にそれにハマりにいく自分がいる。そして「相手はxxxx」って設定でも、同じように相手に合わせた役割を作りハマりにいく自分がいる。

そう言えば、好きだった上司に昔言われたっけ。「あんたは自分のことを分かってないわね。あんたのいいところは、どんなに不安定な状況でも、どうにか着地させて生き延びる道を見つけられるところよ」って。それってこれと関係していたのかも?

 

12:15

さっきのイマーシブでもそうだったけど、おれってものすごく「状況と役割と関係性」にアンテナを立てて生きているんだな。

子どもの頃からずーっとそうだったから、息をするようなもんでほぼ自覚していなかったし、「場の中で足りない役割を見つけて、それを埋めようとする人」とは認識していたけれど。

でも、相手との関係が「一過性」か「頻度は低いけどやりとりがある(あるいは生まれそう)」か「毎日のようにやり取りする(あるいはせざる得ない)」かによって、相当無意識に自分を変化させているな、おれ…。これって態度にも出ているんだろうし、周りにも伝わっているんだろうな。

 

12:30

あ、いまこのImpro Kids Tokyoの講師の方、おれが最近忘れていた大事なことをサラっと言ったな。

「”まあいっか”って誰も言わずに流してしまうと、後からそれが”それでいいこと”や”そういうもの”になってしまいかねない。」 — そうなんだよ。『「空気」の研究』だよ、王様は裸だ。

 

12:45

(会場を離れた電車の中で。)無意識のバイアスについてはこれまで研修に参加したり、自分が研修を企画したりしてきた。その中で、自分なりの「(仮の)答え」を置いてきた。

そもそも人間はバイアスの塊で、バイアスそのものに良いも悪いもない。

悪なのは「不公平な扱い」につながるバイアスである。

(参考: 無意識のバイアス研修に参加しました – ダメパチ撲滅協力のお願い

 

ただ、今日の体験を踏まえると、自分が「無意識の」を置いてきぼりにしてきた気がする。

まずは自分の、あるいは世間のバイアスに意識的であろう。無意識なままでは、同じ失敗を繰り返してもその発端に気づけない。バイアスを意識しよう。無意識ゆえに「不公平な扱い」につながるバイアスを、そのまま気づかないままにのさばらせてしまわぬように。

「(仮の)答え」をアップデートしておこう。

人はバイアスを作り続けるようにできているけれど、それを意識することはできる。

バイアスを常に意識して、それが「不公平な扱い」につながらないように注意しよう。

 

研修を提供してくれたソフィアさん。イマーシブを体験させてくれたOut Of Theaterさん、インプロを味わわせてくれたIMPRO KIDS TOKYOのお2人、本当にありがとうございました!

 

 

ところで、最初に「早く到着したセミナーやワークショップ会場でスマホを使う」と書いたけれど、これは半分本当で半分嘘です。

おれの場合、会場のセッティング(机や椅子の配置)や雰囲気、周囲の人たちの様子を見て、スマホと一緒に1人で時間を過ごすこともあるし、意識的に周囲の人たちに声をかけたりすることを使い分けています。

 

でも、それが主催者のためなのかその場にいる全員のためなのか、はたまたその裏側には「よく思われたい。感心されたい」という気持ちのおれがいるからなのか、自分でもよく分かりません…。

多分、全部がごっちゃになっているんだろうな。

 

Happy Collaboration!